1642話、ロゼッタ、順調な日々
「それでは本日の復習、九九を暗唱していきましょう。ではそちらの男性から、2×1から順に、一人ずつ答えていってください」
お昼の授業、開始と同時に昨日までの復習。
やっぱり第一段階の関門は九九だった。
一応掛け算がどういう物か、九九がどれだけ効果的かを伝えては居るんだけど、なかなか大人は覚えられないらしい。
まぁ受験終わった年代だしまず勉強する機会がなかなかないしねぇ。
九九なんて今まで生きてる上で必要なかったから覚えるのが難しいのは仕方ないんだよ。
授業ではすでに割り算に分数、二乗だって教えてるんだけど、九九に躓いてる人がまだいるのだ。
ここで躓かれてしまうとこれ以後いろいろ教えても頭に入っていかない。
諦めてしまう前に徹底的に覚えてもらわなきゃ。
テテちゃんやロゼッタ教団の奴らは早々に覚えやがったからなぁ。あの下っ端や白髪の子供意外と頭がいいのよね。
「んー、頭じゃ分かってんだけどなぁ」
「掛け算は足し算を端折った計算、分かってるんだ。分かってるけど、あー、覚えきれねぇ!」
「えっと七八、五十……なんだっけ?」
「七を八回足したらいいんだよ」
「分かってるのよそれは。7、14、21、28……」
「いや、前の奴が言った数字に7足せばよくね?」
「「それだ!」」
暗記しろよ……
「81! 前の人の数字に9足すだけならすぐできるわ!」
だから暗記しろよ。
それじゃ急に9×9問題出されたらわからんだろ。
ええい、ならば今日は掛け算を徹底的に出してやる!
「はい、この計算やってみよー43×85」
「いきなりわけわからん!?」
「えっと掛け算は九九までしか習ってないですよ!?」
「なぁにこれぇ?」
ちょっと応用出すだけでこれだよ。
やり方教えたでしょ。
もー、テテちゃん出来てるのになんで皆出来てないの。
そんな感じで計算は掛け算で終わった。
何度か解き方説明したらようやく全員正解に辿り着いてくれた。いやー、長い道のりだった。
次は頭を入れ替えるために国語の授業。と、言っても文字の読み書きは既に出来るようになったので、皆にはギルドで使われていた依頼書から、すでに完了済みの依頼書を貰って来た。すべて把握してるので持ち帰りは厳禁である。
「では皆さんこの依頼書はなんて書いてあるでしょう」
「えっと、ゴブリン討伐依頼。募集制限無し、無期限、討伐証明ゴブリンの耳二枚で一体10SKL」
「はい、その通り、こちらは年中出されていた常時依頼という奴ですね。無期限なので倒せば倒すだけお金がもらえます。一体倒すごとに10SKL貰えます。ただし、ライオネル王国ではここ数年ゴブリン自体見かけなくなりましたので常時依頼からは外されることになりました」
むしろゴブリンがライオネル王国内で発見されたら希少生物扱いされるほどである。
ちょっと、やり過ぎたんだよ?
はい、じゃあ次は?
「あ。私か。えっと。下水道の清掃作業。募集制限無し、期限三日、下水道1Kmにつき4000SKL」
「こちらは下水道の清掃作業ですね。月一くらいの割合で出されます。大抵はどこからどこまでお願いします、とギルドから依頼されて複数パーティーが一斉に別の下水道を掃除します。期限が設けられているのは受けるだけ受けて掃除しない冒険者がでないように、生活に直結した下水道の掃除なので短い期間でさっと終わらせて貰わなければいけない、というギルドの思いが詰まっています。あと病気にもなりやすい大変な作業なので募集制限無しの依頼にしては達成金額が高めです」
普段ギルドに行かない人もこんな依頼でてるんだ、と感心しながら話を聞いている。
「次は俺だな。緊急討伐依頼トドノツマリの撃破。募集制限Bランク以上、期限七日、討伐証明トドの牙角、あるいは龍涎香。討伐報酬……570000SKL!? え、高!?」
「Bランク以上のパーティーで戦わないと勝てないくらい凶悪な魔物の討伐依頼です。期日も短く、準備時間や出現場所への移動を考えると、討伐に仕える時間は一日か二日といったところでしょうか。金額が高いように感じるかもしれませんが、冒険者は命がけの仕事です。このくらいの報酬でようやく元が取れるというところでしょう。特に、敵との戦闘で死亡者が出たり、腕や足を失うなどの事故もありえます。一生をふいにすると考えると、この値段はむしろ安いくらいかもしれませんね」
「はー。討伐依頼書だけでも結構な情報あるんだなぁ」
ちなみに、この魔物、ボラの魔物じゃなくてトドの容姿なんだよね。
とどのつまりってボラの話なんだけどなぁ。それにトドは龍涎香持ってないはずなんだよ。あれクジラから取れる奴だし。ファンタジーだからかな?
まぁ何にせよ、討伐報酬とドロップアイテムの売却で二度おいしい魔物だったんだよ。




