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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは故郷に錦を飾る

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南門の確保

「コグリモ準男爵ですか?助かりました!」

 レオは陣に戻り、昼食になるものをつまみながら怪我人の治療を再開していると、先ほど飛び出して行った騎兵隊が戻って来たようで声をかけられる。

 面識があるわけではないので適当に会話しながら、突撃したことでの負傷者への治療も行う。


 残りが軽傷者だけになったところで、陣の中心部に戻って治療の状況を報告する。

「そうか。神官を連れて来られていなかったから助かるぞ」

「だが、迎撃はこれでおさまらないだろう、のんびりしている時間はないぞ」

 そこで待機しているだけに見える幹部の1人から偉そうに言われるが、そのこと自体は同感なので再び≪飛翔≫で上空に上がり、フィウーノ軍の様子を確認する。


「大変です!敵は二手に分かれて、東にも派兵しています!」

 レオは確認した内容を地上にいた幹部たちに伝える。

「やはりそうか!良く見つけた!」

 先ほど偉そうな発言をした幹部とその近くの3人はすぐに席を立ち、天幕から出たところで叫ぶ。

「出るぞ!東だ!」

「「は!」」

 短い言葉で伝わったのか、天幕の外で控えていた兵士たちが駆け出して行く。再び上空に戻ったレオが様子を見ていると、先ほどの幹部が騎乗して陣の外に出たときにはすぐに出発可能な状態で騎兵隊が陣の東側に整列していた。先ほどは陣の外に味方は居なかったはずなのに、である。

「出発!」

 再びの短い言葉で先頭を走り出した幹部にその騎兵隊が揃って走り出す。



 自分の仲間たちではあり得ない動きに目を奪われていたが、ふと我に返って北側を確認する。

 フィウーノ軍の別れた騎兵隊はフルジエロたちの方に向かっているのだと思われるが、残った一部の騎兵隊と歩兵隊が南下を開始している。

 南門方向に向かった敵軍は、いま飛び出して行った味方とフルジエロたちが対応すると割り切って、自分はこの南下してくる部隊に、と意識を切り替える。


 とは言っても、敵の数は多く、自分1人でできる程度は知れている。再び天使と悪魔たちと一緒に、≪飛翔≫による上空からの≪夜霧≫や≪爆炎≫による混乱での遅延行為と≪石壁≫などによる防衛強化くらいである。

 ときどき味方の陣地から騎兵隊が飛び出して敵軍と交戦したり、歩兵同士が馬房柵を挟んで矢を飛ばしあったりするのを見る。敵軍の数が多いのでどうしても馬房柵に到達される場所が増えてくるが、味方は槍で応戦して耐えているようである。

 たまに劣勢になったのが見えると、その馬房柵の外側に≪爆炎≫を発動して味方の協力をしたり、壊れかけた馬房柵のところには≪石壁≫を発動して補強したりする。



 なんとかこう着状態にまで維持できていると、一息つきながら魔力回復ポーションを飲みながら全体の様子を見ていると、陣の中心部で自分に対して呼びかけているような手振りが見える。

「お呼びいただきましたか?」

「はい、こちらへ」

 言われるまま天幕に入ると、残った幹部たちが軍議をしていたようである。


「今の状況を教えて貰えないか?」

 自分が認識しているこう着状態を答える。

「やはりそうか。上空から見てもそうであるならば、正しいのであろう」

「となると」

 自分の発言そのものというよりそれを踏まえた全体に対する話をしているようで、どうしたら良いのか分からないまま待つしかないレオ。


「では、今日はこのままでも何とかしのげるな」

「はい」

「コグリモ準男爵、今からは南門に向かったフルジエロ殿下の支援に行ってくれ」

「は!」

 とても質問などできる感じではないし、言われるまま≪飛翔≫で東に向かう。おそらく陣地は自分が居なくても大丈夫と判断する材料があったのだと思うことにする。



 再び上空から南門付近の戦況を見ると、もともとそこに陣取っていたフィウーノ軍の残りは少なそうだが、西門付近にいた本体からの支援部隊に味方が押されている感じである。

 その敵の支援部隊に南側から突撃と離脱を繰り返している統率が取れている騎兵隊は、先ほど出発して行った部隊と思われる。

 しかしその攻撃を無視するようにフルジエロたちに突撃しているのが敵の騎兵隊である。フルジエロたちは挟撃された状態で、その西側の敵への対応に苦戦している感じである。

 おそらくバルバリスの部隊と思われる、ムッチーノの街に近い側からの攻撃は午前ほどの勢いがなくなっているが、それを迎撃するフィウーノ軍の残りも少ないので何とかなっているようである。


 大軍を殲滅するような魔法を使用できるわけではないレオは、引き続き敵の指揮官と思われる者への≪夜霧≫とその近くへの≪爆炎≫を天使・悪魔と乱発した上で、フルジエロと思われる人物がいるあたりに降り立つ。

「おぉ、来たか」

「はい、陣地の方からこちらへ向かうように指示されました」

「アイツらも苦しいだろうに。ありがたく受け取ろう。もう様子は見たよな?攻撃もしたようで、少し敵の勢いも減ったみたいだが」

「はい」


「器用なお前への命令だ。元々の南陣を指揮していた奴を捕まえて来い」

「は!」

 無茶なことを、とは思うものの、フルジエロたちが挟撃になっている状態は理解している。その元の南陣がなくなれば形勢逆転するのだろう。



 上空から改めて確認すると、元の南陣だった敵の数はそれほど多くはない。しかし陣地を築いていただけあり中心部にまで味方は到達できていない。その中心部で騎乗しながら各方面に指示を出しているのが大将だと推測される。

 地上に≪大夜霧≫を発動しつつ、自身は≪夜目≫を使用することで混乱している大将の真横に接近する。その上で≪睡眠≫を悪魔アクティムとファリトンに発動させると狙い通り拘束することができた。

 鎧もあるので体術≪肉体強化≫だけでは不安なため≪浮遊≫をその大将に発動して上空に連れ出す。そして≪大夜霧≫を解除する。


「あれは!」

「武器を捨てろ!」

 風魔法≪集音≫の応用で自分の声を敵陣に拡散させる。あまり長々とした言葉を発するとボロが出そうなので、余計なことは言えない。


 遠目にレオが実施したことを理解したフルジエロが周りに指示をすることで、もとの南陣であったフィウーノ軍を武装解除していく。

 途中でそのことに気づいたバルバリスたちもそれに協力するとともに、ムッチーノの城内にも連絡する。

 そして南門が開門され、そこから城内にいた騎兵50騎が飛び出してくる。


 この時点でムッチーノの街とフルジエロたちの軍勢が繋がり、南部の制圧が完了する。

 その認識がフィウーノ軍にも伝わり、西の本陣から派遣されてフルジエロたちの後方を攻撃していた騎兵隊も撤退を開始する。

「今こそ反撃のときだ!」

 挟撃されて苦しんでいたフルジエロたちの部隊も撤退を始めた敵軍へ追撃を行う。


 遠くでは、味方の陣地を攻撃していたフィウーノ軍も撤退を始めたようであり、そこへ追撃している味方が見える。


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