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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは故郷に錦を飾る

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残る問題

 夕方になり、ムッチーノの街に入った第1公子フルジエロ。

 軍勢の多くは南門より外に残したままであるが、何人かの幹部と共に南門から街の中心部の代官館に向けて騎乗して進む。

「フルジエロ様、万歳!」

「ルングーザ公国、万歳!」

「公太子殿下!」

 もうフィウーノ王国による包囲も解放されるという理解のもと、ずっと街に閉じ込められていた住民は歓喜で公子を迎える。


「ニーニエロ、よく耐えしのいでくれた」

「いえ、マルテッラ殿下、そしてコグリモ準男爵、さらにはベルガミ子爵、バルバリス侯爵を先発として送って頂いたフルジエロ殿下のおかげです」

「皆も良くやってくれた」

 代官館でフルジエロが代官たちに労いの言葉をかけているが、レオはその場にいない。各門に配置していた仲間たちの顔を見に行き、無事であることを悪魔たちによる伝言だけでなく対面でも確認した後は、宿で先に休んでいた。

 昨夜に夜襲したこともあるが、今日の昼間はあちこちの戦場でいつも以上に魔力回復ポーションを大量に飲んで魔法を発動していたので、疲労の限界だったからである。


「レオ様、大丈夫かな」

「まぁ、いつも以上に頑張ったんだろうな。一晩寝れば大丈夫じゃないか?」

「それよりも、こんな日に代官館に行かなくて良かったのかな?」

「良いんじゃないのか?行かなくて良い言い訳ができたと思っているだろうさ」

 仲間たちは宿の食堂でレオのことを心配しながら、自分たちもいつも以上に疲れる日であったと振り返っている。

 一方、フルジエロのことを怖い、苦手と思っているレオではあるが、逆にその場に行かないことでまた余計な一言を言われるとうなされながら寝入っている。


 その宿に公女マルテッラからの使者が来る。

「今日は朝までゆっくりするように。そして朝には代官館に来るように」

「は。本人にしかと伝えておきます!」

 エルベルトが代表して使者に返事をして、その使者が宿を出るのを見送る。

「ま、明日の朝に伝えれば良いだろう。今日は起こすのをやめておこう」

「ですよね」



「そんな!起こしてくれたら良かったのに……」

 レオは朝食を皆と食べているときに知った、その使者のこと。代官館に行くと、きっと公子と公女からそれぞれ違った言葉で責められると顔を青くする。

「大丈夫だって。どう考えても昨日の立役者だろう?」

「いや、騎士団の人たちもしっかり活躍していたから、そんなことは」

「まぁレオがどう思っていても事実は事実だろう?」

「でも、レオが思うように魔法使いを見下している騎士団の人も居たよな」

 仲間たちが色々と言っている話は頭に入らず、とにかく急いで朝食を食べて代官館に向かうことしか頭にない。



「遅くなりました」

「あら、早かったわね。疲れ過ぎて寝られなかったのかしら?」

「いえ、魔力が回復する程度には寝させていただきました」

「なら良かったわ。昨日はお疲れ様」

 一応はマルテッラに付けられて従軍してきた認識のレオは、公女に最初の挨拶をする。


「お兄様のところにも行く必要があるわよね。一緒に行ってあげるわよ」

 ただ、それがレオ自身への言い訳であることは公女に見抜かれており、フルジエロの部屋にもすぐに向かうことになる。

「お、来たか。昨日はご苦労だったな」

「は」

「ははは。相変わらずだな」

 自分に対して怯えていることは分かっているはずなのに、絡んでくるフルジエロ。


「早速だが、問題がある」

「は」

「コスターレたちのことだ」

 レオは侵略された迎撃、途中からはムッチーノの街の救援という意識ばかりだったが、もともとフィウーノ王国に攻め込んだのはコスターレ第2公子たちである。彼らがこのムッチーノの街に逃げ込んでいないままこの街が包囲されていたのである。

「このムッチーノの街を包囲するフィウーノ王国軍は近いうちに居なくなるだろう。ただ、コスターレたちの消息がわからないままであれば、休戦交渉もままならない。今回に撃退したことで上の立場で臨めるのか、コスターレという捕虜を踏まえた立場になるのか」

「捕虜になったという噂はないから、例え話よ」

 捕虜の単語で不安が顔に出たレオに対して、マルテッラが補足してくれる。


「もともとアナベルトが嫁いだザガローマ帝国への付き合いで、コスターレを総大将に少数でフィウーノ王国に攻め込んだだけだ。ザガローマ帝国がクロトリノ大王国との開戦で兵を引いたとなると、フィウーノ王国の本気に対抗できる戦力ではない」

「……」

「ムッチーノを取り囲むフィウーノ王国軍からは、コスターレを盾に何か言ってくることは無かったようだから、捕虜になった可能性は低いと思われる。となると、フィウーノ王国領内のどこかで籠城しているのだろう。救いに軍勢を差し向けると戦争が泥沼化してしまう」

「レオ、少人数で調査に行って欲しいという話よ」

「!」

 俯きがちに話を聞いていたが、最後の話には思わず顔を上げてしまう。

「ま、そうは言ってもまずはこのムッチーノの解放が先だ。それにお前がとらえた南陣の大将からの情報入手がまだだ。今のところは、そういう話があり得ると心づもりをしてくれるだけで良い」



 ムッチーノを包囲と言っても今は、西、北、東だけになったフィウーノ王国軍に対する対応、おそらくまた夜襲することの指示をされるだけと思っていたレオ。

 そのレベルではない重い話をされてしまい暗い顔で、いつものように城門の防衛に向かう。

 城門の守備隊長は、昨日の疲れが残っているのだろうと放置してくれるが、他の門の様子を見に行ったときに仲間には心配される。

 守備隊もいる中で機密情報は話せないので、夜に宿で仲間に事情を共有することになった。


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