47 後始末
大事ですよね後始末。
俺は村にアンナとマキさんを向かわせて結果を報告させる。
一応スイとエンも同行させた。
そんで他の面子で後片付けをする。
俺は戦闘前、皆に『生きたまま捕らえようとせずに全力で殺せ。』と言った。
捕まえようとして下手に手を抜かせるのは危険だと思ったからだ。
結果的に相手の抵抗らしい抵抗はほとんどなかった。
何人かは勇ましく抵抗を試みたようだが、
アーロンなどの主要メンバーが瞬殺してた。
その結果こちらは無傷、相手は捕縛一人、他全滅と言った具合だ。
「その男は縛って逃げ出さない様に監視しておいてくれ。」
「それ以外は死体から武器、矢、持ち物を回収してくれ。」
「死体は多いしその辺に捨てておこうか・・・」
俺はめんどくさくなって投げやりに言う。
「隊長、それだと死体に魔物が寄ってきてしまいますよ。」
「めんどくさいからって山積みで放置は良くないです。」
アーロンも若干めんどくさそうに言う。
「じゃあ穴掘って焼いてから埋めるか・・・」
「大変ですけどそうしましょう。」
俺はアーロンにこっそり告げる。
「捕らえた奴に魔法を使ってるところを見られない様にしろよ。」
って事で皆でひーこら言いながらし死体処理をする。
俺は森の奥で150体の死体が入る穴を掘る。
そしてどんどん運ばれてくる死体を焼いていく。
途中死体の焼ける匂いに寄ってくる魔物が後を絶たなかったが、
どうにか作業を終えた。
「本当に大変だったな。お疲れ様。」
俺は作業を終えた仲間たちに言う。
「隊長も魔物の対応お疲れ様です。」
アーロンがねぎらってくれる。
「鹵獲した物資は手分けして担いで持ち帰ります。」
何人かは【収納】を使える者が居るが、それは使わないって事だ。
「そうか、じゃあ帰ろう。」
って事で帰路に着く。
俺は皆と足並みを揃えるためにユキから降りて歩く。
「結構大変だったし、この後は休みでもいいな。」
俺がそう言うと、ブレッドが口を挟む。
「隊長、この後はさっき埋めた奴らのキャンプの片付けもありますよ。」
このブレッドの発言を聞いた何人かが溜息をする。
「まあ物資とかがあれば俺達も貰えるし悪くないっすよ。」
グレゴリーが前向きな意見を言って皆を励ます。
「確かに馬車があれば帰り路が楽になるかもな。」
俺ものっかる。
因みに捕まえた男は散々暴言を吐き散らした後、誰かに殴られて気を失っている。
殴ったのはカールかグレゴリー辺りだった気がする。
その男曰く、町に他の仲間や取引相手が居るらしい。
こんな事をしたら、そいつらが黙ってないそうだ。
今朝盗み聞きした話だと女子供を誘拐して売る計画の様な事を言っていた。
つまり指示した上司か組織と人を売る相手が居ると言う事だ。
もし本当なら、どうにか対策を考えなければならない。
まずは捕まえた二人から情報を出来る限り搾り取ろう。
そして面倒な組織をすべて潰せれば気が楽になるのだが、
そんなに上手くいかないだろう。
俺は王都に行けばそいつ等とはほとんど関わりが無くなるだろうが、
町に残る仲間にとってはすこぶる迷惑な話だ。
さすがに火種を残したまま王都には行けない。
キャンプに荷物を置いてから敵のキャンプにアーロン達を送る。
俺は自分のキャンプから少し離れた場所で拷問する。
軽い拷問だ、指や目玉、玉や竿を潰しながら質問を続けるだけ。
出血しすぎない様に火で傷口を焼く。
それをひたすら続けた。
俺が神の国でされたように。
今回この村に来た奴らは組織の実働部隊で、
150人中人身売買組織の主要メンバーは数人で他は全部下っ端らしい。
コイツは今回の誘拐部隊のリーダだそうだ。
コイツの組織はあくまで下部組織で上の組織は王都や、
王国各地に勢力を伸ばしているらしい。
その組織は商会としての表の顔があるらしく、
それを使って色々な所と取引をしているそうだ。
例えば貴族、大きな商会、裏社会のギャングだかマフィアだか、
そしてなんと教会。
神は神の名を語って悪さをする悪党が居ると言っていた。
貴族や教会は人身売買をして、その責任を神に押し付けてるのだろう。
