81 東に行く前に色々と。
ひっさしぶりの投稿です
書き方を変えてみました。
見やすくなったでしょうか?
他のもちょっとづつ手直ししていきます。
東に行くのだが、それまで数日の時間が出来た。
なんだかんだアーロン達も色々と準備があるらしい。
東の町では別行動ではあるけど、道中は一緒に行くことになった。
(何しようかなー)
とか考えていた矢先の事。
出発までの間、あれやこれやと忙しいアーサー団長に代わって、
近衛兵団の訓練してくれと依頼が来た。
訓練と言うかちょっとした気分転換のつもりらしい。
手紙には「気が緩んでる。団員の気を引き締めてくれ!」と書かれていた。
依頼と言うより、手紙で日時と場所を指定されただけの部下への命令だが・・・
アイツって意外と人使いが荒くない?
心の中で文句を言いつつ、指定された日時に現地に行く。
――時刻は午前中、王城の裏の訓練場にて。
訓練場に少し早めに到着したが・・・
「はー、訓練とか必要か?」
「今日も団長こねぇってよ。」
一目でたるんでいるのが解る有様だ。
近衛兵がこんなので大丈夫か?
様子を眺めていると兵隊さんの内の一人が寄って来た。
「あなたがハンターのヒロさんですね?」
茶髪の青年兵士が話しかけてくる。
「そうです。あなたが副団長さんですか?」
「はい、私が近衛兵団副団長のボルドウィンです。今日はよろしくお願いします」
握手を交わす。
副団長と言う事はアーサー団長の右腕という事だ。
相当優秀なのだろう。ちなみに副団長は数人居るらしい。
「今日は気分転換とたるんだ団員の引き締めと聞いたのですが?」
「はい、あなたに彼らの尻を引っ叩いて貰えと、団長から・・わたくしもほとほと困っていた所です」
ボルドウィンさんも部下に手を焼いているようだ。
「大きな事件も少ないので気が緩んでしまっているのですね?」
「その通りです」
「現場復帰できる程度にビシバシお願いします」
なるほど・・・
――腕が鳴る。
時間になり団員が集まる。
がどいつもこいつも気だるそうだ。
ボルドウィンが大きく息を吸い、声を上げる。
「注目!!」
彼の号令によって全員ビシっと気を付けの姿勢に成る。
おお!一応規律はあるみたい。
「今回から数回アーサー団長に代わり彼が訓練の教官を務める」
「王女殿下お抱えハンターのヒロ殿だ」
紹介された俺は前に出る。
「死なない程度に鍛え直すので頑張ってください」
そう事実を述べたつもりだった・・・のだが。
「はっはっは!!」
「ハンター如きがデカい口を叩くな」
「なめられたもんだぜ」
兵隊さん達は余裕しゃくしゃくで嘲笑ってくる。
「それはすまなかったな。期待しておくよ」
さすがは近衛だ。たるんでいてもプライドは一人前だ。
あいさつの後、ウォーミングアップ開始。
初めはランニング。
「ボルドウィンさん!この犬と先頭を走ってください」
「俺とこの犬で後ろから遅れた者のケツを引っ叩きます」
「わかりました。行きましょうか!」
走る前スイに指示を出す。
「いつも通りで良いからな」
スイがいつものペースで走り始める。
デカい口叩いたんだから当然付いてこれるよな?
「おいおい、いつもより早くないか?」
「はっ、早い・・」
兵士たちは不安げな顔で声を漏らす。
まぁ、気のせいでしょう。
「おいおい!遅れてるぞ!!」
そう言ってキレ散らかしながら棒をぶん回すのは俺です。
「なんだアイツ!やばくないか!?」
俺の様子を見た兵士達の表情が曇りだす。
普段のウォーミングアップの半分ほど走った。
ついに限界が来た兵士を発見。
「はぁ・・はぁ・・」
兵士の一人は膝を付いて息をしている。
俺の出番だ・・・
「おい・・誰が休んでいいと言った?」
低い声と殺気で威圧しつつ、スパァン!!と棒で尻を引っ叩く
「ひいいぃぃ!」
休んでいた兵士を列に無理矢理戻す。
また一人遅れた者にエンが噛みつく。
「うぎゃあああ!!」
血塗れにした兵士を回復して無理矢理列に戻す。
死ななけりゃ問題なし。
俺とエンが吠え猛り、兵士達を泣かせながら走らせる。
地獄よりはマシって感じ。
あれ?
