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fortis et infirma  作者: MASANBO
魔道の極意
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クレアとのデート

 あれから特に断る理由もなくクレアについていくと、立派なデパートに連れられていかれた。目的はクレアの買い物の付き合い。つまり荷物持ちである。


「……」

「あっ!これいいですね。それにこちらはレイラ様に似合いそう。こっちはエレノア」


 今見ているのはフォッションエリア。つまり服だ。

 困ったことに服に関してはあまり知らない人種たるリクには何がいいのかはわからないため、ただただ無表情で立っていた。


「デート中にそんな表情はご法度ではありませんか?」

「無理やり荷物持ちさせられている状況をデートというのは知らなかった」

「すぐにそんなことを言う。それならデートらしきことをしましょう」


 クレアはそう言ってリクの腕を掴む。


「ちょっ……」

「なんです?デートというなればそこまで慌てる行為ではないでしょ?さぁ。行きましょう」


 そう言って連れられたのは映画館である。それをみて、あぁ映画館ぐらいはあるよな。という感想を抱いた。


「知ってます?」

「もちろん。トーキー映画か?」

「?」

「映像と音声が同期した映画であるのかということだ」

「あぁなるほど。それをトーキーと言うんですね」

「俺のいたところではそう言っていた。もっともそんなことを意識している人はほとんどいない何せそんなことは当たり前だからな」

「あぁそんなふうになっていくんですね。まだ最近できたばかりですから。みんな興味津々ですよ。おかげで今は大ブーム」

「それは見たらわかる」


 ぱっと前を見るとそれはもうすごい人であった。


「入れるの?」

「ちょっとつてがありますので。すんなり通れますよ?」

「あれやだ身分社会」

「そう言う社会構造は仕方ないでしょ」

「まぁ俺も一々そんなことは言わないがな」


 クレアが何か話していると一人の従業員がクレアたちを案内してくれ、一番見やすい場所まで案内してくれた。

 映画の内容はミュージカルであった。よくあるラブロマンス。音楽も聞いたことはないが、やはり人間であり、同じような文化を築いている世界。映画や小説。そう言ったにやような娯楽が存在するこの世界では、音楽もそれに類する内容であった。

 世界が違えども考えることは同じであることを再認識させられた。

 上映時間は140分ほどであった。それを終えると二人は、レストランへと移動し、遅めのランチを始めた。

 メニューは、クレアはペペロンチーノ、リクはラーメン。ウァリエタースは基本的に土壌が肥沃かつ降水量もさほど多くない。そのため、小麦が主食になるのは必然であり、それを美味しく食べようとなるとやはりパスタなどになる。

 だが、面白いのは、パスタとラーメンが同列に扱われている点だ。麺類は麺類という考えなのだろうか?同じように生まれてきたことからラーメン店とパスタ店を分けずに一緒に提供されているのは正直珍しいかった。


(しかし。ラーメンをフォークとスプーンってのがわからん。ここまできたらレンゲと箸が出てこなかったのか?)


 目の前に出されたものをフォークとスプーンで食べたことがないリクは、正直戸惑っていた。


「食べ方知らないのですか?まぁ食べにくですが」

「あぁ。この食べ物は知っているが、これにこの道具を使うのは初めてだ」

「そうなのですか?」

「あぁ。箸といってな2本の棒を合わせた物なんだが、それで挟んで食べる。正直俺たちの文化圏では使いこなせればそれで大概スムーズに食べれる便利な物だ」

「面倒臭そうですがね」

「そうでもない。少なくともこいつにはそれがあってる。まぁ無い物ねだりは仕方ないからこれでいくが」


 そう言って二人は食べ始める。食べ始めると二人は案外無言であった。そのため食事はそこまでかからなかった。

 それから程なく感触してゆったりとするためにお茶を注文したクレア。ラーメン食った後は即帰宅文化圏のリクにはこれはまずあり得ない光景であった。

 うっかりラーメンとは洒落た食べ物だったのかと誤解してしまうほどだ。正直違和感が拭いきれなかった。


「俺は今違う世界に来たということを再認識させられた」

「どんなところで認識しているのです」

「いや。食文化が似ているから、あまりそんな感じしなかったんだが、今日の現場でようやっと文化圏が異なることを認識させられたんだよ。多分前の世界の人から見たらラーメン食った後に茶を飲むとは何事だ!と怒られるかもしれん」

「なんですそれ……」


 クレアには、リクのいた文化圏をまるで知らないためその感覚がわからない様子だ。


「しかし。デートだなこれ」

「リクさんが望んだんじゃないですか」

「いや。それは語弊があるぞ。俺は荷物持ち=デートという公式が成り立つことに対して意義を唱えただけだ」

「面倒くさい人ですね。じゃあ嫌でしたか」

「いや別に」

「そこで少しは恥ずかしがりながらいう方が好感度高いですよ」

「今まで好感度が低い認定されてきた人間には難しいが、次は気をつける」

「まぁ。わざとやられたらうざいだけですがね」

「知ってた」


 それから時間が過ぎさり、時刻は現在17時。まだ日は暮れていない。

「いや〜久しぶりにゆっくりできましたよ」

「そういや。レイラさんは今何をしているのだ?」

「レイラ様は、レイラ様で休暇を満喫してますよ?エレノアと一緒じゃないですかね?」

「あぁ。なるほど」

「でももう帰ってるかもしれません。帰りましょう。ですのではい」


 渡されたのは今日クレアが買った商品である。


「はいはい」


 手渡されたものを大人しく受け取り、荷物持ちの役割を大人しく引き受けることにした。



「あら戻ってきたのね」


 笑顔で迎えてくれたのはレイラであった。ちなみにエレノアも後ろにいるが、リクたちを気にした様子もなく美味しそうにコーヒーを味わっていた。


「リクさんとデートしてました」

「へっ!二人はそういう関係だったのですか!」

「男の趣味が悪い」

「いや成り行きです。後エレノア。それは俺がいない時、つまり陰口で言うべきだ。直で言うことではない」

「陰口ならOKなのですね」

「言われ慣れてるからな」

「そう言うところがあるからそんなことを言われるのよ」


 冷ややかな目で見られているが気にしないことにした。


「……コホン。それはそうとしていいですかリク?」

「なんでしょう」

「明日は大統領と会うのは知っているはずです。しかしそこにクレアとエレノアは付いてはいけません。会うのは私とリク。二人となります」

「それはそうでしょうね」

「そこで我らが欲するものは、大統領からのバックアップ。正確に言えば他の国との面会権とでも言うべきでしょうか。その理由は察しの通り他国の足並みが揃わない状況下であるからです。私たちは他国へ入国することはかなり容易です。正直ほとんど顔パスで行けます。しかし私たちを見るや具体的な話をはぐらかされてきた過去があります。いや、以前まではまだ話を聞いて、多少なりとも協力がありますが、時を経つにつれそれが薄れてきた印象があります。そこで会わざるを得ない状況に持っていく必要がある」

「そこでこの国の大統領に頼ると言うことですか。確かこの国はこの世界でもトップを誇ってもいいほどの大国。そんな国であれば影響力は大きい」

「しかしそううまくいくかはわかりません。彼らも慈善家ではありません」

「となると当然向こうも何かしらの要求をしてくると考える方が自然か」

「えぇ。そのつもりで望んでください。そして明日はこれに着替えてください」


 そう言って手渡されたのスーツ。それもかなり上等。


「まぁ。相手が相手ですからね」

「その通りです。無礼はないようにお願いしますよ?」

「承知しました」


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