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76 ゴブリン統一戦争。

ながーーくなりました。

頑張って読んで下さい。

 ゴブリン達が増えて来た。

別に問題は無い。

食料となる魔物もアホみたいにどんどん沸いて来るので、

気にせず狩りまくっている。

村や道を警備している内に魔物達はそこに近寄らなくなってくるが、

それでも関係なく魔物は腐るほど沢山いる。

なので村はどんどん大きくなり、人口も戦士団も増えていく。

今では戦士団は200人から300人以上いる。

そこでいよいよ本題に入る。


朝ゴブリン達の訓練のあと。

「そろそろ他のゴブリン達の集落を統一しようか。」

俺。

「オウ!」

「はい!」

とゴガとギガは待ってましたと言わんばかりに返事をする。

俺達はある程度計画を立てて村長に進言する。

計画は単純、移住を勧める。

話に乗ってくれば他の一族と同じように扱い移住させる。

断る明確な理由があるのなら聞いて折衷案を出す。

反発して牙を剥くのなら滅ぼす。

これだけ。

この先ゴブリン達が大きな集団を形成して人間に歯向かい始めたら、

人間はゴブリン全てに牙を剥く。

そうならない様にこの村でしっかり支配する。

そしてゴブリンを守る。

そう説明した所、村長はあっさり許可を出してくれた。


そして次の日から行動開始する。

戦士団を村の守備に一部残して何部隊かに分かれて勧誘しに行く。

ガッチガチに装備させて技術力の差を見せつける。

ここで役に立つのがゴガやギガの部下が集めた情報だ。

情報を元に小さい規模の村から勧誘していく。

よっぽどのアホじゃなきゃこの勧誘を蹴ったりしない。

明確に蹴られて反発された場合は戦闘になる。

そして相手が降伏するまで戦う。

基本的なゴブリン相手じゃ負けない程度には鍛えた。

1対10でも勝てる精鋭がほとんどだ。

そんな事をしつつ数日が経過した。

バドゥレロシエの町の北部は完全に制圧した。

次は東部と西部だが、

こっちには明確に人間に反発する勢力が居るらしい。

しかもかなり大きい規模の集団が東部と西部に居るとの事で先にそっちの処理を先に行う事にした。

まずは東部。

東部の大きな集団に戦士団を率いてゴガ達が向かった。

当然戦闘になるだろうと予想される。

俺は戦闘に参加しないが、姿を消して見守る。

戦士団は前に槍を持った歩兵が待機、後ろに弓兵を待機させる。

そして両脇にオオカミの騎兵隊を待機させる。

数は100~150程度だがほぼ全員が精鋭でほとんどが回復魔法を使える。

なので基本的に死なない。

ゴガとギガが相手の族長に話をしに行った。

そして数分後、血まみれのゴガとギガが村から出て来た。

「交渉決裂だ!」

ギガ。

「戦闘準備ィィ!!」

ゴガ。

ゴガがそう言うと歩兵前衛の前にスリングを持ったゴブリン達が出て来て投石準備に入る。

そして後方の弓兵も矢をつがえて斜め上に向けて号令を待っている。

敵さんは整列などせずに色々な場所からぐちゃぐちゃに出て来た。

出てきたのはその村の全員で数は千くらい。

オスもメスも関係なく襲ってきた。

「ががががぁあぁぁぁぁぁぁ!!」

と言葉じゃない喚き声をあげている。

そこに投石兵がひたすら石を投げる。

石は敵の頭部や胸を綺麗に破壊している。

そして弓の射程距離に入ったら。

後衛が前方に山なりの軌道で矢を放つ。

相手は投石と矢の雨で半数は削れた。

そして投石兵は後退し歩兵が出てくる。

歩兵は前進を開始。

ほどなく敵とぶつかる。

しかし敵はほとんど相手にならず、いともたやすく死んでいく。

騎兵隊も両脇から囲い込む様に突撃して敵を三方面から包囲する。

基本的に指揮はギガが魔法で声を大きくして行っている。

