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62 いつの間にか増えている友

続きです。

友達は大事。

 王女殿下と近衛兵団団長と楽しく遊んだ次の日の朝。

アーロン達と早朝の訓練をして朝食を取り、ユキに荷車を引かせて外出する。

今日はまず団長殿に教えてもらった馬具店に行って道具を揃える。

店主さんは口ひげが立派で柔らかい雰囲気のおじさん。

「こんにちは。」

「いらっしゃい!」

挨拶もほどほどに商品を物色。

買うのは平原に居た馬に合うサイズの馬具一式と、長ーいロープとか追い鞭とか言う鞭。

後は簡易的にロープで作った無口ではなくしっかり製品として作られている無口を買った。

後は餌用のバケツとか飲み水用のバケツなど一通り購入した。

所でこの王国では大まかに二種類の馬具が売っていた。

一つは所謂ブリティッシュスタイルに合った物。

もう一つは所謂ウエスタンスタイルに合った物。

話を聞いた所、

どうやら畑や家畜などで生計を立てている人や一般人の多くはウエスタンスタイルで。

それに対してブリティッシュスタイルは王族や貴族、軍隊などで用いられている。

それぞれはそのままの呼称ではなくブリティッシュスタイルをショートスタイル、

ウエスタンスタイルをロングスタイルと呼んでいる。

ウエスタンスタイルは長時間の作業を前提とした馬術だ。

ブリティッシュスタイルは精密なコントロールが求められる馬術だ。

だからウエスタンがロングでブリティッシュがショートと呼ばれているらしい。

因みこの王国ではショートスタイルは通称軍用馬術とか呼ばれたり、

ロングスタイルは一般馬術や牧場馬術とか言われている。

買い物を終えて荷物を運ぶ。

「あの荷車に乗せておくよ?」

立派なお髭の店員さんも手伝ってくれるらしい。

「はいありがとうございます。」

って感じで買い物終了、そして西門から出て平原に向かう。

前と同じく狩りをして獲物を処理をする。

今日は牛5頭と鹿?若しくはでっかい山羊っぽいのを3頭狩った。

そして【収納】に入れてお友達を探す。

この前と同じ場所をユキに乗って歩いていると見つけた。

「おーい!」

と言って手を振るとこの前仲良くなった馬が走ってくる。

「ん?お友達か?」

この前の馬に加えて追加で何頭かついて来た。

馬は頷く。

最初に一頭に加えて7頭ほどついて来た。

一旦最初の馬をイチロウ、次がジロウでザーッと名付けて最後はハチロウと呼ぶことにした。

もちろんテキトーです。

まあ一旦イチロウから順に体を綺麗にしていく。

で餌を渡す、今日は8頭もいるので牛を丸々一頭と王都で買った野菜の山をドサッと渡す。

どいつもこいつも大人しく言う事を聞いている。

一応イチロウが兄貴分かリーダー的な感じになっているらしい。

取り合えずイチロウの調教から始めよう。

他の面子にはユキが何かを教えている様だ。

まずは無口を付けて手綱で引けるようにする。

そして適当な合図を言って歩かせる。

例えば「歩け」と言って歩かせて「とまれ」と言って歩くのをやめる。

まあそのままの言葉は使わないけどね。

なんか「どー」とか「うぉー」とか言ったり舌を鳴らしたりする。

まずはこの合図を教え込む。

イチロウはたったの数回で覚えたらしい。

後は曲がる練習、無口に長いロープを付けて俺の周りをくるくる回らせる。

右回転、左回転、スピードは4段階で一定に走れるように。

因みにユキの時は俺の考えを読み始めるもんだから、

合図何もなしで歩く止まる曲がる走るなどが出来た。

それゆえにちゃんとした合図を教えるのが逆に難しかった。

そんな感じでイチロウの調教を進めると僅か一時間ほどで一通り覚えた。

でいよいよ騎乗してみる。

鞍や頭絡などを装着してみる。

初めはハミに違和感があった様だが、まあすぐになれるだろう。

馬具を付けた状態で一通り調教をやってみたが特に問題なし。

さあ乗ってみよう。

「乗るぞー!いいか?」

と言ってイチロウの首をパンパン叩く。

ダメと言っても乗るけどね?

