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61 王女様と騎士と遊ぼう。

続きを投稿します。

 ユキを厩舎に預けた後、

アーサー団長と共に王城に入る。

二度目の王城だがやはり圧倒されてしまう。

豪華で壮大でキラキラしていて俺の苦手な雰囲気だ。

団長についていくと階段を上ったり廊下を歩いたりした。

10年くらい経過したんじゃね?ってくらい歩いた頃、

ようやく目的地に到着したようだ。

応接間?の様な場所だが、さすが王族って感じで超豪華だ。

やはり落ち着かない。

この部屋に到着するまではちょいちょいメイドっぽい人や文官?っぽい人とすれ違ったが、

俺とスイとエンをじろじろ見てくる。

当然俺の服装が王城に適してないのと犬連れって事で見られているのだろう。

要はTPOをわきまえろという事だ。

応接間の前で団長さんがノックをする。

コンコン。

「ヒロ殿をお連れいたしました。」

と団長さんが言うと聞きなれた声が返ってくる。

「入ってちょうだい。」

そして部屋に入る。

すると突然飛び込んでくるジュリエット王女殿下。

「久しぶり!」

と言いながら突撃してくる。

俺はそれに対抗しスイとエンを突撃させる。

「いけ!」

と俺が言うとスイとエンはジュリエットの鳩尾に突っ込む。

ゴツッ!