ゴガはと言うと右翼の騎兵隊として先陣切って突撃していった。

ゴガが声を上げて突撃すると味方の士気は爆上がりした。

俺達の団長が来たぞー!!ってな具合に大盛り上がり。

彼にはカリスマがある様だ。

そして敵軍は崩壊しゴブリン達は逃げ始める。

1割ほどが投降し1割が逃げ去った。

他は全て死体となった。

逃げ去った奴らはきっと他の集落にゴガ達の事を伝えてくれるだろう。

こうして東部の一大勢力は数時間のうちに消滅した。

その後ギガの意見でこの村を拠点にして他の勢力の勧誘をすることにしたらしい。

で色々情報を集めたりした結果、東部には東部の資源があるらしい事が分かった。

なのでこの東部の滅んだ村を拠点として新たな村を作る事になった。

この村には信頼できる人を村長として技術者を数人、戦士団の一部も派遣する。

そして村を発展させ、新人ゴブリン達を戦士として鍛える。

で北部の村との道も整備して完全にゴガ達の村の支配下に置く。

そして驚くことにこれらの作業をゴブリン達は僅か数日のうちにやってのけた。

魔法を使ったとは言えとんでもないスピードだ。

こうして北部に加えて東部も支配した。

次は西部と言う所で情報部隊が新たな情報を持ってきた。


「西部のゴブリン達が集結している?」

俺。

「はい、西部には北部と東部を合わせた数以上のゴブリンがいます。」

「そのゴブリン達が終結し戦争の準備をしている様です。」

ギガ。

「確かか?」

ゴガ。

「ええ、何度も確認しましたがどうやら目的は我々ではなく人間の様です。」

ギガ。

「ここに来て人間か・・・」

俺。

「では早く止めなければ!」

ゴガ。

「まだまだ集まるのに時間は掛かる見たいですが急ぎましょう!」

ギガ。

「・・・」

「ここらで人間に花を持たせてやらないか?」

俺。

「どういう事ですか?」

ゴガ。

「もしかして人間と協力すると言う事ですか?」

ギガ。

「ああ、俺達とあいつらは違うと人間に示すんだ。」

「そうすれば少なくとも敵対をするつもりは無いと人間に伝わるだろ?」

俺。

「ふむ・・・」

「師匠が橋渡しをしてくれるのですか?」

ギガ。

「ああ、俺の人間の友人に掛け合って人間と俺達が手を取り合う土台を作るんだ。」

「今すぐ仲良しってわけにもいかないけどその第一歩だ。」

俺。

「ふむ・・・分かりました。」

「もしよろしければ私も同行出来ますか?」

ギガ。

「顔を隠すんなら問題ないと思うぞ。」

俺。

という事で村長にも相談し緊急族長会議でその方針に決まった。


次の日

ローブで顔を隠したギガと町に行く。

一旦教会に身を置かせてもらう。

そしてみんなを教会に集めて会議する。

クラーレン、アーロン、ディーン、ブロッキー、ラドクリフ神父、シスターさん、

ジュリエット、アーサー、領主(ガキ)もいる。

「と言う事で西部のゴブリン共が集まっています。」

「規模は三千~四千ほどのゴブリン軍団でリーダーがオーガ見たいなでっかいゴブリンだ。」

「そこで俺の鍛えたゴブリン戦士団に力を借りて対抗しようぜ。」

俺。

「なるほど、分かりやすい説明でした。」

「皆さんのご意見は?」

クラーレン。

「そのような情報はこちらでもチラホラ聞いている。」

「是非協力すべきだ。」

アーロン。

「アーロンさんと同意見です。」

ブロッキー。

「素人意見で申し訳ないのですが。」

「彼らは信頼できるとの事ですが戦力に期待できるのですか?」

ラドクリフ神父。

「ええ、最低でもシルバーに勝てる実力を持っています。」

「強い個体で、ゴールドを超える可能性もあります。」

俺。

「俺も見たが彼らの力量はそれ以上だと思う。」

アーロン。

「なるほど、それなら心配ありませんね。」

