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死術録

治神恩恵ディリアスベネフィット


この魔術は治癒を司る神、治神ディリアスに魔力とポジティブ的記憶を捧げて場所、対象を指定する。

とられる魔力は無駄に高い俺の魔力量でさえ一日一回ほどしか打てないが、最高の結果をもたらしてくれる、のだが、最上級魔術のだとはいえ二つほど欠点がある。

一つ目は俺自身に関係する。

魔力とポジティブ的記憶を捧げることでこの魔術はつかえる。

魔力は全然いいんだ。

しかし、ポジティブ的記憶を捧げるって言うのが問題なんだよ。

記憶を捧げるっていってもとられるわけじゃない。

その時に良かったと、楽しかったといった記憶を奪われていく。

全部とられるわけじゃないけど、これはほんとに辛い。

二つ目は対象に関係ある。

この魔術は魔術相手にとメンタル的には効かない。

簡単に言うと、魔術によって怪我した時と心理的に絶望してる人とかひどく落ち込んでいる人とか、には全く効かない。

まあ、二つ目は今回の話を聞く限りでは魔術による怪我はないだろうから大丈夫だろう。

枯渇ギリギリの俺は薄緑色の光が降り注ぐ城下町をみている。

もう、楽しかったと思った記憶も徐々にとられている。

そして、あんなに格好つけながらダサいことをいっていた俺の心情も堕ちていく……


「ああ、これで助けた人たちになんでもっとはやく助けねえんだよ!とか言われながら殴られ蹴られあげくのはてには吊し上げられて包丁とかでゆっくりと刺されていくんだ……」

「え?どうしたんですかぁ?」

「いや、そっか、その前にビスルトにお礼と称して木箱のなかにつめられ壁の外に放り出され魔物たちの餌にされるのか」

「いやいやいやぁ!!?どうしたのさぁ!そんなことしないよぉ!!?」

「いや、俺は騙されないからな! 」


そして俺はおもむろに獲物を抜き自分の首に当てる


「それだったらいっそ、ここで!!」

「わあああああ!!それはガチでやっちゃダメなやつだからぁ!!」


すぐさま女の子にすら押さえられる俺


「はなせぇ!どうせ殺すんなら自分で死んでやるからぁ!!」

「いい加減話を聞いてよぉ!!なんでそんなネガティブになってんのさぁ!」

「話を聞いてっていっといてあいつらみたく車椅子に縛り付け逃げられないようにして強制的に魔術を使わせる気だろ!」

「そんなことしないってぇ!!っていうかあいつらって知らないよぉ!!」

「お望み道理死ぬんだからはなせぇ!」

「いつそんなことを望んだんだよぉ!!」


「レストラント!」


ビシィ!


「なっ!!」


突如エルムの動きが止まる。

まるで一時停止をくらったかのように


「ありがとぉー、まあ、予想以上に非力だったけどぉ」

「……どうせ俺なんか女の子にすら力勝負で勝てないただの木偶の坊ですよ……」

「聞こえる状態だったのぉ!?」

「その魔術は動きを止めるだけですからね」

「まあ、なんにせよ助かったよぉ、アリスさん~」

「いえ、当然のことをしたまでです。女王陛下。

それと、さん付けは結構でございます」

「へっ?まあいいやぁ、さっきの話を聞いていたんだねぇ」

「さっきの話?いえ、先ほど魔術で知ったまでです」

「魔術でそんなことを知ることができるやつなんてあるんだねぇ」

「この魔術はオリジナルですので知らなくて当然かと」

「凄いと思うんだけど一つだけいいかなぁ?」

「なんでしょう」

「その口調やめてくれないなぁ?」

「ほーい」

「軽!!」

「いや、私もこの口調嫌いなんだよね。それと、私のことはアリスでいいわ」

「じゃあ私の事もビーナでいいよぉ?」

「あらためてよろしくね、ビーナ」

「よろしくねぇ、アリスぅ」

「アリス、これを解いてくれ、死ねないじゃないか、いや、アリスはビスルト側で魔術で俺を死ぬか死なないかの境目ぐらいのところでいたぶるんだ、やっぱりもうだめだ……」


空気になっていたエルムはまたもやネガティブ発言を繰り返すようだ。


「ねえねぇ、なんでこんな状態になったのかわかるぅ?」

「全然?いつからそうなったの?」

「いつも俺はこんなんだよ、なんで俺なんかが生きているんだろうか…」

「ちょっとエルム君は黙ってようね」

「ヒィ!!」


何やらアリスから黒っぽいようなオーラが見えた気がしたようで冷や汗がだらだらと流れているエルム。


「で?いつから?」

「さっきぃ、なんだかスッゴい魔術を使ったときからかなぁ?」

「まあそれでしょうね」

「魔力以外に代償を払うやつなんであるのぉ?」

「ないことはないわね」

「へぇ~」

「でもそんな代償を使う魔術なんて相当高位な魔術じゃないと無いのに……ねえビーナ、魔術名、何て言ってた?」

治神恩恵ディリアスベネフィット、だったかなぁ?……ディリアス?ねえ、ディリアスってあの三大女神の一人のぉ……」

「……えっ?神名みな?ってことは……天級?う、嘘でしょ?」

「天級?なにそれぇ、魔術って最上級までじゃないのぉ?」

「一般的には……ね、最上級っていってるわりにはまだ上があるのよ。

下級、中級、上級、最上級

のように魔術は最上級までと教わるのよ。これ以降はほとんどの人が誰も知らないの。でも、まえ学校の禁書エリアを漁ってたとき……」

「アリスってそんな子だったのねぇ。人は見た目によらないわぁ……」

「ほんとだよ…」

「だまらっしゃい、まあ、その禁書エリアを漁ってたときに死術録ってやつを見つけちゃったのよ。

それを読んだとき唖然としたわ」

「なっなんでぇ?」

「私たちが見てきた魔術ってのほんの一部だったのよ。」

「……どういうことぉ?」

「ここで話すことは一切他人に話さないでね?エルム君も」

「「……うん」」

「あの本に書かれていたのは…………」


そして、アリスはその死術録という禁書について語った。

魔術の階級、魔術の歴史、そして、魔術の危険性を……………

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