「グェ!!」

と王女殿下から出たとは思えない声が聞こえてくる。

「久しぶりで二匹とも大喜びだぞ。」

俺。

「いけ。って声が聞こえた気がするのだけど?」

とジュリエットは腹をさすりながらなんとか答える。

「気のせいだ。」

俺。

といつも通りの会話を繰り広げていると、団長さんは驚いた様子でそのやり取りを見ている。

「で?話をするんだっけ?」

俺。

「まぁ・・・一応事情聴取という事で呼びましたけどただお話をしたいだけです。」

「そうか、ならのんびりおしゃべりするか。」

という事で豪華なイスに座りおしゃべりお茶とお菓子でおしゃべりをする。

おしゃべりの内容はクラーレン神父の事がメイン。

「当初の予定通りクラーレン神父と合流した。」

「今後は教会内を先にどうにかする。」

と端的に言う。

「アーロンさん達は?」

「あいつらは教会の面子として派手に慈善活動をするらしい。」

「要は教会のイメージアップ兼教会と市民の護衛だ。」

「へー大変そうですね。」

「隊長もそこで働くのですか?」

「俺は教会とは関係ないって体で動く、だからこの話は内密に頼むぞ。」

ジュリエットはフンスと頷き、団長さんは困った顔でうなずく。

「まあ今はそんな感じだ。」

「貴族連中はどうだ?」

今は貴族とかかわるつもりは無いが一応誰が信用出来るか知っておきたい。

「貴族は前とたいして変わらないわ。」

「父もどっちかハッキリしないし、公爵もいまだによく解らないわ。」

「強いて言うなら確実に信用できるのは彼とヴェスバルト伯爵くらいね。」

「ふーん、ん?公爵?」

「ええこの前父と団長ともう一人いた貴族がそうよ。」

「なるほど?」

「クリストファー・ステラ・フォン・アーランド公爵よ。」

「なっが。」

「貴族だものそんなもんよ。」

「そうか。」

「南方を修めている領主で西方のヴェスバルト伯爵よりも家の歴史は長いわよ。」

「南方と言えば国境付近だがやり手なのか?」

「やり手かどうかは置いておいて、強い権力を持っているわね。」

「そいつは信頼できるか分からない?」

「ええ、証拠は無いけど何かいけ好かないわ。」

「それは怪しいな。」

この世界では魔力があるのでいけ好かないって言う情報は意外と当てになったりする。

「単に性格が合わないって可能性もあるけど、警戒しておいて損はないな。」

「と言うかヴェスバルト伯爵以外は怪しいと思って置いた方がいいな。」

「そうですね。」

「それと教会も基本的には黒らしい。」

「信頼できるのはフランク大司教とクラーレン神父に加えて東方の町の枢機卿とあと数人程度だ。」

「教王さまはどっちですか?」

「何代か前からすでに真っ黒らしい。」

「ついでに奴らがちらつかせている【断罪】の魔法はでたらめだ。」

俺がそう言うと団長さんは目を見開いて驚く。

「なっ!なんですと!?」

「奴ら的には【断罪】の魔法を利用したいが復活されたらそれはそれで困るって事だろうね。」

「じゃあその魔法を使うぞって脅されても無視していいのかしら?」

「いや、別の方法で処されるから無難に乗り切る方がいいぞ。」

「アーサー団長も何かあればご相談くださいね?」

「いざって時は俺か、クラーレン神父を頼ってください。」

「わっ、解った、いざとなったらそうさせてもらう。」

「で?犯人は見つかったのか?」

唐突に王女暗殺事件を思い出したので唐突に話題を変える。

「まだ全然何も出来ていないです。」

「そうか、早く見つけないとまた襲われるぞ?」

「はい、頑張ります。」

と先生に叱られている生徒みたいになっているジュリエット王女殿下であった。

「一旦共有する情報はこんなもんか?」

「こちらはどうにか貴族らの情報を集めようと思います。」

「無理した結果、毒殺されたりするなよ?」

「気お付けますね。」

と話が一段落した後ジュリエットは何処かに人を呼びに行った。

「ヒロ殿、改めて礼を言いたい。」

と言って団長殿が俺の方に向く。

「お気になさらずに。」

「いや、すでに話は聞き及んでいると思うが、私が陛下の護衛の任についている最中の事だった。」

「そのタイミングで王女殿下が狙われたのだ。」

「本当にありがとう。」

と頭を下げてくる。

実はたまたま助ける事になっただけだけど、真実を言っていいのかどうか。

「いえ、たいした相手では無かったのでお礼を言われるほどではありません。」

「相手が雑魚ばかりだったと?」

「一般人に毛が生えた程度でした。」

「そうか、頼もしい限りだ。」

「?」

「王女殿下のあの変わりようもあなたの影響が大きいのだろうな。」

やせたと言うか明らかに筋肉が付いてたくましくなったからな。

「潜伏期間中に一般人として馴染めるように彼女が努力した結果ですよ。」

「それだけであそこまで筋肉が付くかな?」

「護身のために剣術を多少教えました。」

「殿下の剣術の稽古は私が行っている。」

「以前とはまるで異なっているので別人かと疑ったよ。」

と笑いながら言う。

「多少手荒に訓練しました。」

「はっはっは、そのようだな。」

「それとヒロ殿の実力にも興味がある。」

「いずれ手合わせをしていただきたい。」

「私も王国最強の騎士に興味があります。」

「ぜひお願いします。」

俺と団長がそう言う話をしているとジュリエットが戻ってきた。

「お待たせしました。」

そう言ってもう一人女性を連れてきた。

その女性はメイド?っぽい服で何やら道具を持参して来た。

「じゃあお願いします。」

ジュリエットがメイドさんに言うと、俺の方に近寄ってきた。

「なんだ?」

「さあ服を脱いで立ってください。」

ジュリエットに言われるがままに立ち上がり服を脱いでシャツとズボンだけの姿になる。

「なんだ?」

するとメイドさんが俺の各部の長さを図る。

「隊長さんはもう少し服装に気を使ってもいいともうのです。」

「着れたら御の字だろ。」

「ダメです、恵まれた体型なのに安物を着続けるのは良くないです。」

「と言う事で、護衛のお礼としてお洋服をプレゼントします。」

「いらん。」

「ダメです。プレゼントします。」

って事でお洋服を貰えることになったらしい。

自分の着る服は自分で選びたいので拒否したかったが強制的に貰えてしまうらしい。

「そうか、ありがとう。」

と一応言っておく。

「いえいえ、どういたしまして。」

と一応言われた。

採寸をされた後。

「じゃあ少しお城を案内しましょうか?」

「人が多い所はいいや。」

「ではお庭など外を案内します。」

って事でお城の外を案内してくれるらしい。

外周は壁に囲まれていて花畑、畑、馬の放牧地などがあってとても広い。

王都の全貌は分からないが壁に囲まれた都市にしては異常に広い気がする。

王城正面入り口に向かって右手に厩舎と放牧地。

左手に花畑がある。

今回は花畑から通る。

花畑って言うか広い庭に石畳の綺麗な道が複数あり、その周りを花で飾っている感じだ。

「花が沢山ある。」

「綺麗でしょ?」

「綺麗だ。」

「何に使えるんだ?」

「全部観賞用ですよ。」

「食えたり薬になったりしないのにこんなに場所を取っているのか?」

「初代国王の奥様が趣味で栽培していたお花です。」

「なので畑に変えてしまうのは気が引けません?」

「確かに気が引けるな。」

そんな会話をしつつ進む。

綺麗な花で飾られた庭の先には野菜畑がある。

「いざとなれば籠城する事になるのでそのために野菜を栽培しています。」

「へー。ちゃんと考えてるんだな。」

「我々もそこまで馬鹿じゃありませんよ。」

そんな会話をする。

因みにこれらの会話を団長さんが聞いていたが。

ずーっと笑いを堪えていた。

そんなに変な会話だったか?

