表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/24

二三言目 はい 【最終話】

 辺り一面に紫桔梗の花が咲いた。

 そしてそれは僕を、僕の隣にいる紫桔梗を中心に咲いている。


 紫色の長い髪の毛、綺麗な顔立ち、白と紫のヒラヒラした服装(着物)で、いつの間にかそこに存在していた。


 いつのまにか、ではあるけれど。

 不思議と違和感はなかった。


【主人様、敵はあやつらで良いのかしら】

 そうだよ、数が多いけど大丈夫?

【数なんて問題ではありません】


 そう言うと、紫桔梗は周囲の仲間たちにふわりと指示をだし、ツタを伸ばした。そのツタは恐ろしく速く、そして広範囲に渡って、ゴブリンの大軍を目指した。


【私は忘れません、主人様に育てて貰った事を】


 ほんの瞬きの間にゴブリン、そしてゴブリンロードまでもを捉え、拘束した。圧巻だ。


【私は忘れません、主人様が夜通し守ってくれた日々を】


 そのツタの拘束は強力で、全てのゴブリンたちは身動き一つとれず、足掻こうとするそれらは何一つとして許されなかった。


【私は忘れません、主人様がくれた土の味を】


 カランと、また一つカランと、手に持っていた武器を落としていくゴブリンたち。空いた手でツタをなんとかしようともがくも、意味をなさず。


【主人様が望むなら、私は永遠につかえましょう】


 ぼとり、ぼとりと、今度は動かなくなったゴブリンたちが地面に落とされていった。


【我が名は紫桔梗、トキ】


 そして、あの騒がしくも、危険な空気は一変。


【主人様に育てられた、一粒の種にございます】


 眼前に広がるのは、ゴブリンの山と、誇らしげな果樹園の姿だった。



「アルス、貴方一体……」

「ヴィオラ!」

「な、何よ」

「果樹園、無事だったよ!!」

「見れば分かるわよ、全部貴方のお陰ね」

「違うんだ、僕じゃないんだよ!」

「隣にいた人?」

「そう! トキさんって言うんだ!」

「その人はどこに行ったのよ、お礼の一つも言えてないんだけど」

「ここにいるよ?」

「は?」


 僕は手を差し出した。

 そしてそこには先程までとは少し姿の変わった、紫桔梗の種があった。

 種は紫色にまんまるになり、1センチ程の珠になってしまった。


 不思議だ。


「……まぁいいわ、それも含めておいおい聞くから」

「え?」

「出て行くなんて言わせないわよ」

「え!?」

「もしどうしても。出て行くって言うのなら」

「……!」

「私もついて行くわ」

「ええええええええ!!!!!」



「そんなに嫌がらないでよ、帰るわよ」

「はい」


 そんな事があって、ひとまず帰る事にした僕だけど。

 村を出てわかった事は、どこに行っても僕には畑しかなくて、


 僕がふりまわされてるくらいが丁度いいって事だった。


【完】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