72 彼の者まさに当たり屋が如く。
続き、中国に多いって聞きました。ほんとかどうかは知らん。
朝少し遅い時間
俺を先頭にハンター協会に入る。
すると目の前にナイフが飛んできた。
俺は表情一つ変えずにキャッチする。
「なんだ?」
昨日の一件以降、若干イライラがたまっていた俺はさらにイラっとする。
「はっはっは!ちょっとした悪戯だろ?」
と言ってハンターらしき男が酒を飲みながら言う。
「そうか、ここでは普通なんだな?」
俺は怒りを抑えつつ言う。
「そうさ!」
「わかったらナイフを返せこの間抜け!!」
と言ってがっはっはっは!と笑いだす男。
「じゃあ返すよ。」
とイライラを抑えながらナイフをヤツの眉間に投げ返す。
軽く投げたつもりだった。
しかし昨日の一件と今回のこれでイライラは抑えきれていなかった様だ。
つい投げるナイフに力がこもってしまう。
ビュンッ!!
ナイフは男が全く反応出来ない速度で男の眉間にブッ刺さり、
男は弧を描くように地面に後頭部を強く打ち付ける。
ズドォン!!
周りのハンター共は静まり帰る。
「おいおい、ちょっとした悪戯だろ?」
俺。
「自分がした悪戯をやり返されて死ぬとかアホか?」
俺は怒りをあらわにしながら言う。
因みに白蛇が一連の流れを見て服の中で『ぎゃっはっはっはっはっは!』と大爆笑している。
死んだ男の仲間たちが俺に詰め寄ってくる。
「おい!何してくれてんだ!」
「どうなるかわかってんのか?」
と三人がズンズン近寄ってくる。
俺はせっかく白蛇の爆笑で上向きになって来た気分がガクッと下がるのを感じる。
そして二人の首を握り、持ち上げて、あと一人を前蹴りで倒し足で首を踏みつける。
「ああぁ!!?」
「文句あんのか雑魚が!?」
もう私はブチギレたヤンキー状態です。
「ぐっ!」
と唸って俺の手首を必死につかむがどうにもならない。
「どいつもコイツもハンターの躾がなってねぇな!?」
俺は職員やハンターたちを睨みつける。
「こんなアホ共をのさばらせて置く方にも問題があるぞ!」
両手で握ってる二人の男は小便を垂らし始め、
足元の男は泡を吹いている。
俺は協会の食堂?酒場?みたいな場所に座っているハンターたちの方に男たちをぶん投げる。
ドーン、ガシャーン。
そして足元の男もぶん投げる。
ドカーン!
ついでにナイフが刺さっている男の死体もぶん投げる。
ズドーン。
「ふん!」
と言って受付に向かいゴブリンの情報を仕入れる。
受付嬢と話をした後、アーロンが話しかけてくる。
「隊長!」
アーロン。
「ん?」
俺。
「さすがにハンター協会の状況が心配なので、我々はアレ等の再教育をしようかと思います。」
アーロン。
「あの雑魚?」
俺。
「あの小便垂らしてた雑魚です。」
アーロン。
「そうか、でもジョン・スミス的にはいいのか?」
俺。
「ええ、私は私で教会の状況を一人でこっそり見て回りたいと思います。」
「こっそり見て回る分には問題ありませんので。」
と言ってクラーレンは俺の渡したナイフをチラッと見せる。
「なるほど?」
俺。
「いざとなれば、あなたたちに助けを求めますのでご心配なさらずに。」
と言ってアーロン達の方を見るクラーレン。
「じゃあそう言う事で一旦解散だな。」
俺。
「「「はい!」」」
って事で俺はハンター協会を後にして北の方に向かう。
因みに頭からナイフが生えた男の事は放置だ。
アホに構っているほど暇ではない。
まず俺は北に向かって白蛇のお家探しだ。
ユキに乗ってさっさと町を出る。