ラドクリフ神父。

「で・・・ジュリエット、アーサー!」

「出番だぞ。」

「二人でデカい声を上げて敵に対抗するための味方を集めてくれ。」

「その際、ゴブリンの味方も居ると言うんだ。」

「初めは反発もあるだろうが、」

「そこでビクター卿とラドクリフ神父とブロッキーが最初に名乗り出ろ。」

「結果さえ示せば反対意見を言う奴は少しは大人しくなるはずだ。」

「で、それ以上反発する奴は無視しろ。」

「そう言うやつらはハナっから敵だ。」

「貴族に神父たちにハンター達で味方になってくれる奴を探す。」

「早い段階で味方に付いてくれる奴らをこっち陣営に引き込む。」

俺。

「ゴブリン軍団に対処しつつ我々の味方を探す。」

「一石二鳥って事ですね。」

クレーレン。

「それに加えて、王女殿下とビクター卿の名声も上がる。」

「お前ら戦場に出ろ。」

俺。

「ええぇ!!?」

ビクター。

「ふむ、総大将はだれが?」

ジュリエット。

「王女殿下、秘蔵の戦士として俺が出る。」

「そうすればゴブリンも人間も少しは言う事を聞いてくれるだろう。」

「まあ細かい指揮はアーサーに任せるが俺が総大将だ。」

「王女殿下とビクター卿は奥でアーサーに守ってもらえ。」

俺。

「でも、もし負けてしまったら?」

ビクター。

「はっはっはっはっは!」

とアーロンとディーンに加えジュリエットも爆笑し始める。

「え?なんですか?」

ビクター。

「隊長がたかがゴブリン数千匹に負けないさ。」

アーロン。

「オーガ一万匹いても隊長には勝てないさ。」

ディーン。

「むしろ今回は手加減しないといけないですよね?」

ジュリエット。

「て、手加減?」

ビクター。

「今回の目的はゴブリンと人間の友好関係の構築にあります。」

「ですので彼が一人で戦って勝利しても意味は無いのです。」

クラーレン。

「なっなるほど。」

ビクター。

「師匠になら我々の戦士団を任せられる。」

ギガ。

「で?賛否は?」

俺。

って事で概ねこの作戦でやる事になった。

細かい調整や作戦の修正はクラーレンがやってくれる。

クラーレン様様です。


ジュリエットはアーサーとディーンに守られながら領主館に向かう。

市民の前で演説をする準備をする。

その際三人が名乗り出る算段だ。

アーロンは手下のハンター達に準備をさせる。

ラドクリフ神父とクラーレン神父も戦場に赴き回復魔法で治療する準備をする。

ギガと俺はこの事を戻って報告し、二日後町の北側に戦士団を駐屯させる。


次の日

町の広場にて王女殿下による演説が始まる。

広場には市民以外にも教会の神父たち、貴族たちも集まっている。

「私はエステラ王国王女ジュリエット・カメリア・エステラです。」

「すでに聞き及んでいるかもしれませんが。」

「ゴブリンの軍勢がこの町の周辺に集結しつつあります。」

「規模は三千~四千と目されています。」

「目標はこの町だと言われています。」

「此度集まっていただいたのは他でもありません。」

「これらの詳細な情報を持って、我々に味方すると申し出たゴブリンの一団と協力し、」

「この町、そしてこの王国の人々を守っていただきたいのです。」

この辺りで不満や疑問の声が上がり、なぜか王女に対する暴言も飛び出す。

どうせ枢機卿らの手の者だろうから無視する。

「貴族の方々、教会の方々、ハンターの方々をはじめとした皆さま方に手を貸していただきたいのです。」

「そしてこの戦の総大将は私の最も信頼する戦士が努めます。」

「西方にてオーガ50匹の首を一瞬で刎ね。」

「西方で悪事を働く貴族や商人並びに枢機卿らを断罪するきっかけになった戦士、」

「通称白馬に乗った漆黒の死神です。」

何故彼女がこの名を出したのか?