でゆっくり乗る。

特に暴れたりはしなかった。

またロデオになるかと身構えたが大丈夫だった。

乗った状態では声の合図に加えて足で腹を圧迫する。

声で合図を出しながら両足で馬の腹を蹴る。

これで合図を覚えさせる。

ちゃんと出来たらしっかりほめる。

出来てなかったら優しくしかる。

これが大事。

常歩、速歩、駈歩、襲歩。

速度を一定に保つ訓練をする。

それぞれ別の声の合図を教える。

そして腹を蹴る強さを微妙に変える。

それらの訓練は若干時間が掛かったし、

これからもちょいちょい訓練を続ける必要がある。

今は頭で理解できている段階だが、

それを徐々に体で覚えさせていく。

止める時も手綱を引きながら声で合図を送るが、それプラス上体を起こす若しくは重心を後ろにやる。

曲がる時は手綱と足。

手綱を右に開き重心を右に左はその逆。

おそらくだが慣れてこの馬と仲良くなれれば、

骨盤の微妙な動きで前後左右旋回など細かく合図を送れるだろう。

たぶん。

今はとりあえず基本的な合図を覚えてくれたようだ。

そもそも一日でここまで出来るのが異常です。

この分なら言葉も時機に理解できるようになりそうだ。

なんで魔物の頭がいいのか分かんないけどそう言うもんだと思って置く。

そもそも頭だけじゃなく視覚嗅覚聴覚に身体能力に加えて骨外皮など明らかに通常のそれとは異なっている。

しかも肉食じゃない筈の馬が普通に肉食ってるし。

イチロウに乗って平原を走る。

ジロウやその他も呼んで平原を走る。

足音がすごかった。

映画みたいでド迫力だ。

俺が止まれの合図を声で出し、手綱を軽く引くとイチロウが止まり他の馬もとまる。

おー!すごい。

俺とイチロウの訓練を見て覚えたのだろうか?

「よしよし、いい子だ。」

と一応全員に向かってほめる。

全員を撫でてやりたいが無理。

でも一声で全員が停止するのはまずいよな?

乗っている人の合図のだけを聞いて欲しいけど。

まぁ、今は一旦これでいいか?

今は声と足で合図を覚えさせているが、

最終的には足や手綱だけで合図を覚えてもらう。

ちなみにユキは俺の微妙な動きを感知して動くというレベルを超えて、

俺の思考を読んでいるのか?ってくらいキビキビ動く。

でユキやスイとエンと合流しイチロウから降りる。

そして首をなでなで。

「いいぞーいい子いい子。」

イチロウは全く疲れていないようだ。

また全員分の水を出してやり軽くおやつをあげる。

全員軽く汚れを取ってやる。

「今日もありがとな。」

ある程度人に慣れたら王都内で飼育できるかもな。

まあ今の所そんな場所は無いけど。

連れが沢山いるみたいだし。

今度クラーレン神父に相談してみようか。

イチロウ達と別れてユキに荷車を引かせて肉と鹿っぽい魔物の角と皮を売る。

そして鍛冶屋に牛の皮を渡しに行く。


いつもの鍛冶屋にて

「こんにちはー」

「いらっしゃいませ。」

テーブルに新しい牛さんの皮を乗せる。

「追加の皮です。」

「お預かりしますね!」

「そう言えばお友達が来てどんな防具にするか決めていかれましたよ。」

どうやらアーロン達が顔を出していったらしい。

「そうですか。皮は足りそうですか?」

今日のでだいたい15枚前後かな?

「もうちょっと欲しいです。」

「了解です。また今度追加で持ってきます。」

まだまだ必要らしい。

「それと。」

と言って店の奥に行き何やら鞄?の様な物を持ってきた。

「こちらです。」

と言って鞄?の様な物にすっぽり入る箱。

卵の箱だ!!

「こちらが宝石を入れる箱と箱を運ぶための鞄です」

「斜めに背負う形にしました。」

「おお!いい感じですね!」

「もし馬に積むタイプをお望みでしたら馬具店に相談してみてください。」

「わかりました。」

一旦俺が背負って持ち歩ける様になった。

箱は四角く中がクッションで出来ている。

卵が動くようなら別の布でスペースを埋めれば固定できる。

それに布に魔石をくるんでおけば魔力の供給も一応は問題なさそうだ。

ついでに温度もあったかい。

「それと、魔石の魔力が切れたら交換が必要なのでいつでも仰ってください。」

「わかりました。」

旅用に鞍の後ろ側に付けるタイプの鞄でも買おうかな?

