85 猫師匠の教えと狼達との狩猟
お友達が増えました。
仲良くなれるかな?
ぶっちゃけ俺的にはコイツ等の魔法の方が気になる。
特に猫だ。
コイツ一体何をした?
一旦狼たちの仲を取り持った後、猫を質問攻めにした。
俺が質問をして猫がニャーかニャン!で答える。
「さっきのはお前の魔法か?」
「ニャン!」
「俺達の魔法を奪ったよな?」
「ニャー」
「俺にもまねできる?」
「ニャー」
「簡単?」
「ニャン!」
「お前は他の魔法を使える?」
「ニャー」
「でも普段はあんまり使ってないよな?」
「ニャー」
こんな感じでこの猫に弄ばれつつ聞き出した情報によると。
どうやら他者が発動中の魔法を気合と根性で奪うらしい。
魔法と言うのは願いや思いの様な感情と魔力と魔力の操作技術で発動する。
で一般的には自分以外の魔力や魔力が宿った物を操る事は難しい。
自分以外の物質や空気中に漂う魔力などを操るのは至難の業だ。
一度体外に出た自分の魔力でさえ操るのは簡単ではない。
だから皆最初は手や杖から放出する系の魔法を訓練する。
そして難しいと言うかほぼ無理なのは他者の魔力や魔法を操る事。
既に他人の意思が宿っている魔力や物は操れ無いと思ってた。
エルフのジジイもそんな事言ってなかった気がするし・・・
言ってたっけ?忘れた。
もっと難しいのは他者の体内にある魔力を操る事。
まぁそれは猫にも無理らしい。
それが出来たら問答無用で相手を爆殺できるのにね。
とにかく猫がやっている事は、
『他者の意思で発動している魔法』を
自分の意思で上書きして主導権を奪っている。
それに必要なのは相手より強固な意思
――つまり気合と根性だ。
ちょっとやそっとの差じゃ不可能で、
かなりの『強固な意志』と『相手を上回る魔力操作の技量』が必要らしい。
狼達との狩の合間にそのコツを教えてもらった。
所代わって狼達にはスイとエンとユキとミカの英才教育が行われている。
突風狼も鮮血狼も属性的には聖側だった。
なので回復魔法をあっさり取得した。
彼等は元々魔法を使ってたので、他の魔法もあっという間に覚えた。
雷撃とか一点集中水圧ブレスの魔法とか火炎放射とか色々覚えたらしい。
それぞれの種族にある程度の適性があるみたいだ。
魔法発動までの時間や威力は適正によって違っているらしい。
全て等しく高い練度で使いこなせるわけでは無いらしい。
スイは水と風、エンは炎と風、ユキは冷気?氷?と風かな?
ミカはまだはっきりしないけど雷系の魔法を好んで使っている。
突風狼は戦った時に使っていた風。
鮮血狼は一応水?赤いけど水系の魔法が得意なようだ。
因みに俺はよく分からん。
そうして魔法や連携の練習をしながら魔物を狩って行く。
コイツ等のお陰で魔物の狩る量が爆発的に増えた。
狩を行う時は数チームに分かれる。
俺達と狼達。
突風狼のリーダーと狼達。
鮮血狼のリーダーと狼達。
って感じで別れて行う。
お陰様で三倍以上の効率となった。
十分な食事を与えた結果。
元から大きかった狼達はさらに大きくなった。
最終的には、巨大化したスイやエンと同程度になった。
この急激な成長にも慣れたけどコレだけ沢山の狼の魔物が一気に大きくなると少しビビる。
時々、狼の毛並みを整えたり、傷を治すついでにマッサージしたり、
一緒に遊んだりしたが、この巨体とじゃれ合うのは一苦労だった。
体は大きくなったが食事の量は不思議と大きくは増えなかった。
ユキ達もそうだが意外と燃費が良い。
そんな風に魔境の森の魔物を狼たちと狩り続ける。
――今、目の前に居るのはいつか会った二足歩行のマッチョ猿だ。
「なんか筋肉増えてね?」
『それに前のよりも大きな集団みたいね』
ユキも違いに気が付いたらしい。
数も多いし、マッチョだし、枝とかを棍棒みたいに使っているし。
「孤立しない様に気を付けろよ」
狼達全体に注意を促す。
そして、狼たちは一塊になって魔法で攻撃を始めた。
様々な魔法を使って猿の弱点を探って行く。
猿は魔法を警戒していて、魔法を放つと大きく引き下がる。
なのでまず、突風狼達は猿の周囲を囲い込みつつ風魔法で追い詰めていった。
徐々に囲い込み、鮮血狼が上から魔法攻撃する作戦だった。
しかし予想以上に猿の身体能力が高く。
超ハイジャンプで魔法の囲いと上空からの攻撃を躱す。
そして大猿達は本領発揮と言わんばかりに木を使って立体的な攻撃を仕掛けてくる。
だがそれは我々も同じだ。
突風狼達が猿の後を追うように木々の合間を移動し始める。
それでも大猿ほど上手く移動できていないが問題ない。
突風狼達は逃げたり追いかけたりし、猿を地上付近に追い込む。
まんまと誘い込まれた猿。
鮮血狼による地上からの集中攻撃を食らって、あっさり狩られる。
大猿達もバカでは無い。
しっかり学習して地上を警戒し始めるが――
そうすると動き回る突風狼にチクチク攻撃される。
そのうち苛立ちを抑えきれない個体から徐々に狩られていく。
高い木の上からボトボトと大猿が落ちてくるのは面白い。
俺は和弓を出して不意打ち気味に木の上の猿を狩る。
ユキも隙を見て猿に尖った氷の塊を飛ばしている。
「やっぱり協力した方が強いね」
そう呟くと隣にいた鮮血狼は頷く。
――そんな感じの狩が続き、時間が経った。
遂に俺はあの技を習得できた。
他者の発動した魔法を奪う技。
相手が魔法の炎を飛ばして来たらそれを奪い消滅させたりそのまま跳ね返したり出来る。
しかし超便利ってわけでもなかった。
相手によって奪い難い事もある。
なので魔法を奪おうとして失敗し相手の魔法が自分に直撃する可能性があるのだ。
よっぽど実力差がある相手か余裕がある時でないと使えない技だ。
「スイ!水の玉を俺に向かって飛ばしてくれ」
俺がそう言うとスイは普通のバケツ一杯分位の水を俺に飛ばしてくる。
ポーン!
ゆっくりしかし真っ直ぐ飛んでくる水魔法を奪う。
・・・奪えない。
そして水が俺にブッかかる。
パシャ!
「冷たい・・・」
スイは呆れて、猫はニコニコ楽しそうに笑っている。
「スイは魔法が上手って事だな」
そう言う事にしておこう。
猫師匠曰く出来るようになるまでは大変だが、
慣れてしまえば意外と簡単に出来るようになるらしい。
ホントかな?
とにかく地道に練習する事にした。
魔物をどの程度狩ればいいのかと言うと、単純に町に被害が及ばなくなる程度だ。
現状で十分狩ったと言えるだろうし、こいつ等が居ればさらに大丈夫だと思う。
よって、問題は解決したと言える――のだが、いかんせん楽しい。
なのでもう少しこいつらと狩をする事にした。
魔法とはとてもフワッとした現象なので、半端に使っていると奪われてしまいます。
その点、猫さんはとっても優秀なのです。




