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第55話 【月欠無窮】と【日蝕無極】と【武学総論】確認

◇◆◇ 天魔神教(てんまじんきょう) 天魔仙跡:白蛇(はくじゃ)原始樹海(げんしじゅかい) 第六公子 白眉剣龍(はくびけんりゅう) 日月慶雲(じつげつけいうん) ◇◆◇



「――ふう。これで良し、と」


 横穴の拠点化は無事終わった。これで今夜からは寝床に困ることも無ければ、魂力の過剰消耗に冷や汗をかくこともなくなるはずである。

 拠点内部の空間は広々としており、特に天井は現在齢12にして五尺七寸(約170cm)ほどの身丈を誇る本座が槍法の修練をしても無理ないほど。

 入り口は草木で天然の迷彩になっており、さらに本座が敷いた陣法は不審者や野生動物の侵入を防ぐのに最適なものだ。これほどであれば如何に焔牙魔君が化境の達人であったとしても、まず見つかることはないだろう。


「……うむ、なかなか悪くないな」


 今回本座が設置した陣法の名は『四幻(しげん)淡海陣(たんかいじん)』。

 物理的な防御陣法と言うよりも、近づく者を惑わせる類の幻影陣法であり、淡海……すなわち湖が近くに存在することでその効果が増すという特性もある、まさにこの場にうってつけの陣法だ。

 もっとも先だって師匠から明かされた驚愕の真実に動揺し、その心休まらぬ中での作業だったゆえ少し心配だったのだが、そこは流石は本座。色々と足りぬものがある中では、それなりの完成度の陣が敷けたと自負している。


「――さて」


 ではこれからようやく【武学総論】の確認である。


「師匠、やるぞ。……武学総論の確認(いつものやつ)だ」


 昨夜軽い気持ちで計画したのが運のツキ。

 元々掘削作業と並行して行うことを予定していたというのに、その時間は師匠との雑談に消え、結果その順番は慣れぬ場所で陣法を敷くといういささか骨の折れる作業の後へと回ってしまった。

 ゆえに現在の本座の心の内を正直に述べるならば、『もはや面倒』という気持ちがないわけではない。さっさと【毒仙龍魂道典】と【四海覇皇道典】の練功に移りたいという思いも。


「ホホホッ、やっとじゃのう。……ああ童よ、陣の出来は悪くないぞ。綺麗にまとまっておる」


 しかし穴を掘り続けた午前中、語るだけ語って腕輪に引っ込んだ師匠もやっと外に出てきたのだ。別段、居なければ困るというわけでも無いのだが、弟子入りしてからのこの四年、常にこの『確認イベント』を楽しみにしている師匠だ。

 師を喜ばすのも弟子の務めと言うことで。



◇【主君】

・本姓:(てん)

・苗字:日月(じつげつ)

・名 :慶雲(けいうん)

・年齢:12歳 UP!

・種族:人族

・身分:天魔神教第六公子

・地位:潜魔

・武道境地:超絶頂熟練 UP!

・魂力位階:第三位階 UP!

・内功:約210年 UP!

・別号:白眉剣龍(はくびけんりゅう)

<天賦>天賦(てんぶ)黒龍六眼(こくりゅうりくがん)

    天賦:三頭千魔(さんとうせんま)

    天賦:流雲(りゅううん)踏影(とうえい) NEW!

    天賦:青華(せいか)丹理(たんり) NEW!

    真脈:太初真脈(たいしょしんみゃく)

    真脈:剣仙真脈(けんせんしんみゃく)

    武骨:無極之体(むきょくのたい)

    体質:超聴覚(ちょうちょうかく) Lv.5 UP!

    体質:超視覚(ちょうしかく) Lv.5 UP!

    体質:超嗅覚(ちょうきゅうかく) Lv.5 UP!

    体質:超触覚(ちょうしょっかく) Lv.5 UP!

    体質:超味覚(ちょうみかく) Lv.5 UP!

    体質:調和之力(ちょうわのちから)

    体質:無病長寿(むびょうちょうじゅ)

    体質:千毒不侵(せんどくふしん)

<功法>心法:玄魔養生功(げんまようじょうこう) 十二成(じゅうにせい) UP!

    心法:魔泉(ません)心法 九成(きゅうせい) UP!

