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45 迫り来る者達

続きです。

次の日からスイとエンの片方が交代でマキさんの家の周囲を警戒するようになった。

そして俺も時々ユキに乗って顔を出す。

その時はお茶をしてのんびりしたり、畑の手入れを手伝ったり。

狩った魔物の肉で料理をしたり教えてもらったり。

エリーさんに教えてもらった料理とは違って薬草をおいしくする感じの料理だった。

薬草の独特な香りや苦みをうまく調節出来ていて、とてもおいしかった。

そんな日が何日か続いた。



妻に追い出されたとある男の話


ある日突然、妻に追い出された。

どうにか妻に考え直してもらいたいが、どうすればいいか分からない。

ニンブルさんが言ってた。

働かなくても生きていけるのが一流だって。

それなのに妻は俺の事を追い出した。

逆らおうとしても妻には勝てない。

妻は魔物を倒したり追い払えるほど強いが俺は普通の人間だ。

大きな町に来れば仕事が見つかるかと思ったけど誰も雇ってくれない。

やっと見つかった仕事も俺には合わないみたいですぐにやめた、

使えないと言われて追い出されたりした。

そんな俺の状況を知ったニンブルさんは俺を拾ってくれた。

仕事も住む場所もくれた。

まあ仕事内容はちょっとあれだけど・・・

皆もやってる事だってニンブルさんは言ってた。

チョット人から乱暴にお金を借りたり。

売る商品の代金をちょっとだけ高くして売ったり。

誰も住んでいない家(多分)の物を再利用したり。

何も悪いことはしてないってニンブルさんが言っていたから大丈夫だ。

大丈夫なはずだ。

むしろ胸を張れって言っていた。

そうして少しは稼げるようになった。

だからまた妻も復縁してれるはずだ。

少し休みを取って会いに行ってみようと思う。

ニンブルさんに相談した所あっさり休みをくれた。

やっぱりニンブルさんは優しかった。

だけど村の様子と女と子供の人数を数えて来いと言われた。

なんか商売に必要な情報らしい。

俺はすぐに馬を借りて村に向かった。


主人公


ある日

マキさんの所で魔物の料理をふるまっていた時に男が現れた。

村人かな?と思ったが違ったようだ。

その男はいきなり扉を蹴り開けて俺に殴り掛かってきた。

「クソ野郎があああぁぁぁぁぁ!!!」

初対面のはずだが、憎しみの表情を俺に向けている。

俺はパンチを躱すと同時に雑に前蹴りを放ちその男を家から蹴り出した。

「なんだ?」

蹴った後に思わず呆ける俺。

「聞き覚えのある声が・・」

マキさんは呆れている。

外に出て様子を見てみる。

男は俺を指さして何か叫んでいる。

裏切者がーとか、信じてたのにーとか、ビッチがーとかそんな事を色々。

終いには泣き叫びながら栗毛の馬に乗り、走り去っていった。

「なんだ?」

俺は理解しきれずまたも同じセリフを吐いてしまう。

「はぁ・・・」

「あれは数年前追い出した元旦那だよ。」

「何しに戻ってきたのかは知らないけどアンタと結婚してると勘違いしたようだね。」

マキさん呆れた様子で言う。

「それは申し訳ない事をした。」

「今から呼び戻して説明を」

と言いかけた所で。

「いや、ほっときな。」

「アイツの事はもう見切りをつけたよ、あれと結婚した私に見る目が無かったのさ。」

マキさんは吹っ切れた様子でそんな事を言う。

「アタシはなんであんな男と結婚したのかね・・・」

さらにため息交じりでそんな事もつぶやく。

「そうですか。」

どうやら後を引きずっているのは男の方でマキさんは本当に迷惑そうにしている。

「うちのチームに男が沢山いるのでよかったら紹介しますよ?」

と冗談半分で言ってみる。

「はっはっは!そうかい、それならぜひアナタと仲良くなりたいもんだね。」

「残念ですが俺は暫く結婚するつもりはないです。すみません。」

お互いヘラヘラ笑いながらそんな話をする。

「まあ相手が欲しいときはアンタに相談する事にするよ。」

そう言ってから真面目な様子に戻る。

「とにかくあいつは私が冗談で追い出したと思っている様だね。」

「もう復縁するつもりはこれっぽっちもないって事をわかってもらえてないのかね?」

そう言う事らしい。

「前にも言ったんだけどね。」

「次来たときはきっぱり言ってやるさ。」

