第17話 人間の村
そのまま話題は移り変わり、村の暮らし、スクラップ場のその後、列車の寝心地、南の町の食べ物、そして例の老人が頑固だという愚痴へと移り変わった頃に村に到着した。
森の湿気やぬかるみは機械人形と相性が悪いため、森は比較的安全だ。だから行き場を失くした人々は、誘われるようにここに集まり村を作った。明らかに手作りの小屋が木に紛れて立っており、耕された畑に緑が植わっている。木を切る者、畑の世話をする者、薪を集める者……全員が不規則な動きをし、バラバラの会話をしている。人口は100も無いだろうに、機械人形の町よりずっとにぎやかだ。その光景は、町で育ったソラにも、人間を知らないハツにも、異様な光景だった。
「機械人形ノ町とハ違うのですね」
「うん……」
ろくな感想も持てないままに、男が村人に声をかけられてしまった。男は2人を草むらに押し込んで、そちらに行ってしまった。
「あの煙は何だったんだ?」
「なんでもなかった」
「そんなはず無いだろう」
誤魔化し切れていないやりとりが耳に入る。ハツだけでなくソラまで隠れる必要があるとなると、しばらくはここを動けそうにない。時間がかかりそうだと隣にうずくまるハツを見ると、何か考え事をしているようだった。そういえば、男と再会してからユウリについての質問くらいしか話していない。
「どした?」
「人間ハ機械人形とハ違いました。それガ心ですか」
機械人形と人間を比べて、何か思うところがあったらしい。
「そうかもなぁ」
「ソラハ、機械人形ニ心ヲ見出したことハありますか」
しばらく考えて、ソラは「南の町の機械人形には感じなかったけど」と前置きして思い出を辿った。
「ニコニコさんは、大量生産の機械人形だった。でもニコニコさんには心があった、と、思う。あとお偉いさんにも」
「オエライサン」
「そ。機械人形のリーダー。番号は……A‐0001」
「何ヲ根拠ニ心ガあるト判断したノですか」
あまり楽しい話題ではないのだが、ハツは容赦が無い。苦笑してソラは続けた。