町の北方の村まで続く道を通る。
『あの野郎ケッサクだったな。』
と白蛇が言う。
「不謹慎だがその通りだな。」
俺。
『だって毒蛇が自分の毒で死ぬようなもんだろ?』
白蛇。
「はっはっは、そうだな。」
俺。
因みにスイとエンとユキも不謹慎にも爆笑している。
コイツ等は人間と暮らしてはいるが、死生観はかなり動物寄りだ。
人間が死んでもこいつら的にはネズミかゴブリンが一匹死んだ程度の感覚だ。
こいつ等とは言うが俺も近い感性を持っている。
たとえ人間を殺しても目の前で死んでもたいして心は痛まない。
知り合いなら別だが他人なら虫を踏みつぶした感覚でしかない。
その狂った感覚に加えて並みの人間を遥かに超えた力と魔力がある。
俺にとって人間社会で生きて行く事は、
ティーカップ・プードルでぎっしり満たされた部屋の中で足を大きく上げてダンスを踊る様なもんだ。
要は踏み潰してしまいそうで怖いのだ。
今回の頭からナイフが生えて来た男だって俺にとっちゃ完全に事故だ。
他人にした悪戯をやり返されて死ぬとか誰も予想できねぇよ。
因みにユキも俺と同じ感覚らしい。
踏み潰してしまいそうで怖いと良く言っている。
道をそれて町の北側の森をユキに乗って歩く。
結構険しいがユキはへっちゃらそうに歩く。
『んー。あっち!』
『で!こっち!』
と白蛇さんは道案内をしてくれている。
胸元からちょいっと顔を出す白蛇は少し愛らしい。
森の中は木々が密集して生い茂っており暗いし道は狭い。
しかしユキが邪魔なものを蹴り飛ばし蹴り砕きながら進む。
『しっかし、その馬のねーちゃんも豪快だな!はっはっは!!』
白蛇さん。
『あなたの様にスリムじゃないもの。』
ユキ。
『立派な体を持っててうらやましいよ。』
白蛇さん。
『ありがと、白蛇さん。』
ユキ。
そんな風にお話をしながらのんびり移動する。
町の喧騒から一転、聞こえるのは木々の枝葉が擦れる音、
鳥や獣の声も時々聞こえる。
森の空気もすっきりしていて頭の中のごちゃごちゃが消えていく様だ。
落ち着く。
『あんちゃんも大変っすね?』
白蛇。
「ん?」
俺。
『人間嫌いなのに人間の中で暮らさないといけないんだろ?』
白蛇。
「確かにそうだね。」
俺。
『神様も惨い事するよなぁ?』
白蛇。
「まぁ、それが俺に対する罰だってんだから仕方ないよ。」
俺。
『アレ?天使ってそんな感じなんだっけ?』
白蛇。
「天使に会った事無いからわかんないし、俺は天使じゃないと思うよ。」
俺。
『うそだー?あんちゃん天使でしょ?』
白蛇。
そんな風にのんきに話もしつつ森の中を進む。
やや暫く森を歩くと急斜面に到着した。
その斜面には洞窟があったが・・・
「なんか様子がおかしいぞ?」
俺。
『なんかゴブリン臭いぞ?』
白蛇。
『ゴブリン臭いって言うかゴブリンが居るわね。』
ユキ。
双子も頷く。
『えー!?わっちの家族や友達は??』
白蛇。
「危機を感じてどこかに引っ越した事を祈ろう。」
俺。
『うん、わかった・・・』
白蛇は目に見えて落ち込む。
「とりあえず洞窟に居るゴブリン達を追っ払うか?」
俺。
『そっ、そうね。中に仲間が隠れているかもしれないし!!』
白蛇。
「って事はあんまり豪快な攻撃は出来ないな。」
俺。
って事で俺はユキとスイとエンを置いて。
洞窟内を制圧する事になった。
「お前たちは外からの増援を防いでくれ。」
俺がそう言うとユキと双子は頷く。
俺は【探索】の魔法を発動させ火や明かりの魔法は使わない。