何と言うか、強い女性って感じがする。

「困ったことがあれば言って下さい、出来るだけ力になります。」

俺。

「ありがとう。そうするよ。」

そして料理を食べ、日が暮れる前にキャンプに戻る。



さらに数日後。



狩は順調だ。

町の人も狩りの成果を見て明るさを取り戻している。

馬車に山盛りの獲物が村の解体場へ運び込まれるのを見ていれば当然だろう。

この日もマキさんの所で剣の稽古をしている時だった。

また奴が来た。

マキさんの元旦那だ。

今度は悪そうなお友達3人を連れて来た。

元旦那のお友達が持っている武器は使い古している様子。

完全な素人ではなさそうだが、ハンター協会では見たことの無い顔だ。

「この際だからきっぱり言っておくよ。」

「もうアンタと復縁するつもりはない。二度とこの家に近寄らないで。」

マキさんは有無を言わさず、堂々と啖呵を切った。

マキさんのこういう所は尊敬する。

元旦那は言葉を発する事は無かった。

よっぽどショックだったらしく、悲観の表情で口をパクパクさせている。

「どうすんだコレ?」

元旦那のお友達がニヤニヤしながら言う。

「その男を殺っちまえば女の気も変わるだろ?」

「じっくり痛め付けてから殺っちまおう。」

そう言って三人は武器を抜く。

彼らの内一人が一切の躊躇いもなく、俺に切りかかってくる。

お前ら誰だよ!と心の底から思いつつ頭を切り替える。

俺はぎりぎりまで惹きつけて躱すつもりだった。

しかし剣は途中で遮られる。

「あんた達なんか私だけで十分さ。」

マキさんがいつの間にか剣を抜いていた。

「威勢がいいな。遊んでやるよ!」

男達はニヤニヤしながら一人ずつマキさんと戦う。

弱いやつから戦っていくつもりらしい。

女性だからとかなり舐めている様子だ。

しかし油断の無いマキさんは危なげなく一人また一人と剣の柄や蹴りで倒していく。

男達は油断していたせいでいい打撃が入っている。

「わざわざ殺しはしないよ。そこのクズを連れてさっさと出ていきな。」

マキさんが剣を突き付けながら言うと4人は苦しそうに逃げていく。

「覚えてろ!!」

と微かに声が聞こえた気がした。

俺は思わず拍手をする。

「ブラボー(棒)」

「あんまりおだてないでよ。」

とマキさんは照れながら言う。

「なんか増えてましたけど何者でしょうね?」

彼女に心当たりはあるのかな?

「さー?町で知り合ったダメ男仲間じゃないのかい?」

とどうでも良さそうに言う。

ぶっちゃけ、ただの悪仲間って感じでは無さそうだった。

もしもガチの悪党だと報復が有るかもしれないがその確証もない。

だからその事を伝えて変に怯えさせるのは良くないか?

見回りの頻度を増やせば問題ないかな?

色々考えた結果、変に怖がらせない事にした。

「まあ大丈夫だよな?」

俺は心配しつつボソッとつぶやく。

「はっはっは。舐めないでよね!」

「普段から一人で暮らしてんだ。問題ないよ!」

とマキさんはっきりと言う。

やはりたくましい女性だ。

その後、日が暮れる前にキャンプに戻りチームで情報を共有する。

報告の後、他にも問題があったらしい。

「今日、村の周りを警戒している時に西側の森で大量の足跡を見つけました。」

エディが報告する。

「気配を消しつつ足跡をたどると150人以上の一団がキャンプを張っていました。」

「馬車も沢山あったので俺達以外のハンターかと思ったのですが・・・」

エディはそこで俺を見る。

「その情報と俺の話を合わせるとその一団はハンターじゃない可能性が出てきたと?」

俺。

そもそもハンターが首に掛ける認識票的なのを付けてなかった。

ほぼ確実にハンターじゃない。

村長からは何も聞いていないのでおそらく村長も知らない集団なのだろう。

エディはうなずく。

俺は少し考える。

「よし」

「皆、今夜は交代で村を警備しよう。」

「特にそのキャンプを警戒してくれ。」

俺がそう言うと全員、真面目な顔で返事をする。

「アンナは俺と村長に事情を説明する、その後アンナは村長と一緒に村人達に知らせてくれ。」

「チームの指揮はアーロンとグレゴリーが交代でやれ。」

「狙いは分からないが、マキさんが襲われる可能性が高い。」

「そっちは俺が行く。」

今すぐ正面切ってお前ら誰だ?って聞きに行くのは危険か?

