逃げる
前回のあらすじ
さよなら、ハゲ
講義は概ね明文の心情的には成功した。その成功がこの混沌を生み出した。魔力の新たな発見、属性、神聖魔法の存在否定。明文の脅威的な魔法に皆、騒然し現実かどうか疑う者まで出たほど濃厚な成果だ。この講義を受けていた教授達はどこかうきうきとした目で明文を見る者と青い顔をしている者に綺麗に別れている。校長は笑顔に、教頭は青顔にといった具合だ。
「さて、今日はここまでかな、明日以降からこの講義では魔力の基本操作を行う。そんで、中盤ぐらいに魔法を扱う。最後に自分が今まで使ったことがない魔法が使えたもののみ最優秀あげるよ。魔法は魔術の基本の一歩目だからね。」
「あの、すいません!魔術と魔法って違うんですか?」
「そうだよ。基本的に魔法が自在に使えるようになってから、魔術という力に触れられる。まあ、魔法は基本、魔術が応用と簡単に覚えとくといいよ。でも根本的にはなにも変わらないからどっちでもいいんだけどね。」
おおざっぱに言えば魔術は自身の考えを加えたのが魔術であり、自然の模倣をするのが魔法である。例えば、火を出すだけなら魔法だが、火を縄状に変えて対象に巻き付けるのは魔術だ。だがどちらも自身の魔力を使って、行使するものだから、基準こそあれど、特に大した変わりがないと明文は考えている。
その後、いくつかの問答にこたえた後に、講義の終わりの鐘が鳴る。案外、早く終わるものだと明文は思った。実際に受ける立ち位置にいれば、ダラダラと時間が流れるのに、教えるとなればたったこれぐらいしか進めない。悠久の時を経てもこの心情は変わりないものだ。
「さて、また次回の講義で会おう。じゃあ・・・・・」
退出しようとすると、生徒や教授が明文に群がった。まるで、獲物を追うオオカミの群れと同じだ。
「すみません!!神聖魔法って実際なんですか!?神の奇跡じゃなかったんですか?」
「さっきのは多重魔法ですよね!?さっき5つ・・いや6つ魔術も使うなんて、どんな訓練をしたんですか!?」
「それより、先生は今までどこにいたんですか?」
様々な質問が飛び、明文は少し、嬉しくもあるようなでも少し煩わしいような顔をする。いっそこのまま逃げようか。
すると、明文は少し地面を蹴り、空中に漂った。すると黒い穴が開き、そこに明文は入っていった。
生徒達の疑問はますます増えていった。
穴をくぐると、辺り一面が紫の世界に二つ首の狐とロンがいた。今、ロンは魔力を右手と左手に集中しながら、狐から逃げている。息も絶え絶えな様子だ。
「やあ、ただいま。やってるね。調子どう?」
「おかえり、まだまだね。どうしても片方に力が偏っちゃうわ。」
「そうか、まあまだこの訓練は始めたばかりだから仕方ないね。」
「でも、本当にこの子に戦闘専門にするの?ちょっとアキはわかんないなー」
「こら、アキ。」
「いいんだよ。そうだな、今の外は結構、野蛮な世界だからね。それに戦闘専門に育てても、今の世界ならどの分野でも活躍できると思うよ。」
さも当然と明文に返事を返したのは狐である。狐は二つ首はそれぞれに意思があるようだ。そんなに悠長にしているとロンが倒れた。限界が訪れたようだ。
「ロンくん、どう・・・・気絶したか。」
「やっぱり、厳しいんじゃない?結構、この体にしては身体能力あるほうだけど、アキはやっぱり心配。」
「そうだけど、それだけ厳しい世界で生きてるなら仕方ないわよ。」
「だって埴輪ちゃんとどっこいどっこいなのよ?」
「関係ないでしょ。あんたも小さい時、あれぐらいだったでしょ何言ってるよの?」
「それは私じゃなくてお姉ちゃんですー!私は最初からめちゃ強よですー。」
「あんたは頭も弱いよーね?あ、そっか、私より後に、生まれたから仕方ないか。ごめんね。お姉ちゃん悪かったわ。」
「このビっチ**婆。」
「やるか!このあばずれ!」
二頭の狐がお互いの頭を噛みあう、明文は慣れているのか全く目を向けない。すすっーっとロンのもとまで歩いてくとロンに水を被せてロンを起こした。
「気分はどう?」
「・・・・最悪です・・・」
「それはなにより。どう僕の家族たちは?」
「・・・そうですね。一緒にいて楽しいですよ。ニコもいるし。でももうちょっと修行内容を・・」
「もっときついのがいい?」
「ごめんなさい。すいません。ここは最高です。」
「はははは」
明文はロンの対応が好きなようだ。ロンも徐々に明文のツボがなんとなく理解しているようだ。
「さて、ロンくん、王都で僕の助手やらない?というのもちょっと面倒がいっぱいあるから来てほしいんだけど。」
「行きますよ。いいえはどうせないんでしょ?」
「わかってきたねえ。じゃあ、明日迎えに行くから。ほんじゃまた。」
「また、あっちに行くの?」
「そうだよ。とはいっても定期的にここに帰ってくるからね。じゃあ!」
明文はまた、黒い穴を通り、外の世界へと出ていった。
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すみません、今日は休刊日のようなものなのでモチベがなかったのです。見逃してください