だから神に目を付けられたのだと思う。
本来は王都のクラーレンと言う男に会ってから掃除を始める予定だった。
思ったより早く悪党を見つけられた。
しかし今回の一件で確実に俺達が犯人だとばれる。
何故ならこの村で狩をしているのは現在俺のチームだけだ。
そんな事は町で調べればすぐにわかる。
バレたらチームの仲間が捕まって拷問されるだろう。
別にそれでも神に言われた仕事に支障はなが、
せっかく出来た仲間を見捨てて王都に行くつもりはない。
だから依頼が終わったら、ヴェスバルトの町で軽く掃除をしようと思う。
俺が居なくても仲間が快適に暮らせる様に。
色々考えたが一番楽な作戦を思いついた。
町に戻ったら即実行しようと思う。
この男の処遇はは村長に任せよう。
俺はズタボロの状態で気絶しているこの男を魔法で回復させる。
拷問の直前に服を脱がせたので服は無事だ。
眼が覚めたら夢落ちでしたって事にして、拷問の事は知らんぷりする。
男を担いで村長宅に向かう。
因みにユキに乗せていいか聞いたら断られた。
キモイから嫌だってさ。
家の前で話し合っている村長と村人が数人が居た。
アンナとマキさんも居る、そのそばでスイとエンがくつろいでいる。
双子は俺が近寄ると嬉しそうに走ってくる。
「ありがとう。問題は無かったか?」
俺は双子を撫でながら言う。
『エンが居眠りしてたけど異常なし。』
スイからの密告があった。
エンは、『ここに到着した後だから問題なし。』との事。
実際その通りなので両方ナデナデコネコネする。
そうしていると、村長が近づいてきた。
「そいつがリーダーですか?」
俺は頷きながら無造作に地面に投げ捨てる。
「先ほど自白したので確実です。」
「領主に申告していない村人を攫って売る計画だった様です。」
「村人の情報は早朝に連れてきた男から聞いたそうです。」
俺が報告すると村長はは頭を抱える。
「あの馬鹿垂れ小僧が・・・」
いや村長だけでなく他の村人も頭を抱えている。
「そうだ、お前たちに怪我人は?」
「敵の数は相当いたんだろ?」
「犠牲者も出たんじゃないのか?」
アンナ達が報告した筈だが、村長が矢継ぎ早に質問してくる。
「うまく罠にはめる事が出来たのでこちらの犠牲者及び怪我人はいません。」
「そして敵は1人を残して全滅です。」
俺が改めて報告する。
「本当なのか?」
信じられない様子だ。
まあ普通驚くよな。
「全員焼いて穴に埋めたのでよかったら見に行きますか?」
俺がそう言うとようやく納得出来たのか、村長は落ち着きを取り戻す。
「今は仲間たちが奴らのキャンプを片付けている所です。」
「ひとまずこの男もお任せしたのですがよろしいですか?」
俺はひとまずこの男を村長に任せて、キャンプの片付けの手伝いに行く。
「スイとエンは済まないが、村の外周を回って残党が居ないか確認してもらってもいいか?」
双子は元気に返事をした後走り去る。
「私も手伝います。」
「アタシも!」
って事でアンナとマキさんは俺のお手伝いしてくれる事になった。
皆でキャンプに向かう。
「魔法の事は皆に言ってないよ。」
マキさんがそんな事を口にする。
やっべ。
普通にマキさんの前で何度か使ってしまった。
そもそも生首を浮かせるとか完全に魔法じゃん。
アンナも呆れた顔をしている。
「本当に隠し事が下手ですよね。」
俺は睨まれながらキャンプに向かう。
キャンプは村や街道から隠れる様な位置にある。
このキャンプを早々に発見出来ていなかったら、
村にも俺達にも被害が出ていたと思うとぞっとする。
キャンプに到着し物色を始める。
何か面白い物でもあるかと思ったが大した物は無かった。
人が一人やっと入るような大きさの箱が沢山。
箱の中は頑丈に補強されていて、手錠の様な物もある。
それと、アンナとマキさん曰く睡眠効果のある薬草も大量にあるそうだ。
後は屋の根付きの荷馬車が沢山あった。
そして馬も沢山馬車を引かせる馬だけでなく乗馬用の馬も居る様だ。
見れば見るほど人を攫いに来ましたって感じの装備だが上手く隠せるようになっている。