どうせ真実は語らないだろうし、今夜はまずは警戒と監視に徹して明日にでも調査しよう。

そして全員行動を開始する。

半数は休み。半数は村の警戒。

時間を決めて交代で見回りと警備と連中の監視をする。

俺とアンナで村長にこのことを報告に行く。

「って事で危険が迫っている可能性があります。」

俺は急いで村長に報告した。

「確かに心当たりはないが、本当なのか!」

村長は驚いた様子を見せたが切り替えて質問する。

「心当たりが無いのであれば危険な連中だと想定して動きます。」

「明らかにどこかの正規兵ではなく、ハンターの可能性も低いです。」

「明日の日中に調査をしようと思います。」

「わかった!」

村長は少し考えて返事をする。

「俺は村人に知らせてくる。」

「申し訳ないが私たちの村を守ってはくれないだろうか?」

村長はそう言って頭を下げる。

「俺たちは元々そのつもりで来ました。」

「村の守りは俺達が可能な限り行います。」

元々村を脅かす魔物討伐の依頼だった。だから相手が魔物か人間かの違いでしかない。

「村長はアンナを連れて村人に知らせに行って下さい。」

「俺は襲われる可能性が一番高いマキさんの所に行きます。」

「村の外周は俺の仲間達が夜通し警戒させます。」

「何かあればアンナに言うかキャンプにも仲間が居るのでそいつらを頼ってください。」

俺は一気に説明する。

「わかった。」

村長は一つ頷き上着を着る。

「じゃあ村長と村人を頼んだぞ。」

アンナの目を見てしっかり言う。

「はい。お任せください。」

そうして俺はマキさんの家に向かう。



妻に追い出されたとある男2


家に帰ると、知らない男が居た。

黒髪長身で超絶美形の男。

妻と楽しそうに料理をしていた。

俺でさえ妻と一緒に料理をしたことが無いのに。

その後色々あったがあまり覚えてない。

町に戻りニンブルさんに報告した。

すると、ニンブルさんは特別に仕事を任せたいと言った。

秘密の仕事らしい。

嬉しかった。

あの女は俺を裏切ったがニンブルさんは違った。

秘密の仕事とは人を運ぶ事らしい。

使えない人間を別の場所で働かせる仕事らしい。

人攫いかと思ったがニンブルさん曰く違うとの事。

最初は多少荒っぽくなるが、別の場所での仕事はとてもよく。

戻ってくる奴は一人もいないらしい。

職業を斡旋する慈善事業だって。

俺はニンブルさんのために人を運ぶ仕事の手伝いをすることにした。

仕事場は俺の居た村だ。

一人暮らしの女性や手が空いている少女。

男は畑仕事があるから連れて行かないらしい。

何もできない女性や子供に仕事と居場所を与える。とてもいい仕事だ。

俺はニンブルさんに村の規模や村人の家族構成、

いなくなっても問題にならなさそうな女性、少女の情報を片っ端から伝えた。

うちの村の領主は村にはいないが、村人の管理はしっかりしている。

しかし村には領主の管理外の住民もいる。

何処からかやってきて住み着いた旅人や町で職をなくした者など。

村長はそんな村人も受け入れている。

長く居る者を村長は正式な村人として領主に知らせるが、それまではただのよそ者扱いだ。

長年居るが正式な村人にならないままのやつもいる。

そんな奴らはいなくなったとしても領主も誰も気にしない。

だからこそニンブルさんはそんな奴らにちゃんとした職場を与えてあげるらしい。

大仕事になるとの事だ、人だけでなく移住する人の家財も一部輸送するらしい。

大勢の人たちと共に村に行く事になった。

ニンブルさんは最後にチャンスをくれた。

気になるんだったら彼女を連れ戻しに行けと。

三人の仕事仲間と一緒に行った。

しかし次はきっぱりと、もう復縁は無いと言われた。

一緒に行った仕事仲間は黒髪の男がそそのかしていると言っていたが、

妻にも激しく抵抗された。

そのことをニンブルさんに報告すると、今度はもっと沢山連れて行っていいと言われた。

もう許さない。

アイツら二人共絶対に許さない。

「本当にいいのかよ?」

仲間が聞いて来る。

「ああ」

「もう妻じゃない、好きなだけ痛めつけてくれ。」

夜中、10人ほどの仲間と共に元妻の家に向かう。

「へっへっへ。」

