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朝田陽一

 俺はいわゆる痴漢冤罪に遭った。

 初め悲鳴が上がったとき、何が起こったのかわからなかった。

 しかし気付けば連行され、手早く警察を呼ばれて自白を強要された。


 誓って言う。俺はやってない。

 翌日拘置所にやってきた上司はすぐに解雇(クビ)を言い渡して帰っていった。


 ブラック企業であり、いつかは辞めてやろうと思っていたが、

 こうもあっけない形で退職するとは思ってもみなかった。

 だが、捨てる神あれば拾う神ありとは言ったもので、

 留置場で俺は選定に遭った。 


「おめでとう。あんたは選ばれた」

 生き残ったことと、俺はこれから願いをかけて戦うことを告げられた。


 コア能力を得た俺が最初にやったことは、会社への復讐だった。

 俺としては、会社で選定が起きてほしかったが仕方ない。

 得たコア能力を試すのにちょうどよさそうだ。


 人を殺めることには思ったほど抵抗はなかった。

 ごく当たり前な常識や理性など、

 逮捕され何もかも失った時点で灰燼に帰していた。


 初めてコア能力を使ってみたが、思いのほか制御することが難しく、

 勢い余って一瞬で殺してしまった。

 あまりにもあっけなく死んでしまい、

 思ったような反応は得られないのが不満だった。


 それから、やることもなかったので、

 ボスとやらの指示を素直に聞いて俺は戦いに明け暮れることにした。

 ここではコードネームが与えられる。

 本名で呼び合うのを避けようってことらしい。

 俺のコードネームはソドム=ゴモラってのになった。

 なんだか仰々しいが仕方ない。

 どうやら俺のコア能力はかなり強い部類に入るらしかった。


 翡翠のペンタスとやらの者はあの手この手で巧妙にかつ勇猛果敢に向かってくるが、

 俺にとっては小細工でしかなかった。

 そんなもの、俺のコア能力の前ではすべて意味をなさないからだ。


 初めは勇敢に立ち向かってきた敵も、

 最後には慌てふためき逃げ惑うことしかできず、

 みな無惨な結末を迎えた。


 気付けば俺は、このレッドコアズという組織で指折りの戦闘員になっていた。


 気に食わない人間はすべて殺す。

 選抜者になってからずっと行動を共にしている味方は俺に恐怖を感じているのか、

 機嫌を損ねるようなことは決してしない。だから殺さない。


 力を得た代償なのか、元来あった性格が放たれたものなのかわからないが、

 選定以来妙に胸につっかえができたような感覚がして、

 イライラすることが増えた。


 俺は狩り続ける。

 このモヤモヤと憎しみがなくなるまで。

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