↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エリートウォーズ  作者: 流山治満
スキルスティーラー編
PR
37/58

ある男の結末

 1人の男が衝撃で吹き飛ばされ、反動で山の斜面を転がっていた。犬養である。

 猿渡との戦いは今回も引き分けに終わった。


 木の幹にぶつかりようやく止まる。

 猿渡も同じようにどこかへ吹き飛ばされており、

 もはや行方がわからない。

 立つのがやっとの状態であり、

 今回はこれで帰ることにする。


「あの野郎、今度こそくたばったか」

 捨て台詞のように顔を歪めながら呟くも、

 この程度で死ぬわけがないとわかっている。

 自らの手で引導を渡すまで終わらない。

 そういう星の下に生まれているのだと理解している。


「あいつは、絶対に俺が殺す」

 ボロボロの体で家路を目指すのだった。



  *  *  * 



 亘は生き残っていた。

 触手を空中で動かし凧のようにして落下位置を調整し、

 木の上に落下していた。


 今度こそ水岡たちのコアを食らうため、

 触手を使い崖を昇り切ったところだった。


 本人はまだ敗北したとは思っていない。

 それどころか次々に野望が湧き上がる。


「コアは食えば食うだけ強くなれるんだろ??

 そうだ……!コアを融合させたらどうなる!?

 もっともっとコアを吸収すればどれだけ強くなれるんだ!?!?」


 落下の衝撃は触手を使って減殺したが、

 それでもどこかの骨にヒビが入るレベルでダメージを負っていることは確かである。

 しかし、そんなことはまったく気にならない。

 息を荒くしながらも水岡たちの痕跡を辿ろうとする。


「ひとまずそこらへんの奴のコアを食おう!

 敵でも味方でも誰でもいい!!」

 案はすぐに湧き上がってくる。


「そうだ。油井を呼ぼう。

 アイツのコアを喰って、この山にいる奴らすべてを狩ってやろうじゃねえか!!」


 そのときだった。


「ここにいますよ」

 亘が振り返る間もなく、不意に背後から出てきた油井は首を一瞬で掴むと、

 一気に致死量の電流を流した。

 困惑する暇さえも与えなかった。


 ずっと潜んでおり、このタイミングを狙っていた。

 これこそがレッドコアズのボスから下された真の命令だった。

 そのためのあからさまな時間稼ぎが、華憐やウェンたちに違和感を与えていた。


「あんたは味方を食いすぎた」


 今は亡きミノムシの弔い代わりに油井は花火を上げた。

 それは、気を失って倒れていた水岡から拝借したものだった。


(これで水岡は味方に回収されるだろうな)



 こうして、亘の息の根は一瞬にして止められた。

 油井がそれをボスに伝えた途端、全軍はすぐに撤退となった。

 あれほど味方にも恐れられ、翡翠のペンタスに被害を与え、

 討伐のための部隊まで結成させた者の最期は実にあっけなかった。


 


 ――2週間後


 亘が死体で発見されたというニュースがメディアで流れた。


 死因は感電によるものだった。

 世間一般では、他殺なのか、はたまた手の込んだ自殺なのか、

 謎の感電死事件としていっときの話題となったが、

 やがて忘れ去られていった。



 こうして、亘の野望は潰えた。

 しかし、この戦いの火種は大量に燻っている。


 翡翠のペンタスは亘によって大きな被害を受けはしたが、

 この戦いで各員の意識と能力は確実に向上したことも事実であった。

 叶野も相変わらず余裕の表情が崩れる様子はない。


 一方のレッドコアズは今回の戦いの裏で、

 着実に選抜者を確保していた。

 ここぞとばかりに選定が相次いだのだ。

 それに対して、戦力を亘の討伐にほぼすべて向けていたペンタス側は、

 手をこまねいて見ていることしかできなかった。


 水岡たちの戦いはまだ序章にすぎない。

 だが、それでも彼は今を懸命に生き抜き願いのために戦い続ける。


 たとえ、唯一無二の親友と命のやりとりをすることになったとしても。

次からは、しばらくは幕間が続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。