「まさかヤリもせずに別れちまうとはな。」

仲間が言う。

「子供はまだいらないってのが妻の常套句だったよ。」

「はっはっは。」

「無理やりにでも犯せばよかったのに。」

仲間がそんな事を大声で言うと皆笑い出す。

「あの狂暴な女をこいつが犯せるわけないだろ。」

先ほど一緒に行った仲間がそう叫ぶ。

さらに下品な笑いが起きる。

「さっきは油断してたが今回は手加減なしで手荒に行くぞ。」

先ほど殴られた仲間が言う。

「あれだ!」

俺は見えてきた家を指さす。

「外に呼び出せ。」

仲間に言われて俺は叫ぶ。

「マキ!出てこい!!ぶっ殺してやる!」

すると中から血相を変えたマキが剣を持って飛び出してくる。

「また来たのかい!ボンクラ男!」

「次は容赦しないよ!」

頭に血が上ったマキは威勢よく切りかかってくる。

しかし仲間達がつかみかかり何もできず拘束される。

ようやく仲間たち全員の姿が見えたのかマキは一気に青ざめていく。

「なんだこいつ等・・・一体どういうつもり?」

マキは震える声で言う。

「精々楽しませてもらうぜ?」

仲間の内一人がマキの耳元でそう囁く。

そしてマキの服の胸元を破き体を貪ろうとした時だった。

「ゴホッゴホッ!」

家の方から咳き込む音が聞こえてくる。

家の方を向くと屋根の上に三日月に照らされた男がパイプを吸っていた。

この場の皆、マキでさえ彼に目線を奪われた。

「やっぱ。タバコは合わねぇや・・・」

「悪いけどコレ返すよ。」

男は完全に空気を読めていない発言をしてパイブを掲げた。



主人公少し時をさかのぼり・・・


急ぎマキさんの家に向かう。

村長への報告など色々した結果、すでに夜は深い。

女性の家だし、押しかけたりせずに外から静かに監視しようと思う。

村からつながる分かりにくい獣道の近くにユキを隠して指示を出す。

「人が来たら一旦通してくれ。」

「まずは目的が知りたい。」

「交渉が決裂したら、俺達で囲んで一網打尽にしよう。」

家の周囲にはスイとエンを潜伏させる。

俺は音と気配を消して家に近づく。

入口から来る事を予想して、屋根に上ってユキと俺で挟む様な配置に着く。

魔力を家の周りと畑を囲う様に充満させる。

魔力消耗が激しい大雑把な技だ。

しかし範囲内に何かが来ればわかるし、

充満させた魔力を使って範囲内のどこからでも魔法を発動できる。

言わば自分に有利な結界を作る感じだ。

これで一安心のはずだ。

さすがに今夜いきなり襲撃はしないと思うけどね。

風が少し冷たい。

屋根の上でのんびりフードを被ってパイプでも吸おうと思う。

慣れない手つきで葉っぱをコネコネしてどうにかこうにか準備完了。

キセルっぽい形で、細長いパイプの先に小さくこねた葉っぱを詰める。

この葉っぱが特別らしい。

丁度いい大きさにするのが意外に難しかった。

焚き木が無いので魔法で火をつける。

そんな風に油断しまくっていると、いつの間にか数人の男たちが家の前に居た。

あれ?

もう来たぞ??

タバコに集中してて気が付かなかった。

アーロン達はあくまで村の中と外周を警戒しているので、

村に近寄らない様にして、こそこそやってきたのだろう。

奴らは果たして敵か味方か?

もしハンターの応援だった場合急に切りかかる訳にもいかない。

しかし盗賊の類だった場合、奴らが本当の事を言うとは思えない。

『はい!私たちは盗賊です!』って馬鹿正直に言うわけがない。

それに100を超える規模の集団を率いていて村長に何の挨拶もないのはおかしい。

少し眺めて観察しているとマキさんはいきなり家から飛び出し男たちに襲い掛かる。

三回目だしイラつくのもわかるけど・・・

昼間も思ったがマキさんはかなり気が早いと言うか短気なようだ。

しかしながらマキさんは相手が11人もいると思っていなかったらしく。

すぐに取り押さえられてしまう。

少しは落ち着いた話し合いが始まりそうだ。

さて元旦那は愛の告白でもするのかな?

そう思っていると男たちはいきなりマキさんの服を破き始めた。

男達もマキさんに負けず劣らず気が早いようだ。

余りに予想外の事で俺はむせかえってしまう。

「ゴホッゴホッ!」

すると全員が俺の方を見る。

やっべ!

