コーラ その2
だいぶ間が空いてしまいましたが続きです
「100年……ということは少なくとも100歳ではある……グェ」
その瞬間リクの顎に鮮やかなアッパーカットがヒット。それもすごい威力だ。お陰でリクの体はうき、地面にに叩きつけられる。間違いなく痛い。
「レディに年は話をするなんて失礼な!」
「自分から振った以上あなたに非がある。後、男女平等原理主義者たる俺は、レディなどの理由で躊躇わない」
「すごい。一瞬で立ち上がったわ」
「というか、その瞬間に歯向かう姿勢を見せるとは、流石に尊敬せざるを得ない」
2人はリクの立ち振る舞いについて各々、賞賛のコメントを送る。しかしその賞賛は純粋な賞賛とはとても思えないが。
「なんたる無礼者。もう少し紳士なやつを期待していたのに」
「自分以外の人間性について、あまり悩むべきではないですよ。人格になんがあろうとも時に許容すべきです」
「暗に自分が人格に問題があると認めたわ」
「そんでもって、諦めろと言うことか」
2人の野次は気にしないでおこう。
「たく……まあ良い。この程度で怒るほど心は狭くない。見逃してやる。それで、早速だが、魔法を習得する覚悟はいいかい?」
「怒っていないなら、先ほどのパンチはなんなのか後学のために教えて―――」
その瞬間今度は腹に強烈な一撃を喰らい、後方へ吹っ飛ばされるリク。エレノアはそんなリクに近づき、しゃがみながら彼に問う。
「あんたってもしかして馬鹿なの?それもものすごく」
「知的好奇心旺盛とでもいってほしいな」
「その欲求のためなら目に見えた地雷原にも飛び込むと言うことか?」
「そう言うことだな」
馬鹿にしているのか、それとも敬意の表明か、ベアテルは口笛を吹く。
「お遊びはおしまい。これ以上ダラダラしてたら日が暮れる。……改めて聞くが、魔法を習得する気はあるね?」
「無論」
「結構厳しいよ」
「それを乗り越えたら、腕がぶっ飛ばされたりする可能性が減るなら、全く持って問題ない」
「ほう。既に結構な修羅場を乗り越えたのかい?ちなみにどんな目にあった」
「いきなり右腕潰され、そのあとでかい狼に散々噛みつかれ血まみれになったと思ったら、そのあとすぐ電撃で焼かれ、さらにさらに腹を槍で貫かれた。それも数回」
「……頑張ったね」
「後でここの美味い飯を食わせてやる」
「後でお茶でも飲んでゆっくりしましょう」
……割と本気で同情されてしまった。
「だが。いい!それならば、覚悟は決めやすいね。それほどの目に遭いながらその無駄口。いいね。気に入った。魔法を教えてやろう。ついてきな」
―――――――――――
「ここは?」
連れてこられた場所は大理石で作られた場所。ただただ広いだけのこれといって特徴のない場所だ。
「魔法の概念はわかっているね?」
「さあ。魔法に関する初歩的な文献はレイラさんのところにはなかったものですから」
「ふん。それはそうかね。あの子達はかなりの使い手、そんなもの不要だろうね。……魔法、これは通常の原理で生み出せないもの。たとえば指で炎出すようなことを可能にする技術」
そう言ってコーラは、手本に人差し指で炎を作り出す。
「本来ならマッチなどを使い発生させるが、そのような工程を抜きにして火を発生させる。そのためには別のエネルギーが当然必要となる。それが魔力と言われるもの。これについては、完全に個人に左右されるもの。もちろんこれは増やすことは可能さ。ただやはりそれは膨大な努力がある割には見返りが少ない。だから多くの人間は魔力を増やす努力よりも優先することがある」
「優先すべきこと?」
「魔力効率の向上。つまり魔法を使用する際に消費するエネルギー。魔力を100から如何に落とすかと言う鍛錬だね」
「ああ、それは一度聞いた。なるほど。車で言うなら、20km/Lから30km/Lに向上していくことだ」
「そう言うこと。だが…30km/Lおろか20km/Lってかなり燃費が良すぎないかい?そんなもんどこにあるのだい?」
「……この世界で車に乗るときはガソリンに気をつけることにしましょう」
周りの大人がガソリン代が上がるたびに嘆いていたことを思い出しながら、そう誓う。
「さて、話が少し逸れたが……お前さんの魔力量はおそらくずば抜けて多い」
「そうですか」
「なんだもう少し嬉しそうに思わないのかい?」
「ふっ……俺ならそうでもおかしくないですしね。それにこれまでからなんとなく察していた」
「……可愛げのない人間だと言われた記憶は?」
「容易に思い出せる程度には」
「はぁ。まあいい。今の通り、魔力量は多い。だが、効率が、言い換えれば燃費がすこぶる悪い」
「やはりそうですか。今の文脈からそうだろうと思ったが」
「燃費が悪いことは最悪だよ。それは、威力にも直結する」
「だからこそ今からそれを身につけると言うことか」
「その通り。……だがその前にもう一つ。魔法の種類についてだね。これも知っとく必要がある。……魔法とは基本的には無形のエネルギー。何にでも変化ができるものだ。その力をどの程度、分配するかにより様々な魔法となる。例えば、さっき見せたように炎となる性質……まぁ厳密には違うけどそんなものがある。このように、魔法は主に炎、氷、水、雷、などに変換させ、 行使することが多い。そして、これを組み合わせて使うのが上級者だ。例えば魔力を球のように出し、そのうち外側を氷で多い、その中の魔力を水に変形することもできる。これが魔力の配分。この使い方で個々人の特徴が現れるのさ」
「例えば、全身を炎に変換するとか?」
リクは、かつて自分をボロボロにまで追い込んだ男を思い出す。
「YESだ。魔法は、言い換えれば自分の望んだものに世界を変換するもの。基本的に己の魔力次第でなんでもできる。体を炎に変えるのもね。しかし、全員はできない。基本的には、ちょっとした炎を指先で出す程度」
「そんなものですか」
「ああ。レイラや、エレノア、クレアを基準で考えてはいけない。あれはトップクラスの人間だ。無論あんたもそうなる」
「ですが、聞いた話では魔法による軍事力が存在すると聞く。ならば、それほど少数とは……」
「そこで、登場するのが魔道兵器。あんたが持ってるその銃は、まさにそれだ」
「確かに、魔道兵器と、カーティスさんも言っていたな」
「魔道兵器とは、元々、少ない魔力で強力な力を生み出すために開発されたもの。あんたのは……少し違うがね?」
「違う?」
「ああそうさ。それは魔力を極力まで込めて、魔力弾を連射できるようにする。効率良く使用することも想定されているが、基本的には使用者依存が高めな武器だね。だからそれは万人に使いこなせるものではない。量産化にはとても向いていない」
「なるほど」
「そしてこれからの訓練により、その武器の威力も向上する。なにせ、それは使用者依存が高いものだ使用者の練度が高まれば高まるほど強力な武器になってくれる。楽しみにしてな」
「はい」




