↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
43/165

杖と魔道技師と騎士と冒険者14

 

 人型に形どった光は、トールを中心に、高さ3mほどまでの大きさとなる。

 トールは胸の部分に納められた状態となり、象る光はまさに巨人といった様相となっている。


「すごい……」


「これは……」


 呆然とした表情でトールを見上げるナーリャとリューナに、トールは声を描ける。


「こいつが《守護者の巨人》っていう機能みたいだな。光るフィールド、というか結界みたいなもんを任意の形で生成できるものだな」


 トールにはこの《守護者の巨人》の使用方法が理解できていた。この機能を開封した際に、頭の中に流れ込んできていたのだ。

 この《守護者の巨人》は、任意の形を持ったフィールドを生成できる機能である。今形度っている巨人のような形態も、トールがその名前から連想して想像した形状である。


「(まったく、こいつの使い方を最初から教えてくれるんだったら、《知識の泉》も使い方くらい教えておいてくれてもいいだろうに)」


 心の中で愚痴を言いながら、トールは鬼のほうへと振り向く。

 変わらずペルラとバッルートが、前衛で鬼と対峙しつつ、ウィスティリアが魔法で後方から援護していた。


「さて、それじゃあ行ってくる」


 ナーリャとリューナにそう声を掛けて、トールは鬼に向かい進み始める。


「気を付けてね、トール」


「気を付けてください、トールさん」


 二人の言葉を後ろに、トールは初めは一歩一歩確認するように歩き、徐々にその速度を上げる。そしてそのまま走り出し、鬼へと肉薄する。


「なっ!」


 いきなり現れた光る巨人に、ペルラたちは驚き声を上げる。、

 トールは鬼に組み付くと、その動きを止めるために鬼の腕を掴む。


「急にすまない! 俺だ、トールだ!」


 そう声を掛けられてペルラ達は、光る巨人の方を見てその中心に杖が浮かんでいるのを見つける。


「トール殿!? その姿は一体……?」


「すまないが詳しい話は後だ。まずはこいつをどうにかしないと……な!」


 鬼はトールに掴まれた腕を振り払おうと、力を込めて引き抜こうとする。しかしトールはそれを察知すると、さらに力を込めて妨害する。


「……心得た。色々伺いたい事ができたが、後回しにしよう。バッルート殿、いけるか!?」


「ああ、問題ない」


 ペルラとバッルートは剣を構えなおし、鬼の足を狙って切りつける。トールも鬼の動きを封じるべく、腕を掴み続けていた。

 鬼はトールの腕から逃れられないと悟ると、今度は大きく口を開けて光る巨人の腕に噛み付く。噛み付かれた腕からは火花が発生し、ミシミシと音を立て始める。


「ちっ!」


 トールは一旦腕を離すと、噛み付いた鬼の顔面を殴りつける。その勢いにたまらず鬼は口を開け、トールの腕を開放する。

 噛み付かれた時に、トールはナーリャとリューナに込めてもらった魔力が減っていくのを感じていた。何度も噛み付かれてしまうと。おそらく魔力が底を尽きるだろう。そうなれば一気に形勢は不利になる。

 トールは再度鬼の顔を殴りかかるが、今度は逆に鬼に腕を掴まれた。

 腕を掴んだ鬼は、そのままもう一度トールの腕を噛み付こうとするが、トールが放った蹴りによって体勢を崩す。体勢を崩したのを見たトールは、鬼の腕を掴むと掴んだまま腰を落とし、鬼に背を向けて密着する。


「オラァ!」


 落とした腰を跳ね上げ、一本背負いを鬼に決める。投げられた鬼は背中から地面へと、轟音とともに叩きつけられた。


「ハァ!」


「オオォ!」


 倒れこんだ鬼を追撃すべく、ペルラとバッルートは鬼の首目掛けて剣を振り下ろす。しかしその剣は首の半ばまで達したが、落とすまでには至らなかった。


「ウグゥルアァ!!」


 鬼は顔の近くにいる人間達を払うべく腕を振る。ペルラとバッルートはその攻撃を避けるために後ろへと跳び、鬼と距離をとった。

 トールは、倒れた鬼の顔を殴りつけようと拳を振り下ろすが、鬼は体を横に回転させてそれを避けると、機敏な動作で立ち上がった。


「まったく、キリが無いな」


 鬼の首下を見ながら、思わずトールは口にしていた。

 先ほど二人がかりで切りつけた鬼の首の傷は、肉が蠢きながら次第に塞がっていった。


「決定打がありませんね。二人がかりでも首を落とせないとは」


「それにあの回復速度だ。まったくもって訳が分からんやつだ」


「ああ、本当にタチが悪いな」


 トールは、もう一度相手の動きを止めるために掴みかかりに行く。その後ろに続いてペルラとバッルートも駆ける。


「(何か方法はないか? 殴っても投げても切っても駄目。すぐに傷が塞がっちまう)」


 トールは鬼を押さえつけながらも、考えを巡らす。


「(腕を剣の形にして切りつけるか? いや、重さが無い分威力が出ない。ハサミの様にして首を切り落とすとか? ……駄目だ、そうすると、こいつの動きを止められない)」


 トールは腕のほかにハサミを作り出そうと試してみるが、まだ《守護者の巨人》の機能になれていないのか上手くいかない。

 そうしていると、またしてもトールの腕に噛み付こうと鬼が口を開ける。それを避けようとトールは、鬼の腕を掴んでいた手を引っ込めるが、それを許さないとばかりに鬼は全身を使ってトールへと迫ってくる。


「くそったれ!」


 押し返そうと腕を伸ばすが、鬼はその勢いのまま巨人の肩を目掛けて口を大きく開ける。

 まさに鬼が噛み付こうとした瞬間、鬼の顔付近で爆発が発生した。その爆発を顔に浴びた鬼は、顔を手で覆いながらたたらを踏んで数歩下がる。

 トールが振り向くと、杖を鬼に向けてかざしているウィスティリアの姿があった。


「これでも駄目ですか。取って置きだったんですけどね」


 悔しそうな声色で、ウィスティリアは鬼を見ながらそう呟く。

 爆発によって鬼の顔の表面は焼け焦げた痕ができていたが、それもすぐに回復してしまう。鬼は回復が済んだことを確認すると、トールの方へと走りよってくる。

 トールはそれを受け止め、鬼との組合いになる。


「(爆発でも今の火力じゃあ、表面が焼けただけですぐに回復しちまう。それじゃあ完全に相手を吹き飛ばすには……!)」


 トールは組んでいた手を離すと、鬼の顔を殴りつけて距離を離す。鬼は今度はすぐにはやってこず、トール達の様子を伺っているようだ。


「ちょっといいか?」


「どうかしたか?」


 トールは鬼から目を離さずに、ペルラとバッルートへと話しかけた。


「少しの間でいいから、あいつの足止めを出来ないか?」


「なにか思いついたのか?」


「ああ、上手くいけばあいつの顔を吹っ飛ばせる」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。