途中からスイがペースを落としたらしい。
スイは優しいな。
どうにか走り終えて座り込む兵隊さん達。
「おい!!」
俺はブチギレながら叫ぶ。
「訓練中だぞ!!?」
「誰が座れと言った!!?」
発した魔力に殺気を乗せると全員がビビり散らかす。
「次は素振りだ。」
「自分の武器を持て!」
「そして振り続けろ!!」
俺が叫ぶとキッチリ並んで素振りし始める兵隊さん達。
一人一人の形を確認する。
出来てない奴にはキッチリカッチリ教える。
気合が足りない奴が何人か居たので覚えて置く。
素振りの後は少し休ませる。
「これを食って少し休憩しろ」
そう言って野菜人と塩と水を出す。
果物で糖分をとり、野菜に塩をぶっかけて塩分を取る。
「う、うめぇ・・・」
全員ムシャムシャ貪り食っている。
因みに、スイとエンはまだまだ元気だ。
休憩の後は打ち合いをさせる。
弓を使う部隊も、基本的な打ち合いの訓練は必要だ。
――で打ち合いを見物するが・・・
まぁアーロンほどの実力の者は一人しかいない。
「ボルドウィン」
「はい?」
「俺とやろう」
あまりにも退屈そうにしていたので、彼と打ち合いをすることにした。
「あなたの実力は団長も図りかねていたご様子、この私が見て差し上げよう」
ボルドウィンは自信満々に宣言してきた。
「では胸を借りるとしよう」
そうして木の槍同士で打ち合いが始まった。
彼は最初、相当手を抜いていた。
だから――初手で手痛い反撃を食らわせた。
バコォン!!
「ブハッ!」
ボルドウィンの顔面を槍の柄でブッ叩いた。
「実力を見てくれるんだろ?」
「これはこれは・・・少々見縊っていたようです」
「ブロンズクラスを見縊るなと言う方が無理な話だし、しょうがないぞ」
鼻血を拭いながら、ボルドウィンは徐々にギアを上げ始めた。
全ての攻撃を避ける事は出来るが、一応打ち合いなので、槍で受けたり反撃したりする。
「まだまだ本気じゃないだろ?」
「全力で来い」
そう挑発気味に言ってみた。
「実力を図ろうなどと思った私がバカでした」
「全力で行かせてもらいます」
次の瞬間。
彼は魔法の【身体強化】を使ってきた。
しかし、不完全。
習得したてって所だ。
魔力と魔法の制御が甘すぎて、動ぎがギコちない。
「集中しろ」
「全身満遍なく行き渡らせろ」
「あっちこっちに偏り過ぎだぞ」
打ち合いの最中アドバイスの言葉をかけ続ける。
彼は魔力の制御がまともに出来ていない段階で習得してしまった感がある。
彼的には魔法では無く、俗に言う気合とか根性とか、そう言う感覚なのだろう。
少し様子を見つつ打ち合っていると、若干マシになって来た。
かなりボコボコにした所で一旦終了。
「まだ実用段階じゃないな」
「もう少し安定するまでは普通に戦うべきだ。」
へとへとになったボルドウィンに声をかける。
「あ、ありがとうございました」
彼はそう返事をしてから休憩に入る。
「じゃあ次は、お前達だ」
先ほど目を付けていた男たちを指名して呼び出す。
「お前ら全員、いっぺんにかかってこい」
指名した男たちと多数対一の打ち合いを始める。
コイツ等は生意気な口を叩いていたが、最初と比べて少しは大人しくなった。
カンッ!