武器は刀と【風刃】だけ。
火や雷や水を洞窟内で使うのはまずいかな?と自分なりに考えてみた結果だ。
白蛇の仲間も居るかもしれないし、なるべく大人しい攻撃で内部を制圧しよう。
俺は【探索】魔法で周囲を確認し刀を抜いてズケズケと洞窟に入る。
白蛇は舌で匂いを確認しつつ、ピット器官で周囲の温度を確認する。
光源はほぼ無し。
たまーに篝火的な明かりがあるだけ。
洞窟内をざーーっと確認したがかなり広い。
道が何股か分れていて蟻の巣の様になっている。
あちらこちらにゴブリンが散開していて倒して回るのに時間が掛かりそうだ。
中に蛇は確認できないが、見落としの可能性もあるので一応大人しく対処する。
小さい生物を感知するのはちょいとむずいのです。
地面はゴツゴツボコボコしているので歩くのは大変だ。
しかし足場の悪い場所で戦う訓練もしてあるので問題なし、
室内戦の訓練も少ししたので洞窟内の様に狭くても問題なし。
適当に歩いて探索、出て来たゴブリンを狩る。
弱点は人と同じだが小さくすばしっこい。
身長は140前後で背筋が猿の様に曲がっている。
背筋が曲がっているせいで身長がさらに小さく見える。
おおよそ1mくらいにしか見えない。
体は緑で耳は尖っている。
いちいち弱点を的確に切り裂くのがめんどくさくなってきた。
刀の刃を魔法で強化してゴブリンを骨ごとバターの様に両断する事にする。
本当なら骨を切ったとしても刃が欠けてしまう可能性が有るが、
この王国内で刀は超絶貴重だ。
刃が欠けるのが嫌なので魔法で強化して戦う。
戦い方を変えたおかげでゴブリンを殺すスピードが上がった。
縦にズバッと切ったり、真横にズバッと背骨とか肋骨とか関係なく切り飛ばす。
時々、木の板とかを胸部にぶら下げて居たりするがそれも関係なく切り飛ばす。
武器で防いでも関係なく切り殺していく。
最早、俺にとってはただの作業だった。
通路や小部屋を隠すような工夫もされていたが、そんなもんは関係なくズケズケ入って皆殺しにする。
ゴブリン達は目に見えて恐怖の表情を浮かべ悲鳴を上げていたが関係なく切り殺していく。
オスもメスも老ゴブリンも子ゴブリンも関係なく殺していく。
害虫駆除は根こそぎやらなければならない。
そうしてしばらく作業を続けていると、深い脇道の先に少し大きいゴブリンが木に縛られて傷だらけで居た。
「なんだ?コイツ?」
俺。
『仲間割れ?』
白蛇。
「まあいいや。」
と殺そうとしたその時。
「この巣に言葉をしゃべるゴブリンが居たのか?」
とこのゴブリンが話始めた。
俺は切り殺す寸前で手を止めた。
「ん!!??しゃべった!?」
俺。
『へぇ?この辺りじゃ珍しいよな?』
白蛇。
「そうだ、言葉を話すのは俺と俺の一族だけだがな。」
ゴブリン。
「へー。」
「てか、何してんの?」
俺。
「我が一族はゴブリンの軍団に加わる事を拒否していた。」
「だから一族最強の私が捕らえられ拷問を受けていたのだ。」
ゴブリン。
「なるほど、でも何故加わらなかったの?」
俺。
「奴らの目的は妥当人間だ。」
「しかしオレは人間の恐ろしさを父や祖父から教わった。」
「ゆえに軍団に加わるのは愚かな行為だと思ったのだ。」
「しかし人間に殺される前に同族に殺されそうになるとは思わなかった。」
ゴブリン。
「なーるほど。」
俺は邪悪な考えが浮かんだ。
コイツを懐柔してコイツの一族ごと懐柔しよう。
そんでもってコイツを鍛えてゴブリン全体の王にして人間を襲わない様に言い聞かせよう。
俺って天才じゃね?