マキさんに勝手に見張りしてるのがバレた。

一応言い訳を考える。

「やっぱ。タバコは合わねぇや・・・」

「悪いけどコレ返すよ。」

って事で夜中に女性の家に押しかける変態から、

夜中にタバコを返しに来た変人に印象を変える事が出来た。

良かったよかった。

まあマキさんに事情を説明すれば許してくれると思うけど、一応言い訳をしておく。

さてと・・・

「で?」

俺は怒気を込めて声を発する。

女性の家に11人で襲いに来るとは明らかに犯罪行為だ。

俺の怒りがしっかり全員に伝わったらしい。

怒気に圧されて全員もれなく震えあがる。

「マキさんのお友達ですか?」

明らかにそう言う感じではないけどね?

もしかしたら、そう言った乱暴なプレイがお好きなのかな?

「いや。招いてない客が来てしまってね。」

「追っ払おうとしたんだけど手こずってしまって・・・」

マキさんはホッとした様子で説明する。

「なるほど・・・」

「手を余しているのでしたら、お手伝いしましょうか?」

俺は座ったまま会話を続ける。

「申し訳ないんだけど手伝ってくれるかい?」

その間、奴らの申し開きは一切なかった。

俺は今、現状を見てそいつらを敵と断定した。

マキさんが言うと同時に、マキさんを拘束している三人に向かって三個同時に【風刃】を飛ばす。

飛ばすと言っても俺の魔力が周囲に充満してるので、そいつ等の首元で魔法を発生させられるのだ。

三人の首が同時に落ちる。

残り8人

「家の前を汚してしまって申し訳ない。」

俺は淡々と謝罪する。

マキさんは呆然としている。

「いや・・・お気になさらず。」

いきなりの事で少し驚いたのだろう。

「大人しく事情を説明するんなら生きて家に帰れるかもな?」

俺がそう言うと、ようやく状況が理解できたのか、

一人が俺に向かってナイフを投げてくる。

俺はその生ぬるい投げナイフをキャッチすると同時に投げ返す。

先ほどのナイフが止まって見えるほどのスピードで、投げた本人の脳天に突き刺さる。

そいつは勢いよく後ろに半回転する様に地面に叩きつけられる。

残り7人

右手でパイプを持ったまま左手で肩に大斧を担ぐ。

「仕方ないな。」

俺はそう言うと高く飛び上がりマキさんの目の前に降り立つ。

着地の瞬間フードが脱げる。

何人かが逃げようとするがスイとエンが道をふさぐ。

双子は唸り声を上げながらにらみつける。

「二頭の白い猟犬に黒髪の大斧使い?」

まだ生き残っている内の一人が呟く。

その時

生き残った7人はついつい一つの噂を思い出してしまう。

町に突然現れた白い二頭の猟犬を連れた白馬の黒い死神。

彼らはそんなくだらない子供が考えそうな噂話を町の酒場でよく聞いていた。

死神はオーガの一団をいとも容易くに狩るらしい。

しかも首を綺麗に切り飛ばすと言う、とんでもない殺し方をするらしい。

生き残った7人はそんな戯言をついつい思い出してしまっていた。

「死神?」

誰もが喉から出そうになって、なお言わずにいたその言葉を一人が口にした。

「いやいやいやいや!」

「そんなわけない!」

「おとぎ話だ!」

「飲んだくれの戯言だ!」

「一人の人間がオーガの群れを全滅させられるわけがない!」

「ただのハンターだろ!」

「やっちまえ!」

リーダーの様なやつがそう叫ぶと一人を残して全員同時に俺に襲い掛かってきた。

俺は左手で大斧を真横に一薙ぎする。

4人の首を切り飛ばす。

腕ごと首が飛んでった奴もいる。

しっかり手入れをしている大斧なので切れ味は抜群。

特に防具もしてないので一気に骨ごと断ち切る。

そして微動だにしない元旦那を除いて、

残り二人、しかし二人はすでに喉を食い千切られていた。

「ありがとう、助かったよ。」

俺は双子にお礼を言う。

パイプを仕舞って斧を置き、着ているくまさんのマントをマキさんの肩に掛ける。

「片付けは俺がしますので家の中で少し休んでください。」

そう言って肩を支えながらマキさんを家の中まで連れて行く。

スイとエンの口元を綺麗にして、家の中で待機させる。

マキさんはスイとエンに抱き着き堪えていた恐怖を吐き出す様に嗚咽を漏らす。

そして俺は外に出て股を濡らして座り込む男の顔面を殴りつける。

ボコォ!!

すでにご理解していただけていると思いますが、主人公は若干アホです。

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