インテリジェンスロッドと双子の出会い7
この世界には様々な現象が確認されている。火が燃える、水が流れる、風が吹く、土が命をはぐくむ。そうした4つの現象を4属性といい、これらの現象が全ての源と考えられてきた。
そしてそれらを起こす魔法属性を4大属性といい、その他の現象は全てこれらの複合である、と認識されてきたのである。
だが先ほどトールが言ったのは全8属性である。つまりはこの奇妙な杖はさらに4属性在るといっているのだ。
「つまりは、8ではなく4属性が基本と考えられているわけだな?」
トールはそういって二人へ確認する。ナーリャは、うんうんと首を縦に振り、リューナはそうですと答える。
その回答を聞きトールは、じゃあさっき聞こえてきた全8属性って何だと疑問に思った。
すると先ほどのように一瞬にして、その意味が頭に流れ込んできた。
…8属性:火、水、風、土、雷、光、重力、時空の8つの属性。
それが頭に入ってきたトールは、先ほど頭に入ってきたマスター認証についても、疑問に思ったとたんに意味が理解できたことを思い出す。つまりは強く疑問に思えば、この機械音声は答えてくれるのではないかと。
そこでトールは、話せるきっかけになった『知識の泉』について強く考える。するとトールが思った通り、意味が流れ込んできた。
…知識の泉:本世界ゼイアーズの森羅万象のデータベース。知識の杖の基本機能。宿主の疑問に思った内容の答えを回答する。1stプロテクトの開錠より使用可能。
なるほど、つまりはインターネットでの某情報データベースのようなものかと考える。これは便利だ、と早速いろいろと考えようとしたが、リューナの言葉に遮られた。
「その通りです。それに、その、我々二人は所持する魔力属性が欠けています。仮に8属性だとしても、いえだからこそ余計に足りないはずです」
その言葉に、ナーリャとリューナが二人で話していたときにあった『欠陥魔道師』という言葉を思い出した。そう、ナーリャは火と土、リューナは水と風しか属性を持っていないという話だった。
トールは少し悩み、そうしてこう考えた。属性の調べ方と。
すると頭にまた情報が流れ込んでくる。
…属性の調べ方:先端の宝玉でふれ、属性検知コマンドにて可能。生命の有無は問わず。
最後の一言に引っ掛かりを覚えたが、トールはこれで調べられそうだとちょっと喜ぶ。
「属性が調べられるかもしれない。ちょっと頭の宝玉を触ってくれないか?」
そういわれ互いに目を合わせると、ナーリャがうん!と声を上げ杖の先端についている宝玉へと手を伸ばす。そのまま宝玉に触れると、トールへ話しかける。
「これでいいの?」
「おう、ちょっと待っててくれな」
そういってトールは調べようとする。が、どうやっていいか分からない。
どうしようかと先ほど頭に入ってきた情報を思い出して、属性検知コマンドについて再度考える。すると途端にナーリャの属性が頭に入ってきた。
…ナーリャ・スランツェ:所持魔力属性 火 土 光 重力
トールはおお!と声を上げて、その結果を伝える。
「ナーリャの持っている魔力の属性は火と土、それに光と重力だな」
その言葉にナーリャは、おおーと声ををあげているが、リューナの方といえば、口元に手を当てて何やら考えているようだ。
「光に、それと重力?やっぱり聞いたことが無い。それらは複合属性ではないですか?」
「そうなのか?すまないが俺にも良く分からない」
「そうですか。仕方ありません。では次は私をお願いします」
そういって今度はリューナが杖の宝玉へと触れる。
そしてトールはナーリャの時と同じように属性検知コマンドについて考える。するとやはり属性の情報が頭の中に入ってくる。
…リューナ・エスクリダオン:所持魔力属性 水 風 雷 時空
「リューナの魔力属性は水と風、ほかに雷と時空だな」
「今度は雷とジクウ?ですか。やはり聞いたことありませんね。特にジクウとは何なのでしょう?」
「まあ、言葉の意味から考えて時間と空間に関する魔力じゃないかな?俺もよく分からないが」
その答えを聞くと、時間と空間ですか、と少し嬉しそうに宝玉から手を離す。その様子にナーリャも少し嬉しそうに話す。