「おい。生きて一族の元に戻りたいか?」
俺。
「ああ、もちろんだ。」
ゴブリン。
「ならば俺に力を貸してくれ。」
俺。
「力?」
ゴブリン。
「そうだ。」
「今ゴブリン達がこの辺り一帯に集結しつつある。」
「それをお前にどうにかして欲しい。」
受付嬢にも聞いたがかなりの規模のゴブリンが集まって来ていて、
ゴブリンの集落の位置をまったく把握できないほど数が増えてしまったらしい。
今はまとまりが無いが今後まとまってしまったら、いづれ人間の大きな脅威になるとの事。
つまりそれを未然に防ぐのが今回の作戦だ!
「オレ如きにどうにか出来ると思うか?」
ゴブリン。
「俺が鍛えてやる。」
「その力でゴブリン共をまとめろ。」
「そして人間に牙を剥くのをやめさせろ。」
俺。
「アンタに何ができる?」
ゴブリン。
「まあ見て居ろ。」
とまずゴブリンの拘束をほどき回復魔法で完全に傷をすべて癒す。
「なっ!!これは!!」
ゴブリン。
「回復魔法と言って、軽い傷を治す魔法だ。」
「いづれお前も使えるようになってもらう。」
俺。
「・・・」
ゴブリン。
「さあついてこい。」
俺は再び刀を強化して進む。
「ちょっと待ってくれ。」
「何も見えないから明かりを用意する。」
ゴブリン。
「夜目が聞かないの?」
俺。
「光源が全く無いんじゃ、さすがに何も見えない。」
ゴブリン。
「なるほど。」
俺はそう言いながら、光の魔法で周辺をばっちりガンガン照らす。
光りの玉を二個出して俺の上とゴブリンの上に追従させる。
「見えるか?」
俺。
「ああよく見えるよ。」
ゴブリン。
俺は適当なフルーツを数個渡して移動する。
「食いながらついてこい。」
俺。
「ありがとう。」
ゴブリン。
そうして再び敵ゴブリンの血をまき散らしながらズンズン進む。
「その武器は特別なのか?」
ゴブリン。
「武器の形は特別だが、素材は多分普通だと思うぞ。」
「その代わり魔法で武器を強化している。」
俺。
「魔法・・・」
ゴブリン。
「いづれ教えてやるよ。」
俺。
そうしてゴブリンを引き連れながら奥に進む。
最奥と思われる広い空間に行きつく。
大きめのゴブリンと普通のゴブリンが沢山いた。
「王と近衛兵ってとこか。」
俺。
「族長とその手下たちだろう。」
ゴブリン。
広い空間に出たので俺は刀の血を振るい落とし静かに納刀して大斧を取りだす。
そして大斧を上段に構えて大声を張り上げる。
「あああああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
その狂ったような大声に恐怖を感じているゴブリン達を無視して、
俺は突撃して全てを切り殺す。
野生の動物にはこの脅しが意外と効くのだ。
その様子を見ていた白蛇は大爆笑していた。
『ぎゃはははははは!』
『やっぱり、あんちゃんっておもろいね!』
白蛇。
「大抵の野生動物はでかくてうるせぇ奴が嫌いだからな。」
俺。
「突然叫び出したのはそう言う事か。」
ゴブリン。
「なんの意味も無く叫び出すほど狂っちゃいないつもりだぞ。」
俺。
死体処理がめんどくさい・・・。
「何体殺ったんだ?」
俺。
『最低でも200以上っす。』
白蛇。
「死体処理だけで一日潰れそうだな。」
俺。
『そうっすね。』
白蛇。
そうしていると白蛇が何かを感じ取った様だ。
『ん!?』
『いたーーー!!』
と言いながら俺の服の中から飛び出す。
するとその先には蛇がうじゃうじゃ沢山いる。
灰色や茶色がほとんどで数匹白いのも居る。
そして亀?
