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手紙  作者: 大和香織子
第二章 失望
12/29

4

「小堺さんが悪いわけではありません。どうぞ、顔を上げてください。小堺さん、パソコンとかは得意です?」


「パソコンですか…?苦手です。携帯電話もようやくガラケーを卒業して、それが嬉しくて、モバイルバッテリーも購入したんです。子供が3人もいるので交代で使うのですぐに充電がなくなるのもあって」


「なるほど。あの日、家内が入浴している際に皆さんは一緒にいらっしゃったんですか?」


「大角 圭子です。食事を食べた後に温泉に入ろうと前々から話していましたので、心江には申し訳ないけど、私たちは入らせてもらう事にしました。心江も笑顔で見送ってくれました」小柄ででっぷりとしていて髪は短くメガネをかけている。


メガネがそういうと、全員がこっくりとうなずいた。


「本当に残念です。まさかこんなことになるなんて思いませんでしたから…」

「ゆかり、名前言わないと」とメガネが言う。


「あ、ゆかりです。境ゆかりです」という彼女の唇から八重歯が両端から2本覗く。


「もう一つだけいいですか?この中でパソコン自宅に持っている人いますか?」

そう言うと4人が全員手を挙げたのだった。


「使いこなせないだけで、持っていますよ、時代が時代なので」とおかっぱが答えた。

                 

 ___その夜、僕は心江の遺影の前で、図書館で借りてきた絵本を開き「むかし、むかし、あるところに…」と読み始めてから全部を読み終えるまで、俺の目から涙が止まることは一度もなかった。




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