第16話 テロ組織
ソラの予想よりもハツは不器用だった。ソラが噴き出し、男がため息をつく。
「そういうことにしといてやるから、その子隠しとけよ。あとそれ食うなよ」
「やっぱ駄目かぁ」
「飯ならうちで食わせてやるから」
「やりぃ」
土をかけて火を消し、リュックサックを背負い直して男の後に続く。ハツも黙ってついて来た。
「ソラも移住か?」
獣道の先頭を歩きながら男が尋ねた。
「いやぁ、ニコニコさん探しの旅。ついでにユウリも探してる。なぁ、ユウリ知らねぇ? 半年前かな、あいつじっちゃんとこから家出したんだ」
「ユウリか」
その名を聞いて、男の声が低くなる。
「ソラ、ユウリ、とハ誰ですか」
後ろからハツに尋ねられ、ソラが小さく唸った。彼女を表せる柔らかい言葉が見つからない。
「じっちゃんの機械いじりの弟子、みたいな。町出てからかなーり世話になったんだよ。俺の姉貴みたいな人。じっちゃんがコッソリ心配してたから、会ったら声くらいかけようかと思って」
「あいつはなぁ……ここに……村に立ち寄ったが……」
男が頭を掻きむしった。それだけで察せてしまう。
「うわぁ、ここでも問題起こしてんのかぁ」
「まあな。……あいつは、テロ組織に入りやがった」
「わぁ」
いつかはやると思っていた。ハツがソラの背をつつく。
「ソラ、そノ、テロ組織、とハ何ですか。」
「機械人形を格別嫌って、町を取り返そうとする奴ら、かな。……うーん……じっちゃんになんて説明しようかぁ。げんこつじゃ済まねぇぞ」
町の城壁を破壊しようとしたり、線路に爆弾を仕掛けたり、簡単に言うと30年前の戦争の続きをしている集団だ。町を攻撃すると徹底的な反撃と報復を受けるため、生存確率は低い。
「おじさん、ユウリがどこ行ったか分かる?」
「西の町付近の拠点に行くらしい。村の奴らを一通り勧誘してから出て行った」
「西の町かぁ。あそこは燃料と工場の町だったか。まぁ、首都狙うなら確実だわなぁ」
さすがのソラも頭が痛い。世話になった姉貴分を連れ戻さないわけにはいかないだろう。
「とにかく、村では名前出すなよ」
分かっているとは思うが、と男が念押しした。どこに行ってもユウリの名前は地雷になる。
「はいよぉ」
「それから、なるべく顔も隠しとけ。ちょっとユウリがやらかしたから」
「なんで? まぁ、分かった」
面倒な恩人を持ったものだとソラは眉間を揉んだ。