    心法:万古(ばんこ)通霊(つうれい)道典(どうてん) 二層 UP&CHANGE!

    心法:毒仙(どくせん)龍魂(りゅうこん)道典(どうてん) 零層 NEW!

    心法:四海(しかい)覇皇(はこう)道典(どうてん) 零層 NEW!

    身法:理智海賢(りちかいけん)神功(しんこう) 九成 UP!

    術法:在魂(ざいこん)大法(だいほう)

    外功(がいこう)覇体(はたい)恒星身(こうせいしん) 十成 UP!

    魂法(こんほう)明月(めいげつ)錬魂法(れんこんほう) 十成 UP!

    剣法:寒霧月女(かんむげつじょ)剣法 九成 UP!

    瞳術:月欠(げっけつ)無窮(むきゅう) 第一章・円満 UP&CHANGE!

    瞳術:日蝕(にっしょく)無極(むきょく) 第一章・初学 NEW&CHANGE!

    呪術:阿修羅(あしゅら)破天(はてん) 一成 NEW!

   錬成術:真火(しんか)百錬訣(ひゃくれんけつ) 六成 NEW!

    etc...

    etc...



 ――ふむ、【毒仙龍魂道典】と【四海覇皇道典】は零層となっておるのか、ではさっそく一層に…………というわけにはいかぬか。

 そうよな、何から始めたものか……。


「天賦には大した変化はない」


 【黒龍六眼】はあれから特に強化されておらぬし、【三頭千魔】はそもそも全ての能力が解放されておる。まあどちらも本座の武道と魂力の境地によって力が増加するゆえ、そこが変わったといえば変わったことなのだがそもそもそちらは『鑑定』で表示される事ではない。そしてその他の天賦系の能力は一度は諸君らの前で『鑑定』したことがあったはず。

 ……となるとやはり――


「重視すべきは功法よな」


 となればまず言っておかねばならぬのは、秘笈書庫でさわりだけを身に着けたような多くの功法は『etc...』の中に含まれているということだ。これにはかつて第一次序列大戦で模倣した七魔直系家の基本功なども含まれる。


 七魔直系家の基本功や上乗武功に始まり、神教の偉人たちが残した神功絶学やかつての戦争で奪った正宗派武学の絶技、そして人知れず没した達人たちの秘伝。

 秘笈書庫にあったすべての秘笈は読破しているが、そのすべてを表示していてはきりがないし、今の本座の武学はただ剣を振るうだけにしても様々な妙理が溶け合っている。

 ゆえにそれぞれの剣法の境地自体にはあまり意味がないのだ。


 ――ああ、そうだ。一応例として今頻繁に使っている『軽功』の紹介だけでもしておこうか。

 おそらく今後これらの功法について話すことは無いゆえ覚える必要はないのだが、とりあえず大まかにでも本座がどのように功法を使っているのかだけでも理解してくれればよい。


 本座の主に使っている『軽功』――『軽身功法』はおおよそ三つ。【衡山(こうざん)猴王行(こうおうぎょう)】と【浮羽(うきは)踏雲功(とううんこう)】、そして【風神(ふうじん)無影歩(むえいほ)】である。


 まず【衡山猴王行】は樹海や断崖などの悪路の走破に長けた軽功だ。足で走るのみならず手も積極的に使って障害物を乗り越えることで、悪路を平坦な道を超えるほどの速度で動き回ることができる。

 そして先立って樹海での逃避行や追跡に使った功法でもある。


 次の【浮羽踏雲功】は体重の軽量化と跳躍力の強化に主眼を置いた、ある意味では最も軽功らしい軽功だ。極めれば水面に立つ『水上立』の境地はおろか、空を飛ぶことが可能となる『凌空(りょうくう)虚道(きょどう)』や空を歩くことが可能となる『虚空(こくう)踏歩(とほ)』の境地にすら到達しうる神功絶学でもある。

 これは昨日湖の上を『水上飛』で飛び回った時に体を軽くするために使ったものだな。例に出しておいてなんだが、あれは本座の痛恨とも言える滑稽な姿だ。諸君らにおいては是非とも忘れてほしい。


 そして最後に【風神無影歩】……なのだが、これは軽功と言うよりも歩法に近い特徴を持つ武功である。しかしそれでも軽功の花形とも言える【極快】の妙理においては『風神』を称するに相応しいだけの功法であり、本座はこの武功を影すら残さぬほどの速度のみに重点を置いた軽功として扱っている。