それとでっかい白蛇。
オオアナコンダみたいなサイズの白蛇が居る。
『おばあーちゃーん!』
と突撃していく。
『おお、生きていたか!』
とでっかい白蛇が言う。
そしてデカい白蛇と小さい白蛇が鼻を突き合わせる。
『あそこの天使さんに送ってもらった!』
と小白蛇が言う。
『おお!まだ未熟なようだけど確かに天使さんっぽいね!』
大白蛇。
「どうも、一般的な人間のヒロです。」
と一応挨拶しておく。
どうやらある日突然ゴブリン達がこの巣穴を占拠し始めたらしい。
しかし戦ったら確実に被害が大きくなるので逃げる事を決意した。
そこで奥にゴブリンも入れない狭い入口の部屋があって、
蛇たちはそこに入ってやり過ごしていたとの事。
亀さんもどうにかその部屋に入れたので全員無事生きていたらしい。
良かったね。
「そうか、因みにこいつはゴブリンだが俺の友達になる予定だ。」
「だから殺さないでもらえると助かる。」
俺。
『フム、そなたを信じていいのかどうか・・・』
大白蛇。
「今から俺が鍛えて最強のゴブリンになるんだ。」
俺。
『なに!?』
『はっはっは!面白い奴だ!!』
大白蛇。
「最強のゴブリン?」
ゴブリン。
「そうだ、準備はいいか?」
俺。
「え?ああ分かった。」
ゴブリン。
「じゃあ早速、里に戻るか!」
俺。
「わっ、わかった。」
ゴブリン。
『じゃあねー!』
小白蛇。
「おう、時々様子を見に来るよ。」
俺。
って事であっさりと蛇たちと別れてゴブリンと外に出る。
面倒だが死体を適当に【収納】に突っ込みながら外に出る。
道具や武器も全部取り合えず突っ込む。
そして外に出るとユキとスイとエンがゴブリンの死体の山を作っていた。
「後入りの連中か?」
俺。
するとユキは頷く。
「なるほど、ゴブリンも馬鹿じゃないのか。」
俺。
「知能は猿より人間に近いから。」
ゴブリン。
「フーン、鍛冶とか建築するの?」
俺。
「安定した土地と知識があれば少し出来る。」
ゴブリン。
「へー。」
俺。
「いつも魔物から逃げて暮らしているから定住は出来ない。」
ゴブリン。
「へー。」
「だったら強くならなきゃな!」
俺。
「森で長生きする為には強くなるのが一番だ。」
「だからオマエに強さを教えてもらいたい。」
ゴブリン。
「おう!」
俺。
『手下?』
ユキ。
「友になる予定のゴブリンだ。」
俺。
「ゴブリンです。」
ゴブリン。
「名前あるの?」
俺。
「俺は『ゴガ』だ。」
ゴガ。
「俺はヒロだ。」
「こっちがユキで、こっちがスイとエンだ。」
俺。
「わかった。」
「とりあえず俺の一族の所に案内する。」
ゴガ。
って事で外の死体も【収納】に入れて、
ゴガの案内の元、村に案内してもらう。
村の手前で俺は一旦待つ。
そしてゴガが一族に俺の事を伝えに行く。
俺は舐められない様に大斧を担いでおく。
その間に洞窟の中で何があったかユキとスイとエンに伝える。
少し経ってゴガが戻って来た。
「族長の許しが出た。」
「来てくれ。」
ゴガ。
俺は頷いてゴガについていく。
ゴブリン達は木の枝などを支柱にして獣の皮を張ってテントにしている。
そして焚き木もあり、メスと子供が多めだ。
多分オスは狩かな?