その理由は単純明快だ。

市民達、ハンター達にこの名と英雄譚が轟いていたからだ。

これは町の調査をしたクラーレンやジュリエットが得た情報で、

アーロンですらその噂をしょっちゅう耳にした程だった。

「西方の白馬の死神?」

「首を刈る漆黒の死神。」

「まさか・・・てっきりおとぎ話だと・・・」

などと声が上がり始め、不安の声やなぜか飛んでいた暴言も収まる。

そして真っ先に三人が手を上げる。

「わっ私はこの町の領主として王女殿下に全面的に協力を申し出る!」

そう高らかに宣言するのはあの泣き虫だったビクター卿だ。

「我々の教会も人数は少ないですが、『怪我人の治療をする』と言う形で協力させていただきます。」

ラドクリフ神父だ。

他の神父たちからの目線が鋭く突き刺さるが完全に無視している。

「我々ハンターチームも協力するぞ!」

とゴールドクラスハンターのブロッキーが手を上げる。

彼らは町の浮浪者やチンピラたちを集めて更生させハンターに育てている。

その事はすでに町中に知られていて頼れる兄貴的な存在になっている。

その三人を皮切りにどんどん協力者が手を上げだす。

しかし苦虫を噛み潰したような顔の人間が一人いた。

ビリジオン枢機卿だ。

何を隠そう彼も子飼いのハンターを使ってゴブリン共を討伐し、

名声を高めようとしていたのだ。

しかし子飼いのハンター筆頭であったレイジが突如として死亡した。

犯人は不明で何故死んだのかも不明だった。

それゆえに子飼いのハンター達の統率がままならず、

情報収集もゴブリンに対抗すると言う作戦も全て滞っていたのだ。

だからこそ彼は手下を使ってヤジを飛ばす事しか出来ない。

「しかし!!ゴブリンなど信用できるのですか?」

枢機卿はなすすべなく、そんなセリフを吐くしかできない。

「もちろんです。」

「わたくしはそのゴブリンの伝言役の方とお話をしましたが、」

「最低限の礼節をわきまえており、知的な会話が出来ました。」

「少なくとも西方のバルボンド元枢機卿より信頼に値すると考えました。」

「この事は今回の遠征の護衛役であるアーサー団長も同意して下さっています。」

と自信たっぷりに宣言して見せる。

その姿は数か月前までの弱々しい王女では無かった。

「気になるのであれば後日そのゴブリンの戦士達を直接見るといいですわ。」

「我々も挨拶に行くので、後ろの方から見ていても構いませんよ?」

「もちろん市民の皆様も見にいらしてくださいな。」

「我らが総大将がゴブリン達の道案内をして下さってますのでご心配なく。」

ジュリエットがそう言うと民達に安堵の表情が見える。

それに対し枢機卿には苦々しい表情が見え、それ以上何も言わなかった。

そうして枢機卿を正面から言い負かしたと言われる、王女殿下の演説は終わった。

思いのほか、貴族が沢山集まった。

神父も新たに一人、そして修道士や修道女のような神父ではない教会の人員も沢山集まった。

彼らは今の枢機卿や教王に不満を持つ者達だ。

ハンター達もブロッキーやアーロン、そして死神の名声の元に沢山集まった。


そして次の日の朝。


ゴブリンの戦士団が町の北側に到着した。

数は200と数十人

100の歩兵、50の弓兵、50の騎兵。

そして雑用部隊が少しと情報部隊も少し。

ジュリエットとビクターとアーサーなどいつもの面子に加えて、

観客が沢山いるみたいだ。

何かしっかりしなきゃいけない雰囲気なので戦士団にキッチリ整列させる。

そして俺の横にゴガとギガ。

「気を付け!」

俺が号令を出すと全員ザッ!!と姿勢を正す。

俺はユキから降りて王女の前に向かう。

「王女殿下!」

と言って一応頭を下げる。

「頭を上げなさい。」

「それで?首尾はいかがですか?」

とこちらもわざとらしく言う。

「はい!問題なく友軍を連れてまいりました。」

「総勢およそ200です。」

俺。

とこんな感じで肩っ苦しい挨拶を衆目に晒されながら行った。

そしてそんな最中観客の方から死神ってワードが聞こえた気がしたけど・・・

まさかね?

