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先輩の思い
「なんで、先輩がうちに…?」
今日はゆっくりしたかったのに、一番合いたくない人に会ってしまった。
先ほど花音と一緒になって先輩の悪口を言っていたことにと対する罪悪感で先輩に合わせる顔がない。
でも先輩はそんなこと、知る由もないから優しい顔で話しかけてくれる。
「今日は、いきなりごめんね。花音ちゃんを傷つけちゃうし、奈々未ちゃんを困らせちゃうし、ほんと俺って最低だと思う。」
そんな、最低なのは私なのに。
料理作ったのは私が決めたことだから、私だって花音を裏切ったのに先輩のいないところで先輩のこと悪者扱いして。
でも私は「大丈夫です。」としか答えられなかった。
言いたいこと、謝りたいことは山ほどあるのに結局何一つ言葉にできなかった。
――暫く二人の間に沈黙の時間が流れる。その沈黙は私にとってとても息苦しいものだったので、部屋に戻ろうとした
―が、先輩に引き留められる。
「奈々未ちゃん…………これだけは知ってほしい。本気で好きなんだってこと。料理の味に惚れたって言ったけど、それだけじゃない。実はもっと前から好きだった。」