残りの代金を払って店を後にする。

「じゃあまた何かあれば来ます。」

「またいつでもどうぞ!」

で卵用の箱を早速使ってみる。

宿で待っている卵を入れてみると若干余裕があるので清潔な布でスペースを埋める。

ついでに布でくるんだ魔石もゴロゴロ入れて置く。

沢山魔石を入れたせいか、魔力をビシビシ感じるようになった。

とにかくこれで良し、卵は問題ないだろう。

次はクラーレン神父に会いに行こうと思ったが、

別に日に獲物を持って改めて行くことにした。

その後はのんびり過ごして就寝。

もちろん寝るまでは魔法の練習をする。


次の日


訓練と朝食

今日からくまさんマントが戻ってきた。

そして行動開始。

今日は適当に魔物を狩ってクラーレン神父に寄付しよう。

いつも通りユキに荷車を引かせて平原に向かう。

荷車をしまって獲物を物色しているとスイとエンが体長1mほどの鳥を追い立てて来てくれた。

これは狂走鳥である。

嘴を鳴らしながらガアアアアァァァとなくから、「ガパパパパパパアアアァァァ」

と明らかに狂ったような音を立てている。

そして翼を広げて爆走して向かってくる。

初見じゃ普通に怖い。

俺はユキから降りて弓と矢筒を仕舞い大斧を出す。

「沢山狩るぞ。」

と言って皆で戦闘開始。

一薙ぎで一気に5から6頭の首を切り飛ばす。

そして俺達を敵認定をして蹴りかかってくる。

一頭だけなら一般人でも倒せるだろうが少数で群れに立ち向かうとなると大変だ。

普通に連携を取ってくるし蹴りもかなり痛い。

足の爪も鋭く分厚い布も貫く事がある。

しかし対多数戦闘の練習にはちょうどいい。

俺は鳥の攻撃を躱しつつ一気に切り殺していく。

スイとエンとユキも大暴れしている。

群れ全体はざっと50ほど?でおおよそ7から8割ほど狩った。

この辺りで狂走鳥は徐々に逃げ始める。

30~40羽も狩れた。

「教会に持って行って解体を手伝ってもらおう。」

5から10羽程度はもらって他は寄付してしまおう。

って事で急いで荷車に乗せて王都に戻る。

山盛りの鳥の死体に驚く住民たちを横目に急いで教会へ向かう。

急いでクラーレンを呼び出して子供たちに解体を手伝ってもらう。

急がないと腐っちゃうからね。

「5羽分の肉は俺がもらいます、それ以外は寄付します。」

淡々とクラーレン神父に告げる。

「こんなに沢山いただいてよろしいのですか?」

「ぶっちゃけ狩りすぎた感が否めないので問題ないです。」

「他にも牛の在庫もまだあるんです。」

「そう言う事でしたか。」

「ではお言葉に甘えてありがたくいただきます。」

そう言って子供たちと狂走鳥の解体をするクラーレン神父。

子供は苦手だが俺もやり方を教える。

教会の子供たちはやつれている様子は無いけど、

若干痩せ気味な感じはある。

「おねーちゃん!ありがとう!」

と性別を勘違いしているガキが一人。

「おねーちゃんじゃなくおにーちゃんだぞ。」

そう笑いながら答える。

「ほんとだ―!」

そう言いながら俺の体中をベタベタ触りだすガキ。

「カチカチだ―」

筋肉とか骨とかの事です。

そんな事も有りつつ大量の鳥を解体した。

「料理は得意です?」

クレーレン神父に聞く。

「一応出来る人はいますが・・・」

うん。

つまり得意ってわけじゃないらしい。

ここで俺のエリーさん仕込みの料理の腕前を披露する時が来たようだ。

「仕方ない。ならば、おすすめの味付けを伝授いたしましょう。」

と声高々に言う。

俺は神父さんとシスターさんを数人お手伝いとして連れて鳥を焼く。

調味料の量が心配だったので俺の持っていた分も使用した。

シンプルにエリーさん特性のスパイスで味付けして焼くだけ。

それに野菜とかスープとかパンとかを付けて出来上がり。

子供用に辛さ控えめだがとてもいい香りで味付けも完璧だ。

スープは豆のスープで刻んだ肉を入れてある。

料理中に漂う香りにつられて子供たちのお腹が鳴りまくっていた。

料理の途中でアーロン達も合流し子供たちと遊んでいた。

席に着き料理を並べて完成。

大きめの皿に肉をドンと乗せて切り分ける感じにした。

「さあ出来上がりだ!」

と俺が宣言すると皆ありがとーとかなんとか声をかけてくれる。

「さあ冷めないうちにいただきましょう。」