「つまりは4大属性のほかに私は光と重力、リューナちゃんは雷と時空の属性を持っているってことだよね?だとすると二人合わせれば、8つの属性を持ってるってことに成るんじゃないかな?」
その言葉に、4大属性以外の属性について俯いて考えていたリューナは、ハッと気づいた様に顔を上げた。
「言われてみればその通りですね。…この杖が言っていることが正しければ」
あとリューナちゃんはやめて下さいとナーリャに言い、それを受けたナーリャはええーと不満の声を上げている。
トールは信用ないなぁと思ってはみたが、そりゃこんな怪しい杖の言うことだしな、と納得してしまった。
「まあ、こんな杖の言うことだ。話し半分に聞いてもいいと思うぞ?自分で言うのもなんだが」
「そう言われるとなんだか悪い気がしますが。それでは属性に関しては一旦置いておきましょう」
「そうだね。じゃあ次は知識の杖って言ってたことかな?それって言葉通りでいいの?」
ナーリャの問いにトールは答える。
「ああそのはずだ。まあこれに関してはちょっと前に疑問が解決した」
トールは管理者に言われてた知識の伝授に関しては、話しが出来るようになったのと、『知識の泉』で可能だと考えた。
「疑問って?」
そう首をかしげながら聞くナーリャに、トールは答える。
「すまない、忘れてくれ。ともあれ俺はその名の通り、知識を所有者に与えることが出来る」
おおーすごい!と声を上げているナーリャの横で、リューナは胡散臭そうにトールを見ている。
「確かに話しが出来る杖、というものを見たことはありませんが、それだけでは信用するわけにも行かないでしょう」
「それもそうだな。それじゃ何かしら質問してくれ。答えられる範囲はどの程度か、俺自身も分からないが出来るだけ答えるぞ」
トールは浮きながら柄の下部を曲げてそう答える。奇妙なその姿に、まだ少し引き気味でリューナは質問する。
「こほん。では聞きます。現在各所にて多重魔法陣の研究が行われてますが、その制作方法は?」
リューナは正直意地悪すぎるか、と考えていた。学院に居たころには王室魔道技術研究所の研究内容もすこし耳にする。その中でもまだ実現できていない事例だ。
しかしトールはう~ん、と少し考えただけでこう答えた。
「まず魔法陣を書いた紙を2枚重ねる。その際書き込んだ面は重ならないようにする。そして魔力伝達路の一部に穴を開けてインクを流し込む。ああ、染み過ぎないように注意。インクが固着したら完成。要は魔法陣のつなげたい箇所をインクでつなげればいい話しだな」
リューナはその回答にそんなまさか、と思わず声を出してしまう。
「そんな方法は、すでに試しているはずです!なら実現出来ていないわけが無いじゃないですか!」
少し興奮した状態で、リューナはトールに詰め寄る。ナーシャは、ん?と首を傾げているようだ。
「そんなこと言われたってなあ。あ、あとちゃんと連結用の魔法陣を使わないと駄目っぽいぞ」
そういってトールは体をうねらせて柄の先を上げる。
「同じ魔法陣や効果が違うのじゃ駄目っぽいな。基本魔法陣に魔力を送る時は上から送るから、まずは1枚目に効果を、2枚目にその効果の増幅や操作などを描いく。ああ、それと陣を繋げる箇所は一枚目の最後と2枚目の最初の部分だな。そうしないと魔力伝達に不備が出る」
いや、そんなまさかとリューナが言っていると、その横でナーシャが何時の間にか魔法陣を描いていた。それは簡易的な明かり用の火の玉を出現させるものが一枚と、浮遊および拡大させるものが一枚だ。
それらを重ねて穴を開け、インクを少し入れる。インクは少し染み込んだが、上下の魔法陣を繋げることには成功したようだ。
そしてそのままナーリャはインクが乾ききる前に、魔力を魔法陣へと送り込んだ。
すると魔法陣は一瞬発光し、それから魔法陣の上へ火球を出現させた。その大きさは大体人間の頭ほどある。
「やった、成功した!」
そう嬉しそうに話すナーリャを見て、リューナはポカンとしている。
「おお、良かった。間違いじゃなかった」
そういってトールとナーリャは、イエーイと柄先と手でハイタッチ?していた。