 それぞれがそれに適した地形と用途があるわけであるが、しかしこの三つの功法の中に単体で利用している物はない。樹海での逃避行も湖の水面を飛んだ『水上飛』も、この三つに限らず様々な軽功の妙理が混ざり合い本座独自の軽功を成しているのだ。そしてこの現象は軽功のみならず発生しており、本座の現在の武学は数多の功法が入り混じっている形となっている。


「――ん? 童よ。【月欠無窮】が『第一章・円満』に至っておるぞ。そろそろ【日蝕無極】の方に集中した方がよかろうな」


「ん? おお、そうか……わかった」


 【瞳術・月欠無窮】と【瞳術・日蝕無極】。

 陰陽が対となるこの二つの功法は【月欠無窮】が『(まぼろし)』を、【日蝕無極】が『(うつつ)』を司り、その成就が極致に至ればまさに天地を覆すほどの威力を持つ至高の瞳術……であるらしい。残念ながら今の師匠には、というか『見欲魂体』にはそれを展開するほどの力はないようで、今本座が話せるのは師匠からの伝聞のみである。

 そして『成』でも『層』でもない成就の表示をしており、本座を勘違いさせた原因の一つである。


 この二つの功法の成就段階は『成』でも『層』でもなく、『章』と『初学(しょがく)・中盤・大成・円満』によって表される。

 その他の新功法である【呪術・阿修羅破天】と【錬成術・真火百錬訣】が『成』で表されることを思えば、この二つのみが例外的な成就段階を踏んでいると勘違いした本座は悪くないのではなかろうか。……その時点で師匠に聞いておけば解決していたのだろうが、それは今更過去を振り返っても仕方がないということで。

 ちなみにだが【瞳術・月欠無窮】と【瞳術・日蝕無極】、この二つの功法は師匠の独門功法らしく、かつて夢瞳魔尊が『幻夢眼』を展開していたように現在の神教にも元となった瞳術の断片が伝わっているそうだ。


 ――さて、あとは【呪術・阿修羅破天】と【錬成術・真火百錬訣】の鑑定結果でも表示しておけば良いか?

 本座の悪癖であるところの『新功法我慢できない病』がそろそろ限界を迎えておるようで、いい加減に【毒仙龍魂道典】と【四海覇皇道典】の練功へと移りたくなってきたのだ。


〇【真火百錬訣】

<分類>:錬成法

<概要>:丹薬・霊材・鉱物などを錬成する基礎錬成訣。火力の調整と精密な熱操作を重視した扱いやすい法門であり、丹道・器道の双方に通じる入門功法として広く用いられている。百度に及ぶ火練を通じ、不純物を削ぎ落とし、素材本来の性質を引き出す。

<効果>:真火を発生・制御し、霊材や鉱物の精製・融解・錬成を可能とする。火力調整に優れ、丹薬の薬効安定化や物品の品質向上に効果を発揮するほか、修練を重ねることで真火の純度と熱量が徐々に高まっていく。


〇【阿修羅破天】

<分類>:呪術

<概要>:天魔神教の神物である聖火を媒介として発動する呪術。武道ではなく術道によって天魔の座へ至った者たちが修めるもう一つの天魔神功。その源流は【******】であり、聖火は太初神教の神物にして『********』の象徴である【****】の**である。

<効果>:聖火を通じて阿修羅を顕現させ、圧倒的な破壊と殺戮をもたらす。戦場の殺意や怨念が濃いほど術の威力は増大し、阿修羅もまた凶暴性と力を強めていく。


 ふむ、何気に【阿修羅破天】の内容が本座の知るものから更新されておるようだが……伏字となっておって良く分からぬな。まあいいか、どうせ習ったはいいが『聖火』がなければ何もできぬ功法だ。今は無用の長物であるしな。



◇◆◇



 ああ、一応念のため。


「ところで師匠。【月欠無窮】の第二章はまだ無理なのか?」


「ホッ? ああ、前に話さんかったかの? あれは魂力が第六位階にならねば発動せぬのじゃ」


 そうか。ではやはり次に本座が学ぶべき功法は【毒仙龍魂道典】と【四海覇皇道典】で間違っていないようだ。


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