村?集落?の中心に行く。
獣の皮や爪や牙のネックレスに鳥の羽などで着飾ったゴブリンが居た。
「あなたがゴガの師匠になってくれる人間か。」
偉そうなゴブリン。
「そうです。彼を鍛えて最強のゴブリンにします。」
俺。
「実は我々も追い詰められていてのう。」
「その申し出はありがたいのだ。」
偉そうなゴブリン。
「ゴガがゴブリンを支配出来る様に鍛えます。」
「ゴガがゴブリンを支配すれば俺達人間はゴブリンと戦わなくて済む。」
「そう言う考えがある。」
俺。
「ふむ、わかった。」
「だがお主は我々ゴブリンをさっさと皆殺しにした方が手っ取り早いのでは?」
偉そうなゴブリン。
「そうなんだけど、せっかく会話できるゴブリンに会えたんだ。」
「殺し合い以外の道を探したかった。」
俺。
「だが、お主は先ほど沢山のゴブリンを殺したのではないか?」
偉そうなゴブリン。
「それは俺の友の家を奪ったからだ。」
「だから皆殺しにした。」
「そして友の家族と友人を救った。」
俺。
「友のためなら虐殺もいとわないか。」
偉そうなゴブリン。
「ああ、家族や友のためなら人間だろうがゴブリンだろうが殺す。」
俺。
「そうか、ならば我々はお主の友になりうるか?」
偉そうなゴブリン。
「もちろんだ、気が合わなければ俺は大人しくここを出ていく。」
「しかし、気が合えば友だ。」
俺。
「わかった。」
「ならば我々の一族もお主に協力をしよう。」
偉そうなゴブリン。
「ありがとう。」
「早速だがこれを食ってくれ。」
と言ってストックしてあった牛を一頭渡す。
皮と内臓は処理済みなので後は食うだけだ。
「おお、ありがたい。」
「全員が数日間腹いっぱい食えるぞ!!」
偉そうなゴブリン。
その後少し話を聞いた。
ゴブリンは時々獲物を狩ってくるが、成功率はそこまで高くないそうだ。
基本的に木の実や虫などで食い繋ぐそうだ。
だから普段は空腹と言うか食料が足りてない。
そして狩に出たゴブリンはよく死ぬ。
なので沢山子供を産んで育てる。
木の実とか沢山あると思うけど、
それは人間や他の魔物が群生地を巡回するので危険だとの事。
なーるほど。
弱い魔物は必然とそう言う資源の少ない地に追いやられるらしい。
まあそれでもこの王国は全体的に肥沃なので最低限食いつなぐことは出来るらしい。
という事でまずは食い物事情から解決していこう。
「保存食は作ったりする?」
俺。
「ああ、肉を干したりするぞ。」
ゴガ。
「じゃあ少し獲物を狩ってこようか。」
俺。
「わかった。」
ゴガ。
そしてゴガと共に森に入って行く。
俺はユキに乗らずにスタスタ歩いて行く。
【探索】魔法を使って周辺を広く索敵する。
ゴガは遅れることなくついて来る。
ゴブリンの索敵能力は多少五感が鋭い程度だ。
ぶっちゃけ俺とたいして変わらない。
そして獲物を見つけた。
獲物はデカい猪。
俺は木製の槍を取り出し目にも止まらぬ速さで突っ込み脇腹から心臓にぶっ刺す。
が皮膚を貫通しなかった。
猪はブチギレて俺に襲い掛かるが俺は猪の頭を殴って殺す。
「ただの木じゃさすがに貫通しないか・・・」
俺。
「お前、武器使う意味あるか?」
ゴガ。
「俺じゃなくお前たちが使う予定だった。」
「でももっとマシな武器が必要だな。」
俺。
「偉大な戦士は牙や爪で武器を作ったと聞く。」
ゴガ。
「こいつの牙を使って武器にしてみるか?」
俺。
「素晴らしい武器が出来ると思う。」
「しかしその牙を武器にするには時間が掛かる。」
ゴガ。