「この先は兵士たちの訓練場です。」

王城の正面入り口のちょうど真反対くらいかな?

ここには広いグラウンドのような空間が広がっていて兵士たちが走り込みをしたり剣術の練習をしたり弓を撃っていたりする。

城を中心に壁があり、その外側に貴族区がある。

その貴族区を囲うように壁があり、その外側には城下町がある。

その城下町の外を大きく囲うように外壁がある。

つまり三重の丸い壁で守られている。

ゆえに道などの構造はとても単純だ。

城に向かって適当に歩けばそのまま城に行けてしまうくらい単純。

「なあ、王都の構造って単純すぎないか?」

俺がそう言うとジュリエットではなく団長さんが答える。

「やはり一番気になる点だろうな?」

「私も気になっているのだが今更変えられないのだ。」

「千年の歴史があるんでしたっけ?」

「まあそうなのだが、千年前は王城と壁、その周囲の貴族区の在る場所に人が住んでいるだけだったのだ。」

「と言う事は人口も今ほど多くなかったという事ですか?」

「そうだ。」

「人口が増え、善人も悪人も関係なく周囲に居つくようになってから今の貴族区と城下町を隔てる壁が出来上がったのだ。」

一応そう言った流れがあったんだね。

「その後魔族の大侵攻によってさらに壁が作られたと?」

「そうだ。だが防御面では心もとないのだ。」

「外壁の外側を掘れば多少はマシになりますかね?」

「そうだな。」

「あとは王都の外に王都を囲うように監視のための塔を立てて目を光らせる必要がある。」

「今は普通の村があるだけですよね?」

「そうだ。」

確かにそう考えると防御の意識が低すぎるか?

「大侵攻以降数百年は侵攻を受けていないのでいらぬ心配だと言われている。」

「だから、それらの設備の設置は見送られている。」

「平和ボケしてるのか。」

「そう言う事だ。」 

貴族社会は本当にめんどくさいらしい。

「近衛兵団の団長さんの意見でも聞き入れられないのですね。」

「団長ではあるが、あくまで騎士爵で木っ端貴族でしかないのだ。」

「そんな者の意見が聞き入れられる事はないだろうな。」

これは、エステラ王国が自滅に向かっていると言う仮説が加速してしまう。

「まあこれから頑張りましょうね。」

彼はこの国に居なくてはならない存在だと思う。

「うむ。頑張ろう。」

と辛気臭い空気になった所で訓練場を後にする。

さらに進むと若干狭い畑がありそこを超えると放牧地がある。

おおよその配置は、城から見て南西が花畑、北西と北東に畑、

北に訓練場、南東に厩舎と放牧地。

って感じ。

因みに城のすぐ近くの壁は内壁と言われていて、一番古い壁だ。

壁に一定間隔で塔があって周囲を監視できるようになっている。

そして放牧地を眺めながら外側を通る。

すると放牧地ではユキが大暴れしていた。

まあいつも通りだな。

と眺めていると誰かがユキの手綱を握ったまま引き回されている。

手綱、離せばいいじゃん。

手を見ても引っかかっているようには見えない。

手離せよ。

何やってるんだ?

ユキが俺に気が付きおっさんを引き吊りながら走ってきた。

「なんだそれ?」

と声をかける。

『臭い、キモイ、なんかベタベタ触ってくる。嫌!!』

との事。

「そうか、なら仕方ないな。」

女の子に突然ベタベタ触るなんて変態だ!

