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林山 冬美(眉毛)
「正直突然来られたら困ります」眉毛は俺に対して不機嫌そうにそう言った。
「すみません。家内の事でお聞きしたいことがありまして」
「心江のことは、可哀想に思っていますし、申し訳なくも思いますが、
この前もお話ししたのに、時を開けずして家まで来られるのは、
言いにくい話ですが困ります。
私もパートですが働いていますしね。夫も心配しますし」という眉毛に対し申し訳なさそうにお辞儀をする最中に、
眉毛の後ろの玄関の下駄箱の上に花と一緒に「産婦人科」と書かれた薬を入れる封筒が目に入った。
「少しだけいいので、時間を下さい。これ持ってきたのでもし良ければ」俺は、菓子折りを差し出す。
「まぁ少しならいいですけど、でも中に入れることは出来ませんが、玄関までならどうぞ」
「すみません、ありがとうございます」
眉毛は玄関に産婦人科の薬を置きっぱなしにしていた事に気が付いたようで、慌ててすぐ隣の部屋に放り込んだ。
「ピルですか…?」俺は透かさず眉毛に聞いた。
「えぇ」
「いつから飲んでいるんですか?」
「随分前からですよ….まぁ私の話はいいとして、何を聞きたいんですか?」
「家内から何か悩みを聞いていませんか?私はとても家内が自殺したとは思えないもので」
「それって、殺人の可能性を疑っているという事ですか…それもこの私を」
「いいえ、そういうわけではないのですが、家内は幸せそうだったので自殺と言われてもピンとこないんですよ」
「まぁ、そう思うのも無理はないかもしれませんが。
自殺ではなくて事故だと思いますし、殺人ではないですよ。
自殺とは認めたくないでしょうけども…
私たちは4人一緒にお風呂に入っていましたし、
心江も含めみんな本当に仲が良かったので殺す理由なんて思いつきませんよ。
もう二十数年来の仲ですからね」
「そうですか」
「もういいですか…私この後予定があるんですよ」
眉毛の高圧的な態度に負け、俺はそれ以上の事は聞くことが出来なかった。