クラーレン神父も表情が若干緩んでいる。

なんだかんだ遊んだり解体したりで時刻は夕刻。

これから暗くなるかな?って時間。

「さあお食べ下さい。」

と神父が言うと皆食べ始める。

子供たちは本当においしそうに幸せそうに食べてくれる。

子供だけでなく神父や修道女さんも幸せそうだ。

一応特性スパイスの調合を教えたのでまた作ろうと思えば作れるはず。

「これは西方の味付けですか?」

クラーレン神父。

「と言うより西方のとある村のとある家族の奥さんに教えてもらった味付けだ。」

「恐ろしく美味しいのでしょっちゅうこの味付けを使っている。」

俺。

「恐ろしいほどおいしいと言うのは同感ですね。」

クラーレン神父もその周りの方々も同意している。

修道女さんや修道士さんなどが子供たちに肉を切り分けてあげている。

子供たちには量が多かったかと心配だったが、

ペロっと平らげてしまった。

食後は俺の髪の毛が女の子たちのおもちゃになったりした。

俺は終始真顔でそれを見ていた神父さんたちはクスクス笑っていた。

その状態で神父さんとお話。

「この教会の厩舎に余裕があったりします?」

「馬を購入するつもりですか?」

「購入では無く、野生の馬の魔物を調教した。」

「それで、その馬を何頭か調教してアーロン達にあげようかと思ってるんだ。」

「魔物の馬の調教?」

「アーロン達にも移動手段があった方がいいだろ?」

「獣や魔物にも怯えない勇敢で頑丈な馬だ。」

「人を食べたりは?」

「もちろん人を食べたり暴れない様に言い聞かせてから王都内に入れる。」

「それなら心配なさそうですね。」

「肉食獣程度なら蹴り殺せるし、頭がいいから調教も短期間で済みそうだ。」

「問題さえ起こさなければいいですよ。」

「教会の厩舎は広い割にほとんど使われていませんし。」

「そうなのか?」

「はい、うちの第五教会は訳あって人が少ないのです。」

「煙たがられてるから?」

「その通りです。」

「神父さんはお友達が少ないみたいだな。」

「ええ、昔は仲のいい友人が二人ほどいたのですがね。」

「今となっては一人もいません。」

「そうか・・・じゃあ今一人追加だな。」

俺がそう言うと周囲の子供たちが「わたしも!」とか「ぼくも!」とか言っている。

「そういうつもりで言ったのでは無いのですが・・・」

と嬉しそうに笑う。

「とりあえず、ある程度調教が済んだら厩舎を借りるぞ?」

「ええ、いいですよ。」

という事で教会の厩舎を使わせてもらう事になった。

因みにアーロン達は子供たちとお片付けしていてこの話は聞いていない。

その後女の子たちによって奇妙な髪型にされてしまった俺も片付けに参加する。

片付けを終えた後、俺とアーロン達は宿に戻った。

「そう言えば俺達用の住処がもうじき用意できるらしいです。」

とアーロンが言う。

「場所は?」

「ここの近所で教会のすぐ近くにある宿屋で丁度売りに出ていたようです。」

「結構広いそうですよ。」

「お友達が沢山出来そうだな。」

「はい、お行儀の良いお友達にします。」

行儀のいい友達を選ぶという意味なのか、行儀のいい友達に変えるという意味か。

当然後者だ。

人攫いが如くチンピラを連れて来ては調教して真人間に変える。

「悪いが俺はあまり関われないからな。」

「でも、時々訓練に付き合ってくれるんですよね?」

「もちろん。その時は徹底的にしごいてやるよ。」

一旦、早朝の訓練は一緒にやって、その他に定期的にやる訓練は時々顔を出す事になった。

朝の訓練はたまたま時間が一緒になったからやっているって体だ。

「それと時々でいいから馬の世話を手伝ってくれよ。」

数が1頭から8頭にまで増えたのでお手伝いが欲しい。

「例の魔物の馬ですか?」

「そう!なぜか8頭に増えてたんだ手が回らんのよ。」

「明日は我々は特に予定ありませんけど?」

とアーロン。

「じゃあ早速明日頼む。」

という事になり明日は皆でお馬さんと遊ぼうの会を開催する事になった。

その後はくだらない話をして盛り上がりつつ卵を抱えて寝た。

卵は一段と元気になった。

きっとイチロウは雄雌関係なくモテモテなのでしょう。

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