って事で柵を飛び越えてどろどろの小汚いおっさんを引きはがず。

よく見たらこのおっさん貴族っぽいぞ。

服装がどろどろなだけで結構豪華だ。

「どこで拾ってきた?」

『草食べてたら急にくっついて来た。』

「そうか、つまり変態だな。」

『そう!』

いつの間にかおっさんは気絶している様だ。

「まあ生きてるし問題ないだろ。」

とそんな話をしているとジュリエットと団長がやってきた。

「どうなさいましたか?」

「馬にセクハラを働く変態だそうだ。」

「あら大変お怪我はありませんか?」

「臭いにおいが付いて精神的にダメージを負ってしまったらしい。」

『生きていられる事に感謝しろ!』

「生かしておいてやる。ってさ。」

「命があってよかったですね。」

「この方はパーセル子爵?」

汚いおっさんを見て団長さんが言う。

「貴族様がなぜユキに引きずられているのですか?」

「王家や貴族の紋章のない馬だからって勝手に触れてよい物ではないのでは?」

とこのように王女殿下もご立腹だ。

「あまり頭が良くないお方なので何も考えずに乗ろうとしたか、連れて帰ろうとしたのか・・・」

とアーサー団長殿も呆れた様子だ。

「仮にも軍馬のような訓練を施した馬に不用意に近づくなど自殺行為だろ?」

俺。

戦に出す馬なので人間を食い殺したり蹴り殺す様な訓練をしている。

当然、不意に近づいて殺されない保証なんてない。

ユキの頭が良かったからこそ、この貴族は生きて居られるのだ。

何なら俺が殺してやりたいくらいだ。

「ごもっともです。」

とアーサー団長。

「まあ一時的に気を失っているようですし、放置して問題ないですか?」

俺。

「ここでは危険ですし、放牧地の外側に放り投げておきましょう。」

ジュリエットはこのセクハラ男爵を柵の外側に放り投げた。

彼女はここ数か月鍛えたおかげで成人男性を持ち上げる程度の腕力はある。

「では行きましょうか。」

彼女は手をパンパンと叩いて泥を払う。

再びユキと別れて歩く。

馬がどのくらいいるとか騎兵隊の規模とかゆっくり歩きながら聞いた。

ここ以外にも貴族区内に数か所厩舎があるらしい。

軍馬はそれなりの数が居るらしい。

貴族区とここを合わせて総勢は400~500頭ほど。

王都の城下町や外壁の外にも軍馬を飼育している、

それを合わせると総勢千五百~二千程度らしい。

思ったより沢山いてびっくり。

なんで馬の話ばかりしているのかと言うと俺とアーサー団長が馬好きだからだ。

しかしそんなに情報を俺に教えていいの?

そう聞いたら王女殿下が信頼しているのだから俺も信頼するとの事だ。

チョットうれしい。

暫くゆっくり歩くと王城の正面に戻ってきた。

「変な貴族以外は普通だったな。」

「そうですね。ですが王城の中は変な貴族だらけですよ。」

「はぁ・・・じゃあ俺はこのまま帰るよ。」

「ふふっ。今日はここまでにしましょうか。」

ジュリエットは笑いながら言う。

「今の所、宿を変えるつもりはない。」

「それでも俺が突然いなくなった場合は第五教会にクラーレンと言う神父が居る。」

「もしもの時は彼に直接手紙か伝言を残してくれ。」

今の所信用出来るのは彼のみだ。

「わかったわ。」

「今度は乗馬でもしましょうね。」

「ああ、またな。」

俺はそう言うと指笛を鳴らす。

するとユキが猛スピードで走ってきて柵を飛び越え俺の目の前に来る。

ジュリエットはスイとエンをなでなでしている。

そして俺はユキに乗って一旦お別れだ。

「ではこれにて失礼します。」

そう言って宿までパカパカ歩く。

「元気そうだったな。」

『寂しそうだったけどね。』

「そうか?」

『うん、少し寂しそうだったよ。』

「そうか・・・」

俺達は宿に戻って飯までの時間を使ってユキを綺麗にして、

スイとエンと遊んだ。

そして肉とパンとスープと食って部屋に戻る。

卵を抱えながら窓の外を眺めてぼーっとする。

王国側にジュリエットとアーサー団長。

教会側にクラーレン神父と今後はアーロンも教会側になる。

西方は領主と大司教が味方だ。

これでこの国に蔓延る神の敵を排除する。

神の名を語り悪事を働く者を断罪する。

まだまだ味方は必要だが次は北方だ。

少しくらい下調べでもしておこうかな?

そんな事を考えながら卵を抱えながら寝た。

途中に出て来た何とかって貴族は覚えなくていいです。

あとアーサー団長が笑いを堪えていたのは単に主人公の鋭い意見を聞いて笑い出しそうになっただけです。

貴族社会ではそう言う真っ直ぐな意見を聞くことが少ないんでしょうね。

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