1640話、テテ、孤児院生活
SIDE:テテ
外観などに関しては明日ロゼッタ様に伝えればすぐに変えてくれるらしい。
よくわからないけど、伝えるだけで良いなら伝えておこう。
一応これから孤児院を運営しなきゃいけないから、私が責任者としてロゼッタ様への報告とかもしなきゃいけないようだ。
私が訓練してる間のお仕事は下っ端さんがやってくれるらしい。
そもそも私がやるのは運営管理なので孤児院の子たちの面倒を見たり料理を作ったりなどをする必要はないそうだ。
「邪魔すんぜー」
私に案内するため、率先して孤児院の扉を開く下っ端さん。
顔が悪人面だけに、孤児院の扉が開かれた瞬間、わーきゃーっと楽しそうだった子供たちの声が一斉に止まる。
凄い顔で下っ端さんを見る子供たち。
まるで時が止まったかのようにしばし硬直。
小さい子が手にしていたボールが床に落ちててんってんっと転がっていくが、誰もそちらに意識を向けることはなかった。
「あぁん?」
一番最初に動いたのはシスターさんだった。
子供たちを庇う様にばっと飛び込むと、真っ青な顔で下っ端さんを睨みつける。
「み、皆、奥へ、奥へ逃げなさいっ!」
「ん? 何だぁ?」
下っ端さん分かってないなこれ。
仕方ないので下っ端さんの背後からひょこッと顔を出す。
「あっ、怪力女!」
誰が怪力かな? あ。いじめっ子!
シスターさんに庇われてる子供の中に、騎士訓練で一緒に訓練している三人組の男の子。その一人が孤児院の子供だったようだ。
「えーっと、皆さん、落ち着いてください。この人顔は怖いですけど、ロゼッタ神教の人なので」
言われ、シスターさんは下っ端さんをしっかりと見始める。
すると、何かしら気付いたようで、手を口元に当てて、あっ、と驚く。
「おいおい、どういうこった?」
「今は黙っててください。多分その方が上手くいきます」
「そうか? じゃあ任せるわ」
下っ端さんが道を開けてくれたのでシスターさんの前へと歩み出る。
「初めまして、テテと言います」
「え、ええ。初めまして。新しい孤児、でいいのかしら?」
「違います。えっと、ロゼッタ様に言われて、孤児院の運営を引き継ぐことになりました」
「……はい?」
あれ? 説明これでいいんだよね? なんで困惑するの?
「あー。巫女ちゃんよ。さすがに説明端折りすぎだぞ。院長いるかシスター。一応運営の引継ぎは俺がやる予定なんだがな、巫女ちゃんがロゼッタ神様に御指名された。俺が補助するから運営を巫女ちゃんに引き継いでほしい」
私の説明とそこまで変わらなくない?
それでも、シスターさんは慌てて院長さんのいる奥の方へと走っていく。
「お、おい、怪力女、運営って、どういうことだ?」
「う、うん。私も良く分かってないんだけど、ロゼッタ様が勉強頑張ってれば運営することもできるからって、経験したみたら? っていうから経験することにしたの」
「マジかよ。行くとこねーならウチ来いっつったけどよ。運営しろとは言ってねぇぞ。ま、なんか困ったことあったら手伝ってやるよ。一応ここじゃ年長だからな!」
と、胸を張って主張する男の子。名前、なんだったっけ? 自己紹介された気がするけど覚えてないや。
運営は孤児とはあまり接点無いらしいし、そこまで必要な手伝い事ってないんじゃないかな?
「あ、あの、院長先生がお会いになるとのことで、こちらにどうぞ!」
「巫女ちゃん、行くぞー」
「あ、うんっ! 皆遊んでるの邪魔してごめんね。気にせず遊んでね!」
呆然としていた子供たちにそう告げて、私は下っ端さんの後を追う。
向かった先にあったのは、応接間ってところらしい。
部屋に入ると、すでに部屋にいたおばさんシスターがソファに手を向け、座るように促してくる。
柔和な笑顔のおばさんに軽い挨拶を告げて下っ端さんがどかっと座る。
その横に少しスペースが残ったので私はちょこんっと座らせて貰った。
私たちが座ると、おばさんが対面に座る。
「ついに来てしまいましたか」
「えっと、どういうことですか?」
「もともとこの孤児院は資金難で潰れかけていたのです。そこをロゼッタ神教という教団が買い取りまして、瞬く間に教会を設立してしまいました。孤児院は新しく外付けで作られ、今の形になっております」
私が事情を知らないと思ったようで、丁寧に説明をしてくれるおばさん。
話を聞くと、どうやらこの人は前々から孤児院を経営している人のようだ。
教団に孤児院を乗っ取られたばかりか、ついに院長の座を奪われることになった、ということを今説明してくれていた。いや、これ説明というか、私への当てつけ?
私教団の人間じゃないですよ!?
と、言っても下っ端さんと一緒に来ちゃったから説明難しいかも。