全然別の地域だし、俺の顔も知らないだろうし。

気のせい気のせい。

その後この北側にキャンプを設営し主要メンバーで会議を行う事になった。

メンバーはいつもの面子に加えてビクターの手下っぽい貴族と教会の仲間と、

ハンターも数人増えていた。

「では情報を精査した結果、敵ゴブリン軍団はすでに動き出しているとの事で、」

「町に到着するのはおよそ明後日の昼頃と予想されます。」

と俺が言う。

一応俺が総大将だからって事らしい。

「詳細な情報はゴブリンの情報部隊に逐一報告していただきます。」

俺がそう言うとゴガとギガは頷く。

そして陣容を決めていく。

まあ急造の部隊なので大まかに歩兵弓兵騎兵って分けていく。

「そして今回は貴族様方、並びに神父様方の支援を見込めるという事で、」

「神父様には陣の後方にて回復や看護をお願いします。」

「そして貴族様方はいざと言う時の最終決戦兵器兼王女殿下と領主様の護衛として陣の後方にて待機していただきます。」

まあこの辺りが無難だろ。

まさか貴族を最前線に放り出すわけにもいかないだろうし。

最前線は常に俺、後方にジュリエットとビクターその横にアーサー。

アーロンとブロッキーとオクトは歩兵の指揮をする。

ディーンとラバーは弓兵の指揮をとる。

右翼騎兵はゴガとギガ、左翼騎兵は別の部隊長が指揮をする。

そして細かい動きなどを決めて解散。

おおよそはクラーレンとアーサーがやってくれたのでどうにかなった。


当日

場所は町の西側の緩やかな丘の頂上に陣取る。

しかしここで問題発生。

前日にどっかの枢機卿が先走って子飼いのハンターを送り込んだらしい。

その結果、見事に捕まり肉の壁となってしまった。

その肉の壁は今、目の前で血まみれで喚きながらゴブリン共の盾にされている。

こちらは弓兵が前に並び、その後ろに歩兵が並ぶ。

弓の性能がバラバラなので後方から矢の雨を降らせる作戦は使えないのだ。

そして両脇に騎兵、俺は最前線といった具合だ。

「総大将!」

「いかがいたしますか?」

と弓兵隊の指揮官であるディーンが聞いて来る。

「はぁ・・・大人しくしててほしいもんだね。」

「全く・・・」

と言って俺はユキに乗りスイとエンを連れてトコトコ歩き出す。

「お前らはそのまま待機だ。」

と言って敵に近づいていく。



とある一般弓兵のお話。


ある日ゴブリン共が攻めてくると言う噂を聞いた。

そしてあれよあれよという間に戦争に弓兵として参加する事になった。

何やらゴブリンと共闘するとの事だったが、見た感じ耳の尖った灰色の人間だぞ?

まぁとにかく俺ハンターだし、敵はゴブリンだし参戦しても死なないよな?と思った所で問題発生だ。

どっかのアホ枢機卿が自分の手下のハンターをゴブリン軍団に送り込んだらしい。

そして見事とっ捕まり肉の盾となった。

枢機卿が原因って事は全市民が知っている。

何故なら一昨日から様子がおかしく、

昨日も子飼いのハンター共と何やら言い合っているのが沢山の人に見られていたらしい。

そして子飼いのハンターも以前から自分で手下だと宣言して回っているので、

誰が枢機卿の手下か丸わかりだった。

で当日そんな状況を見せられ全員が呆れていた頃。

かの有名な死神が猟犬を二頭連れてゆっくり歩いて行った。

この場の全員が彼に注目する。

彼が肉の盾に近づくと途端に周囲に何か暖かい圧力の様な物を感じる。

何だ?

