第二王女
もうあらすじなんて知りません。裏すじは・・・
あれから何度か講義をするたび、自分の世界に逃げていく明文であったが、情報収集を怠ってはいなかった。どうやらこの国が出来たのはおよそ300年である。この国の出来た顛末を言えば、反逆の歴史である。300年前以前の国では召喚者を奴隷にし武力にしたり、国民を洗脳教育をしたりとかなりの恐怖政治と独裁を行っていたようだ。それに怒りを覚えた召喚者の少女と宰相の息子を中心にクーデターを起こした。その結果、この国の独裁者達を葬りさり、この国を建国したようだ。建国してからも何かと色々あるようだが、まあ概ねなんとかなり、ここまで国を継続しているのだから、かなり優秀な国なのだろう。
だが、一つ問題がある。これら以前の歴史がすっぱりと情報がない。歴史本も伝承からも何もない。まるで、元々無かったかのように無いのだ。つまり、現状では5000年前から300年以前の間にこの世界に何かがあったようだ。本当に何があったのか。なぞは深まるばかりだ。だが仮定がいるか?まだ情報が足りないか。
思考の中を泳いでいると、鐘の音がなる。これからまた講義がある。凄く嫌な顔をする明文。興味のないことに飽きっぽい明文は少し辟易としていた。魔法教師などなぜ引き受けたのか。時間の無駄ではないか?ノリで行動しすぎたなと自嘲する。この国の身分なら自力で手に入ったのではないか?ともう後悔しても遅い。東条の顔も立てるのもあっただろうし、あの時はこちらのほうが動きやすく見えたのは明文だ。今更逃げても動きづらいだけだろう。
実際は明文には姿を変える魔法や方法がいくつもあるため効率を考えるのならすぐにでもできるのだが、この帽子や靴を体から離して人前に出ることがたまらなく嫌だった。つまりは今のこの格好を崩して動くのが何よりもいやだったのだ。明文は活動するのはいつもこの服装だと妙なこだわりを持つ。もう何も考えないように講義の扉を開いた。
ん?あれ?
講義室の扉を開くと受講者が一人しかいなかった。闇魔法しか使えないとか言ってた子だ。・・・・あれもしかして、今日は休みだったか?やったね!!!休みだよ!!
「先生、やっぱり聞いてなかったんですね?」
「やっ・・・え?何を?」
「この講義の受講者が増えすぎて教室が変わったんですよ。それでもしこちらに先生が来たら、私が送るように言われているんですよ。さあ、いきましょう。」
つかの間の喜びであった。
一人の生徒に連れられたそこはさっきの教室の5倍は収容できるであろう部屋だった。なにかの音楽活動で使えそうなホールだ。それよりもこの人数はなんだ?それでも収まりきっておらず、地べたに座っている者もいる。だが、気持ちはわかる。新しい物を仕入れるなら、例え少しの間に苦しくても我慢してそれを手に入れたい。わかるぞ、若者よ。逃げようとしてすまんかった。頑張るよ。
「さて、遅れて申し訳なかった。では4回目の「魔術学 基礎」を始める。もうすでに自分の属性以外の魔法を使える者もちらほら出てきた。案外、簡単だったかな?今日はそうだな、魔術の中で土の話をしようか・・・もうこの講義で話した通り、魔力には主に「吸着性」「親水性」「撥性」「摩耗性」がある。くっついたり、同化したり、弾いたり、擦り減ったり、そういう性質を主に持つ。属性でいえば、土はくっつく、水は同化する、風は弾く、火はこすれる。といった具合だ。これらの適正によって、魔力の色は人それぞれ違う。と言っても、努力次第で全部使えるようになるから、別にそれほど気にしなくてもいいと思う。実際に適正がある魔力とは別のほうが伸びやすかったりするから、一概には言えない。だから、自分で使ってみて、あ、これ使いやすいと思ったら、そっちに走るのもいいと思う。・・・なんの話をしてったけ・・ああそうそう、土だったね。土は吸着の性質の魔力を使って、操るよ。物質をまとめてくっつけて操ることで土属性と言われている。実際はかなり便利な用法もある。部屋を掃除したりとか、ごみを纏める時、髪を纏めるとき、だったり、応用は様々だ。ほかにもね・・・」
講義にリズムが生まれる。このままの調子でいったら気持ちいい具合だ。
「質問があります。」
一人の女が立ち上がっていった。周りの人間より煌びやかな装いであり、自信に満ち満ちている顔だ。だが、なんとなく嫌な色をしている。
「はい、なんですか?」
「さっき、性質が4つ出ましたが光や闇はどうなるんですか?」
「それ、この前の講義で言ったよね?聞いてなかった?いなかった?」
「はい、私は今回が初めてですわ。」
「うむ、わかった。光と闇はそれぞれ4つのうち2つの性質を合わせ持っているんだ。光は發性と摩耗性を、闇は吸着性と親水性がある。光は風と火の魔力、闇は水と土を持ってるということだね。」
「光も闇も2つも持ってるなら、もう2属性の魔法を使えますよね?」
「いや、そこも努力次第だよ。そもそもそこは自分で気づかないうちに両方の魔力を均等に出しているからね。そこに気が付いて、自分の魔力のバランスを崩さないといけない。相当、しんどいよ?まあでも努力次第ですけどね。」
「あなたなら、教えることができると?」
「だから、この講義を受け持っているんですよ。」
どこか納得し、思案してそうな顔をして、女は座った。ああ、面倒ごとの匂いがすると明文は少し楽しそうに思ってた。
そして、この講義終わりにそれはやってきた。鐘の音が鳴った後、不自然なことに質問の鴉どもがやってこない。それらが道を開け、あの女が明文の元まですぐ来たのだ。
「さっきの質疑応答ではありがとうございました。」
「いやいや、いいよ。」
「申し遅れました。私は第二王女 アン=ルフガルト=アズワルトですわ。以後、アンとお呼びくださいまし。」
うぉ、まじか
「いや、それはいいけど王女様が一体何の御用で。」
「実は折り入ってお話が、ここではなんですので私の馬車にきてください。」
もしかして、教師辞めちゃうかも、ああでも不可抗力ってやつだよ仕方ない。
不謹慎なことを考えている明文であった。
お読みいただきありがとうございます。
実はこの熱にやられて、体調を崩し気味ですが、なんとか執筆できていますのでご安心を。体調悪くなると、私は下ネタにたた走ることが多くなります。成長をチンチョウといったりとまあ暴走気味になります。仕方ない。暑さのせいだ。俺が狂ったのは奴らのせいだ。