馬車は特別な物ではなく目立たない一般的な物のようだ。
もしも借りた馬車だった場合は馬と馬車に貸し出した店のマークがついているはず。
しかし一通り見たが特にそのようなマークは無かった。
「この馬と馬車は貸し出し用のじゃないのか?」
俺は近くにいたアーロンやアンナに聞いてみる。
「はい、そのようです。」
「馬にも馬車にも貸し出し店のマークは在りません。」
「それに荷物の中に貸し出し証の様な物もありません。」
アンナが説明してくれる。
「ならこいつらの所有物か。」
俺。
「そのようですね。沢山稼いでいるようで何よりです。」
アンナは皮肉を言う。
「俺達で使ってもいいのか?」
俺は質問する。
「はい、今回の場合はもらっても問題ないと思いますよ。」
「しかし餌代や世話にかかる金を考えるとあまり多くは所有できないと思いますよ。」
肯定しつつブレッドが突っ込む。
「おおよそ見積もって2~3台の馬車、計6頭の馬が限度では?」
ブレッドは考えて呟く。
今の所俺やユキや双子が無茶苦茶な獲物を無茶苦茶な数狩っているが、
アイアンとして、それ以外の収入で考えると、それほど贅沢出来るわけではないのだ。
グレゴリーはなるほど!みたいな顔で話を聞いている。
因みにコイツは知らない事は多いがとても勉強熱心だ。
お陰で今はアーロンと肩を並べてリーダーを務めているほどに。
「じゃあ馬車3台分はもらって後は村に寄付しようか。」
因みに馬車の数は10数台ではなく、30~40台以上ある。
「村の人もこんなに大量に貰っても困るんじゃ?」
そう思ってマキさんの方を見る。
「必要な分は村で分けて、いらない分は売ってしまうから問題ないよ。」
「いただけるのならありがたくもらうよ。」
という事で早速村に渡す馬車に村に渡す物資を詰め込む。
俺たちの馬車に俺達がもらう物資を詰め込む。
俺は馬を一頭一頭観察して健康そうか怪我がないかを確認する。
何頭か軽い怪我があったので回復魔法で癒した。
馬は危険なので慣れていない人は出来ない事なのだ。
数が多いので大変だったが日が暮れるまでに、
村へ運び込む作業もすべて終わった。
「村長!」
「プレゼントです!」
という事で村長や村人に大放出だ。
村長は物資の多さに口を開けたまま呆けて居る。
生活必需品系はかなり喜んでもらえた。
因みにだがアイアンのハンターは世知辛く沢山の馬を飼育できないが、
この国の農家さんは作物が豊富に育つので馬のエサにはあまり困らないのだとか。
しかし馬自体は高価だ。
だから馬と馬車が沢山あると言ったら村人は大喜びでもらってくれた。
この村にも鍛冶師は居るので蹄鉄関係で困る事もないそうだ。
マキさんも乗用馬を一頭嬉しそうに貰っていた。
因みにマキさんが選んだのは葦毛のお馬さんだ。
物資よりも馬の方に喜んでいる人が多かった。
そしてなんと、村人が俺たちのために料理を振舞ってくれた。
夜は村の広場で軽い宴会となった。
村人たちは初めて来たときの様に冷たい雰囲気はすでに無くなっていた。
仲間たちと村人は楽しそうに食って飲んで騒ぐ。
俺は横になっているユキのお腹に寄りかかってのんびり座って眺める事にした。
両脇はスイとエンがしっかり固めている。
捕まえた二人は俺達が町に帰るタイミングで村長も同行して連れて行くことになった。
今回の一件を村の領主に報告して処罰するらしい。
実際の所今回のような襲撃は今まで無かったらしく、
村長も俺達が居なかったらどう対処すべきか分からなかったそうだ。
俺達が居なければ数日で一気に攫う予定だったらしいから、
それまでに気付けなかった場合、追跡は不可能となる。
敵さんは貴族や教会に味方が居るのなら多少強引でも問題無いのだろう。
楽しく賑やかで平和な一時を過ごすことが出来た。
そして俺達は遅くならないうちにキャンプに戻った。
この世界では蹄鉄は必ずしもすべての馬につけなければいけないと言う物でもないらしいです。
畑で作業するだけなら蹄鉄を付けなくても問題ないらしいです。