バコッ!!
攻撃を弾きブッ叩く。
連携も上手くとれていないのでお互いを殴ったりしていて面白い。
どれだけやっても改善しない。
(ボルドウィンに指揮させたらマシになるか?)
「ボルドウィン!こいつらを指揮してやってくれ」
ボルドウィンの指揮が入ると兵士達の動きがガラリと変わる。
面白コント集団から一応兵士っぽくなった。
「かなりマシになったな」
「今までの体たらくで一体何と戦うつもりだったんだよ?」
「えーっと・・・敵?とか?」
面白コント兵士1は恥ずかしそうに目を泳がせる。
「敵を笑い殺すとかか?」
「い・・いやぁ・・・そう言うわけじゃなくって・・」
面白コント兵士2も恥ずかしそうに顔を真っ赤にしていた。
そんな感じでビシバシ指導した。
――この日の訓練が終わる頃には全員ぐったりしていた。
「こういう感じで明日は本気でやるからキッチリフル装備で来いよ」
俺の言葉を聞いた多くの者の表情に絶望が浮かぶ。
この訓練程度で絶望を感じる奴は兵士に向いていないと思うけどな。
その後は彼らの様子を見つつ明日の準備をした。
――次の日
訓練をサボろうとする兵隊さんを無理やり引き摺ってきてもらい、
今日も元気に訓練する。
何人か涙目の兵士もいるが、しっかり全員集まった。偉いぞ。
昨日の挨拶替わりの訓練のお陰で、最初っから真面目に訓練している。
今日は本格的な装備と軽い遠征用の荷物と背負って走らせる。
いわば強行軍的な訓練。
「ひいいぃ!!」
「昨日よりキッツい・・・」
まあ、二日目で慣れるわけも無いので、皆ヒィヒィ言っていた。
その後も訓練は装備を付けたまま実践的に行った。
――訓練後
「おっし!お前ら!飯の時間だぞ!!」
事前に色々と準備しておいた肉を団員達に振舞う。
「お前らの食生活に肉が足りない。」
「だから、肉を食え。」
俺はそう言って西の平原の魔物牛を豪快に焼いて食わせた。
味付けは特製スパイスでちょいと辛めだ。
あとサイドメニューで薬草で作った美味しいスープを付ける。
栄養たっぷりだ。
「うまああああああいいいい!!」
面白コント兵士1
「なんじゃこれえぇぇぇぇぇ!!!うますぎるぅ!」
面白コント兵士2
喜び方は独特だが喜んでもらえてよかった。
なんで食事をさせているのかと言うと。
コイツ等の食事は適当すぎるのだ。
パンだけとか節約のために果物しか食べないとかそんなのばっかだった。
だから肉を食わせる事にした。
そしてマキさん直伝の薬草スープで栄養を取らせ、体力を一気に回復させる。
食生活の悪さの事は後でアーサーにしっかり伝えてもらった。
――出発まで訓練と兵士への餌付けを数日繰り返した。
多少はマシになったがそれでもアーロンや北方のゴブリン達ほどではない。
奴らの成長速度が尋常じゃないのがよく分かる。
最近成長具合がおかしい奴らとしか会ってなかったけど、
この兵隊さん達を見ていると「これが普通か!」と少し安心する。
――そんな感じで東方に出発するまでの時間を過ごした。
因みに秘密のお話だが。
副団長のボルドウィン以外は、早朝に俺と一緒に訓練している『あのガキ』に勝てないと思う。
あのガキも大概強い。
まだ両親に会った事は無いが親譲りの強さなのかもしれないな。
俺はガキと身の上話など全くしないのであのガキの名前すら知らんのだが。
兵士たちは完全に平和ボケしております。
彼等から見れば主人公の普段の訓練はただの殺人未遂です。




