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「下見さん」と呼ばれる声で俺は顔を上げた。
4人がぞろぞろと、やってきて、「この度は…」とかしこまるので、「そんな固いことはいいですから座ってください」と言った。
丸いテーブルなので、全員の表情が窺える。
好きな物を注文してもらい本題に入ることにした。
「今日はお忙しい中、わざわざありがとうございます。今日は亡き家内の話を聞かせていただこうと思いまして。学生時代から家内と仲良くしてくださっていたそうで。最近、心江が悩んでいるような事を聞いたことはありませんか?」
「悩みは、特に聞いたことはありませんね。あ、その前に自分の名前言い忘れました。林山冬美です。心江は人に弱い所は見せないので…そんなに思いつめていたなら話してくれたら良かったのにと悔やまれます」 やせ型で頬骨が高く、意地悪そうに吊り上った眉毛が印象的だ。
「そうですか、なにかトラブルとかありませんでしたか?家内の事だから迷惑かけているのではと思いまして」
「若い頃は、それなりにありましたけど、みんな随分落ち着いたので今は随分と平和になりましたよ」眉毛は、そう言って軽く頷いた。
「なるほど。ところで携帯電話のバッテリーは家内のものではないのですが、どなたのものですか?」4人は顔を見合わせた。
「小堺 有里です。ごめんなさい。それは、私の物です。まさかこんな事になるとは思わなくて…あの日充電がないというので、使ってもいいよと部屋の化粧台の前に置いていたのですが、まさかお風呂場で使用するとは思わなくて…本当にすみません」そう答えると申し訳なさそうに俯いた。
その女の顔にはニキビの跡があり、コケシの様なおかっぱ頭をしている。