すさまじい圧力だ。

この場の全員、敵のゴブリンでさえ感じている様子だ。

一部の人たちは恐怖すら感じているほどだった。

そして死神が手を伸ばすと板に張り付けにされていたハンター共が剥され浮遊し始めた。

一気に周囲がざわつく。

「なんだアレ!?」

「魔法には見えないぞ!」

「死神パワーか!?」

と様々な声が上がる。

それに対して敵のゴブリン達は石や矢を飛ばしているがすべて見えない何かに弾かれている。

魔法なら杖を持ち魔法陣で発動する物だと皆が知っている。

それなのにただ手をかざしただけで人が何十人も浮いた。

そして血まみれのハンター達の怪我が一瞬にしてすべて治った。

さらに大量の矢と石を防いで見せた。

その場の全員があっけにとられる。

「そんな・・・」

「夢か?」

「神の奇跡でも見ているのか?」

とそれぞれが思い思いの考えを述べ始める。

そして彼が振り向いて肉壁ハンター達を連れて戻って来た。

俺はつい言ってしまった。

「彼は死神じゃない・・・」

「神の使いだ・・・」と



主人公。


取り合えず色々な事情で見殺しにも出来ないし。

無視して攻撃するわけにもいかないので魔法も使わず、

膨大な魔力を放出し肉壁共を引っぺがした。

まるで『スター〇ォーズ』の『〇ォースの力』みたいになった。

死にかけている奴も居たのでついでに回復した。

周囲の人たちが驚いていたけど、まあ仕方ないよね?