「俺が居れば問題ない。」
「それの加工もいずれ素早く出来るようになるさ。」
俺。
魔法を使えるようになれば加工も簡単だと思う。
「そうなのか!」
ゴガ。
「そうだ、とりあえず次行くぞ。」
俺。
「次?」
って事でデカ猪を仕舞って次の獲物を探す。
次は立派な角の鹿だ。
大きさから察するに絶対魔物だ。
コイツの角も武器に出来そうだ。
俺は木製の槍を魔法で強化して鹿の脇腹から心臓に突き刺す。
今度はどうにか刺さった。
ぶっちゃけ魔法での強化には素材によって限界がある。
だから鹿の魔物の皮膚を貫通するか心配だったが貫通出来た。
その後、雄鹿と立派な牙の猪を中心に狩って行く。
で10頭くらい狩った所で村に帰る。
「そんなに狩るのは武器にするため?」
ゴガ。
「そうだ。」
「槍はすぐに折れるし何本も必要だろ?」
俺。
「その通りだ。」
ゴガ。
村で獲物の山を解体してもらう。
ゴブリン達は目ん玉が飛び出るほどびっくりしていた。
「皮は俺が剥ぐからその他は任せるぞ。」
俺。
「わかった。」
ゴガ。
俺はいつもの通り魔法で10頭同時解体をする。
【探索】魔法でそれぞれの獲物を隅々まで確認する。
そして10頭すべて魔法で浮かせて、【風刃】や水魔法で血を抜いて皮を剥ぐ。
今回は皮を剥ぐだけで他はゴブリンに任せる。
ゴブリン達は大忙しで処理していく。
その間、俺は角と牙を拝借して槍に加工していく。
村から離れた場所で木を切り倒し棒状にしていく。
そして牙や角を魔法で強化したナイフを使って加工する。
槍の根元を長い凸の形にして、棒の先端を長い凹の形にする。
この辺りの工程は【風刃】や糸鋸状の【水刃】で綺麗に整形する。
そしてお互いを合わせてみる。
どうにか隙間無くピッタリになった。
持っていたロープやゴブリン製のひも?を使ってきつく縛る。
これで一応完成だ。
そもそも魔物の角や牙の硬度は鉄を超えるのでそれ自体に強度に問題は無いと思う。
後はひもと木の棒の強度が持つかどうかだが、
結局、槍なんて刺してなんぼだしその辺は気にしない事にした。
もし繋ぎ目の強度が足りなければ、
凹と凸の接合部を貫通するように魔法で穴をあけて、
一本の木の棒で塞げばいいかな?
若しくは凸の先端が広がる様な扇状にして凹にはめ込むとかか?
その上から紐で固く縛ればある程度頑丈に固定できると思う。
これをひたすら作り続ける。
慣れたらすべて魔法で複数同時にやる。
お陰で50本を超えるほど作れた。
一頭の角や牙が大きいので沢山作れたのだ。
やっている最中の事、スイが何かに気になっている様だ。
「ん?」
『水で固い物が切れるの?』
「ああ、水を圧縮して超高圧で噴射したら切れるんだ。」
俺は適当な石ころを水で切って見せる。
スイは見入っていた。
「やってる事は風刃と同じだけど水の方が重いから威力は高いぞ。」
とかなんとか話しながら作業をした。
俺が加工している間に作業が気になったのかゴブリンがチラホラ集まって来た。
「ほれ。」
と言ってゴガから順に槍を持たせてみる。
「武器はひとまずこれでいいよな?」
俺。
「コレ全部今作ったのか?」
ゴガ。
「そうだよ。」
俺。
「これが魔法か!?」
ゴガがかなり驚いている。
「そうだ、これから出来る様になってくれ。」
俺。
「わかった。」
ゴガ。
主人公のアタオカエピソードがまた一つ増えました。
まあ異世界ですし日常茶飯事なのかな?しらんけど。
ゴガは雄で美少女化して主人公の彼女になったりはしません。
残念でした。




