また馬車
裏suziより僕は頭のほうが・・・・すみませんでした。
なんかこの光景はどこかで・・・これをデジャブという、既視感ともいうがそれはどうでもいい。あの時と同じような状況である。大体、聞かれていることは同じようだが、基本的に移動中は音楽を聴くようにしてあるために、人の話は聞けない・・・・仕方ないんだ。だって、こいつつまんねーもん。
「あの、お話を聞いてくださいますか?」
明文と第二王女アンは馬車の中にいた。アンと明文の横にはそれぞれ護衛の兵士がいる。主に明文の監視のようだが。明文は気にせずヘッドホンを取り出し、音楽を聴いている。どうやら移動中には音楽を聴くのがルーティンらしい。護衛もアンも堪忍袋の緒が切れそうだ。
あれから、どれくらいの時がたっただろうか、多分、今日が終わったぐらいはたったと思う。でも実際にはほんの数分しかたっていない。どうして、退屈な出来事はこれほど長く感じるのだろう。この女もよく根気よく、話しかけてくるな。どう考えても音楽を聴いたほうがいい。音楽はいい。だがまあ、ここら辺が限界だろう。逃避の。相手の我慢が限界のようだ。そろそろ話を聞いたほうがいい。
明文はヘッドホンを外し、アンを見た。どこか黒い色をしている。淀んだ色だ。濁り方を間違えてしまった色だ。強いて言うなら、いろんな色を混ぜすぎたあの何とも言えない気持ち悪い色だ。
「えっと、俺はなんでここにいるのか。それと要件は?」
「はい、明文様には勇者様達のご指導をお願いしたいのです。」
「国仕えの魔術師達がいるじゃん?」
「あなたほど優れた魔術師はいませんわ。属性の否定をし、新たな魔道の価値観を提唱する偉大な魔術師と凡百な魔導師を比べられませんわ。それにあなたはあのカマセを軽くあしらったと。」
「ああ、まあ。」
「彼は本来、宮廷魔術師の筆頭候補だったほどの実力者です。それを軽く捻ることはこの国の筆頭魔術師でもできませんわ。それが何よりの証拠です。」
「ふーん。勇者ってのは?」
「私たちの国では代々異世界人を呼び、勇者としてこちらの国にきてもらっています。」
許可もなんもとってーだろ。どういう言い方してんだ?
「その子らに僕が教えると?ちょっと厳しいかな今の学園の仕事もあるしね。」
「いえ、学園の仕事として頼みたいのです。言わば出張をこちらにしてほしいのです。」
「・・・・僕になんかメリットはあるのかな?」
「あなたは長い間人里離れたところで暮らし、この世界の情報に疎いと聞いております。私が提示できるのはこの国の情報がつまった書庫の利用を許可証です。」
どこでその情報を手に入れた?間諜は仕える人物を間違っちゃいないかい?
「・・・・いいだろう。その代わり、その子らに何があっても僕は責任を取らない。僕が責任を取るのはその子らが授業で死ぬ時だ。」
アンはキョトンとした目になる。これほどわかりやすい言質はない。なぜこの男がこんなことを言ったのか?少し疑問に思ったが、これを失言だと捉えてた。
「よろしいのですか?もし、勇者の方々が亡くなればどうなさるので?」
「王国に仕えよう。そうだな5年もすればこの国の魔術師は劇的にレベルが上がると思うから。5年間勤めよう。」
「・・・・それはうれしいですね。よろしくお願いします。」
「まだ、仕えると決まったわけじゃあない。」
「そうですね、でも一応は受けてもらえるのでそれが喜ばしいのです。」
やっぱりこいつはどこか気持ちが悪い。なんかヌメっとしたのどごしだ。まあいい。すぐ終わる。
「じゃあもう、今日から行こうか。」
「え?今日からですか。確か、勇者様達の午後の予定は空いていましたよね?」
隣の護衛がうんうんと頷く。
「そっか、じゃあ飛んでいこう。あの王城でしょ?」
「へ?」
その日、王都では空飛ぶ馬車が話題となり、それが舞台や小説で人気を博していくとはだれにも読めなかった。
お読みいただきありがとうございます。
今回は少なめです。すみません。僕を許してください。