人命を優先しただけだし。

そして敵さんも何やらぽつぽつ飛ばしてきてたが、

ユキがすべて魔法でガードしてくれた。

「ありがと。」

と言って首を撫でて置く。

俺は定位置に戻り予定通り戦闘準備をする。

森を埋め尽くすほどの敵ゴブリン達はあっけにとられていた。

そして敵の後ろの方からでっかい声が聞こえて来た。

「ゴオオオオォォォォォガアアアアアアァァァァァァァ!!!」

するとゴブリン軍団が前進し始めた。

「矢を番えろ!!」

俺がそう言うとディーン達も号令を発する。

そして敵が近づくにつれて、

「弓を引け!!」

と言ってユキの上で大斧を天に掲げる。

ディーンも続いて叫ぶ。

そして全員が弓を引いた状態で待機する。

ゴブリン軍団が射程距離にきた所で、

「撃てええぇ!!」

とでっかい声を上げて大斧を前方に倒す。

するとゴブリン弓兵やハンターの弓使い達が一斉に矢を放つ。

全員腕がいい、ほとんどが致命傷になっている。

続けざまに俺は

「うち続けろ!」

と言って全員矢を撃ちまくる。

敵ゴブリン達は矢の数だけ死んでいくようだ。

である程度余裕を持たせた距離で弓兵を後退させる。

歩兵の間に通路を作っておいて弓兵はそこを通って後ろに下がる。

「歩兵隊前進!」

と言って俺の元まで前進させる。

因みに魔法で俺の声をでっかくしているので戦場全体にしっかり轟いている。

そしてさらに前進させる。

「武器を構えろ!」

と号令を出す。

基本的に最前列は盾と槍を持った奴らに任せている。

ゴブリンの歩兵隊は全員槍と盾を持っているので問題ない。

しかし人間達は一部盾を持ってなかったりするので、

ゴブリンと盾持ちの人間を最前列にして、

その後ろにまとまりのない人間どもを配置した。

俺は最前列のすぐ後ろから前進する。

このまま戦闘は兵士たちに任せようと思ってたけど、

どうも先ほどからユキとスイとエンが落ち着かない。

俺の膨大な魔力を感じてかなり高ぶっているみたいだ。

「隊長、どうしました?」

アーロンはその様子を見かねて質問してくる。

当然アーロンも最前線で槍と盾を持って戦う予定だ。

「なあ指揮任せていいか?」

俺。

「仕方ないですね。」

「歩兵は我々にお任せください。」

とアーロンは笑いながら言ってくれる。

そして俺は我慢の限界を超えたユキとスイとエンを率いて敵に突撃する。

突撃の際なんとスイとエンが煙に包まれた後、巨大化した。

大きさはユキと同じくらい。

デカすぎワロタ。

そしてユキは前方広範囲に冷気を飛ばしている様だ。

お陰で接敵する前からゴブリン達は凍って行く。

そしてスイは口から一点に圧縮した水を超高圧で発射する。

しかもそれを薙ぎ払うもんだから、

スイの前に居るゴブリンのほとんどが上下真っ二つになった。

誰だよこんな危険な技教えた奴・・・

あっ、俺だったわ・・・

でエンは純粋に炎を吐く。

広範囲に放射する感じに炎を吐いてゴブリンをこんがり焼く。

皮膚は炭化して中までこんがりジューシーに焼けている。

ついでにユキは凍らせた奴らを蹴り砕いてる。

まぁ凍らせた時点で死んでるんだけど、邪魔だから蹴り砕いてるだけだ。

そして俺は絶句した。

俺は大斧を振る事を忘れこいつらの所業を見守る事しかできなかった。

そう言えば最近ゴブリンに構っていたせいで遊んでやれてなかったわ。

と反省をしてみる。

因みにユキの冷気はどうやらゴブリンにしか効かない様に制御しているらしい。

器用なこった。

しっかしなんでこんなに大胆になっちまったんだ?

