深蒼の空の端で
一番最初に見えたのは空だった。
何処までも透き通っていて、まるで俺自身を包み込んでくれるような青色。
其処には都会のような排ガスまみれの汚い空気はなく、空気にも味があるのだと伝えようとせんばかりの純度の高い空気しかなかった。
更に辺りを見渡していると俺は余りの眩しさに目を瞑った。
太陽が燦々とこちらを照りつけていたのだ。
その数は1つではなかった。
2つ………否、3つか?
とにかく、普通ではあり得ない程の光量だ。
その神々しくも異様な光景は否応なしにここが元居た世界ではなく、異世界なのだと教えてくれる。
………………うん、そろそろ現実逃避は止めようかな。
現実見なきゃ始まんないもんね。
どうも谷崎俊希です。
今、落ちてます。
多分、このまま墜ちたら死にます。
かなりグロい感じで死にます。
だって、さっきから永遠と落ち続けてるもの!
一向に地面が近づいてこないんですもの!!
クソがッ!!!
自転車に乗ってるからE○みてぇに飛べんのかなぁ?とか思ってたのに!
つーかさっきから何もやることねぇから計算してたけど、もしここの重力が地球と一緒なら俺は上空57㎞地点からこのパラシュートなしスカイダイビング(又は紐無しバンジー)をやってることになるんだが……
うん、無理やね。
正直、自転車を犠牲にして何とかしようかなとか考えてたけど無理やね。
二桁やもん。
57㎞て!
57㎞て!!
お前、フルマラソンより長いんやぞ!?
嗚呼!?馬鹿なこと考えてる間にもう地面着きそうじゃねぇか!
やっ、やべぇ!何もねぇぞ!??
マズイッ!このままでは親父の件も併せて読者の皆様方から、
「あれ?コイツ主人公のクセに弱くね?」
とか、
「何だよ無双系主人公じゃないのかよ、死ね」
とか、
「主人公が第1部の序盤で死ぬとか、斬新過ぎ(笑)」
とか思われる!!
何とか、何とかせねばぁッ!
その時、俺の脳裏に電撃が走った。
恐らくは極度の焦燥と緊張により脳がいつもの8倍ぐらい動いた結果だろう(8倍とか普段どんだけ使ってねぇんだよって話だが)。
童○を捨てずに40歳を過ぎると魔法使いに成れると言う。
まぁ、所謂都市伝説って奴だ。
まぁ、溺れる者は藁をも掴むって言うしな!
モノは試しって奴だ。
因みに、年齢とかは大丈夫だ!
伊達に4億5647万6824回も(否、今回のを入れると4億5647万6825回か)異世界行ってねぇんだよ!
肉体的な年齢こそ17歳だが、実年齢は38億3850万6349歳なのだ!!
そういやぁ最近ロリババアとかいうのが流行ってるらしいが、俺みたいな奴は何て言うんだ?
…………ショタジジイ?でもなぁ、ショタっていう程若くはねぇしなぁ……ヤングジジイ…?
流行るかなぁ?
まぁ、年齢の方は問題無しだな。
まぁ、俺は普通に童て…………ッ!?
し、しまったぁぁぁ!!
こっ、このままでは読者の皆様方に俺が童○か否かがバレる!?
もっ、もし童○である事がバレれば…………あれ?
普通に何も無くね?
むしろ主人公って大体童○じゃね?
ふむ、モーマンタイだな。
何か滅茶苦茶無駄な時間使った気がするなぁ。
そう思いふと下を向いてしまった。
そして、その直後に後悔した。
丁度、あれだ…………ほら、吊り橋渡ってる時に下を見んのと一緒だ。
見なきゃ良かった。
すでに地面との距離は500m程しかなかった。
んがぁぁああああああ、使えもしねぇ魔法の事グダグダ考えてたらもう積みじゃねぇかぁぁぁぁ!!!
もう万に一つでも億に一つだろーが関係ねぇ、奇跡を信じて魔法を使うっきゃねぇ!
「ゥオオオオオオオオオオ!
アッ、アアアアーーールァァアアアッ!!」
人間焦り過ぎると何も思い付かねぇもんだ。
ソレっぽい呪文やらが一切出なかった。
そして何か知らんが何故かスペイン語が出た。
ちなみに、アーラはスペイン語で翼だ。
しかし、そんな俺の悲痛?な叫びはなんの意味も無く俺はーーーーーーーーーーーー少しも減速することなく地面に突っ込んだ。
……………のだが、
「…………痛くねぇな、何か」
外傷はおろか、痛みすら無かった。
勿論、俺がこんな無茶苦茶な高度から墜ちても大丈夫な程に丈夫な訳じゃあない。
いや、まぁ普通の人と比べりゃあ丈夫な方だが……だからといって痛みすら感じねぇとかあり得ねぇだろ。
俺のグダグダな似非魔法モドキが成功した訳じゃあねぇだろうし…………
つーかあんなんで成功するんなら奇跡どころか神仏クラスだ。
何故助かったのかわからなかった俺は周りをキョロキョロと見回した。
すると、意外にも辺りには結構な数の人が居た。
ざっと見た感じ……100人前後ってとこかぁ?
幸いな事にその場に居たのは全員、フツーの人だった。
良かった良かったここで人外系に囲まれたら心砕けちゃうもん。
んー、歳は全員16~17で4~5人明らかに成人が居るって事はだ、学校か何かか?
更に辺りを見渡していると、ようやくお目当ての人物を見つけられたようだ。
10m程前方に一人だけ、ずっと俺の方を向いて不敵で蠱惑的な笑みを浮かべている金髪の少女が居たのだ。
多分、あの娘が俺を助けてくれたのかな?
そう思い俺はゆっくりと、しかししっかりした足取りで少女のもとへと歩く。
そして、互いに大声を出さずとも会話出来る程の位置にまで近づくと、少女の容姿がかなり優れている部類であるとわかった。
そして、その小さく適度に潤っている唇を動かして言葉を紡いだ。
「m6tjtmjじょqz2mg私pjskィsurprフised」
…………やっべぇ、何言ってっか全然わかんねぇ。
谷崎俊希の異世界あるあるその1
言語が全く違う為そもそも何を言っているのかわからない。