と考えてみたら犯人は俺でした。

「あっ、俺がみんなの前で魔法っぽいのを使ったからか・・・」

納得ですわ・・・

おおよそ敵軍の半数以上をやっつけた。

「おーいそろそろ下がるぞ!」

俺がそう言うとスイとエンはもとの大きさに縮んで、

「「ワン!」」と可愛く吠えた。

「ユキもいいか。」

と聞くと、

『ええこのくらいで勘弁してあげましょう。』

とか言ってるし。

そしてアーロンの元に下がって行く。

アーロンをはじめ全員が絶句していた。

「よ、よしすすめ!」

と俺は無理やり号令を出す。

「なんすかあれ?」

と困った顔で言うアーロン。

「なんか頑張ったら出来たらしい。」

「とにかく予定通り進むのだ!!」

俺。

アーロンはため息をつきながら号令を出す。

「歩兵部隊前進!!」

すると一時停止していた部隊はようやく進みだす。

俺もちょっと後ろから遠慮気味についていく。

そして熱かったり冷たかったりびちゃびちゃだったりする地面を通ってゴブリン軍団と接敵。

ようやく戦闘が始まった。

アーロンが最前線で指揮をして、俺はちょっと後ろから指示を出す。

ユキの上から怪我した奴を見つけて下がる様に命令を下しその穴をすぐに埋めさせる。

そして本当にやばそうな攻撃は俺が魔法で防いでやる。

当の本人は『ん?よけれた?』って感じになるはず、きっとおそらく。

その分俺の魔力消費は激しいけど、どうせもう戦わないし気にしない。

そんな感じで一切死者を出さずにどんどん追い詰めていく。

こちらの戦線を維持しつつ敵の陣営がぐちゃっとなって来た所で合図を出す。

スイとエンにでっかい声で遠吠えをさせる。

すると両翼後方に待機していた騎兵隊が突撃を開始する。

今回のキーマンはゴガとギガ。

彼らに敵総大将を討ってもらう。

騎兵隊は大きなオオカミに乗って突撃していく。

武器は槍、戦斧、メイス。

槍で突き刺し刺さったゴブリンをぶん投げる。

戦斧でゴブリンを切り飛ばし、メイスで文字通り頭や体を砕く。

そして大きなオオカミはゴブリンを嚙み砕き食らう。

ゴガとギガは大声を張り上げながら敵を倒していく。

目標は敵総大将のオーガもどき。

騎兵隊の突撃のお陰で敵は驚きと困惑で集中できていない。

その隙に歩兵隊もどんどん前進し倒していく。

そして敵総大将と近衛を包囲しゴガとギガとアーロンとブロッキーが前に出て戦う。

ゴガが総大将と一騎討ちをしてギガ、アーロン、ブロッキー、俺は近衛兵を倒していく。

近衛もかなりガタイが良かったが俺達からすればただの雑魚だった。

ただし総大将は別だった。

ゴガはかなり苦戦していた。

なんせパワーは圧倒的に相手が上だったからだ。

しかし戦闘の技術はゴガが上。

その技術でどうにか誤魔化しているが、どうにも上手くいっていない様だ。

どうやら敵は通常のゴブリンではない。

と言うのも魔力が異常に禍々しいのだ。

バルボンド枢機卿よりも邪悪な魔力を放っている。

そして角まで生えている。

ヤギの様な角だ。

そして血管は変色して浮き出ていて、目は全てが黒い。

涎を垂らしながら唸り声をあげているだけで、怒りや憎しみ見たいな感情しか感じない。

大きさは2mくらいで筋骨隆々で肌は濃い緑。

武器は巨大な棍棒。

俺達は近衛を倒してゴガと敵大将を囲む。

戦闘中チラホラ逃走する敵ゴブリンを見かけたが今ではゴブリン軍団は壊滅。

あとは総大将を残す所となった。

そして彼らを見届ける。

ゴガは華麗に敵の攻撃を避けているがなかなか反撃できていない。

俺はユキの上で大斧を担いで見守る。

「彼、大丈夫ですかね?」

とアーロンが心配の声を上げる。

「あんなバケモン初めて見た。」

ディーン。

「あれってゴブリンなんだよな?」

ブロッキー。

「人間や動物や魔物って高い魔力の影響を受けて魔人化したり魔物化したりするだろ?」

俺。

「はい、人間や動物はもちろん、魔物も後天的に変化する事があるらしいですね。」

アーロン。

「アイツってそれなんじゃないか?」

俺。

「え!?」

「つまり魔人化したゴブリンって事ですか?」

ディーン。

「ああ、しかも禍々しい闇の魔力で変化したっぽい。」

俺。

「教会のおとぎ話の天使様の逆って事ですか?」

アーロン。

「光や聖の反対が闇や邪だとしたら、そうなんだろうな。」

俺。

「では尚更、彼一人じゃ荷が重いのでは?」

アーロン。

「いや、問題ない。」

俺。

ゴガは攻撃をよけ続けた結果疲れが見え始めた。

敵ゴブリンはニヤリと笑う。

「まっ、まずいです!!」

ブロッキーは焦りだすが俺とアーロンとディーンは落ち着いて見届ける。

そしてジュリエットとアーサーとビクター、それに貴族ら数人が見に来た。

「ほう?」

「すでに流れはこっちのものだな。」

とアーサーが呟く。

ジュリエットをはじめとした周囲の人たちは疑問の表情を浮かべる。

「まあ見てなさいってば。」

俺はよく分かっていない彼らにそう告げる。

戦闘が大詰めに差し掛かり遂にゴガが敵の攻撃を受け流し損ねて体勢を崩した。

その隙を逃さず魔人化ゴブリンが大きな棍棒をゴガに叩きつける。

完全に命中した。

しかし骨の折れる音も肉が潰れる音も血が飛び散る音も聞こえない。

次の瞬間、魔人化ゴブリンの喉にゴガの槍先が生えて来た。

そして魔人化ゴブリンの首の後ろで槍を突き刺すゴガの姿が見えて来た。

「ふははは、随分意地悪な戦法だな?」

と冗談半分に言うアーサー。

「俺が時々ああいう意地悪をしてたから、いつの間にか覚えたんだろうなぁ・・・」

俺。

「えぇ・・・?犯人はアンタかい・・」

アーロン。

しかしゴガは全く油断しない。

この巨体であのように様子が明らかにおかしい相手に油断できる筈もなく。

次々と各部弱点に槍を刺していく。

肺、心臓、そして頭部によじ登り眼球から槍を深く突き刺す。

そこまでしてようやく魔人化ゴブリンはゆっくり倒れていく。

ズドォン!!

埃が舞って次第にゴガの姿が見えてくる。

そして予定通りのセリフを言う。

「敵総大将!!ゴブリン戦士団団長のゴガが討ち取った!!」

そう言って槍を掲げる。

すると俺やアーロン達皆が

「オオオオォォォォォォォーーー!!!」

と叫ぶ。

その叫び声は次第に全軍に広まって行く。

こうしてエステラ王国北方の脅威は、

人間と一部のゴブリン達の協力によって取り除かれたのであった。

軍事訓練とかしてないので大味な戦闘です。

よく分からない所があればどうぞ質問して下さい。

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