早朝
朝8時。あれからエレノアと2時間ほど過ごしたあと、そのままシャワーを浴びてベットに入った。
大統領との面会までまだ2日ほど時間があり、その間は特に何かしなければならない用事もない。そのため案外ゆっくりと起床した。
「リクさん。起きてます?」
ノックの音が聞こえると同時に女性の声が聞こえる。声と話し方からしてクレアだろう。そう判断したリクは、ドアを開ける。
「ちょうど起きたところ」
「それはよかった。朝食食べに行きましょう。ここのサンドウィッチは最高ですよ?」
「わかった」
クレアと共に来たレストランはやはり豪華であった。何もかも上等。値段を見ると正直戸惑ってしまうほどだ。だが、今はそれなりに金が入ってきているから問題はなかった。
「エレノアとは仲良くなったようですね」
「どうかな。向こうはまだ警戒が強いと思う」
「でも一緒にお酒を飲んだ仲でしょ?」
「酒を飲んだからと言ってすぐ仲良くなるかな?それに俺はまだ飲めないしな」
「あれ未成年?」
「17」
「同い年でしたか」
「ちょっと待て車運転してなかったか?」
「車は16からとれますよ」
「……俺も取ろうかな」
初耳の情報を聞いて思わず呟いてしまう。
「それはいいですね。いい教習所を教えてあげましょうか?」
「ああそれは頼みたいところだな。だが、現状あちこちに移動しまくっているからそれも難しそうだがな」
「時間は多分取れますよ。なんなら多分ですけどここにしばらく滞在することになりますよ。しかも今回のしばらくは、前と違って数ヶ月以上を目処にです」
「そんなに?何かやることでも」
「それはリクさんが強くなるためでしょうね?」
「……っ」
一瞬顔を歪めたが、悟られないように手元にあったコーヒーに口をつける。クレアの言葉は、リクのプライドを攻撃したように感じた。自分が弱いと言われたような気がした。だが、それで不快な表情を出すのもまたプライドが阻止した。
正直弱い。実力がないことはわかっていた。エレノアは見事に一人でデスアモルに勝ったが、自分は圧倒的な力の前に倒れた。セバスチャンに勝てたもののあれもクレアの協力があってのことだ。もちろん協力しても勝ちは勝ちではあるが、正直一対一で戦えば負けていた以上あまり嬉しい感情にない。
今リクにある感情は一人で戦える力。これが欲しいと考えていた。
「まぁ。どうするかはレイラ様が決めますから。でも私が言った方向で行くと思いますよ。何せここから力をつけるために適した場所に近いのですから」
「そんな場所があるのか!」
「はい。もっとも誰でも入れるわけではありませんが。しかしレイラ様なら問題ありません。そこはレイラ様たちの支配下にあるもの。明確な国境もない特別条約により守られた場所なのですから」
「そんな場所が」
「我らを舐めないでください。デスアモル。それも上級レベルを倒すことは常人では不可能。それを可能に変えてきたのはレイラ様方。もちろんレイラ様は後継者となり3年前に引き継がれましたが、私たちはデスアモルに対抗するための実力を身につけた集まりなのです。人数は軍隊。小国を比べても取るに足りませんが、一人当たりの力量は一々比べるほどではありませんよ。そんな力を身につけるための場所はあっても当然ではありませんか」
「そこに俺を連れて行こうと考えているのか?」
「ええ。おそらくですが。怖いですか?」
「いや。その資格があると言われていることに嬉しく思う」
「良い返事です。……が。しかし、それはまだ先。とりあえずは待機ですね」
「そうだが。それなら焚き付けるのはもう少し後にしてほしかったな」
「まぁまぁ。流れですよ流れ」
若干項垂れるリクに笑顔で宥めるクレア。
「そうだ。リクさん。この後暇ですか?」
「そりゃ。今日なんて何もやることもないからな。レイラさんはどこかに行ったままだし」
「それならデートしましょう!」
「……はっ?」
気がついたら50話に突入しておりました、これからもまだまだ続きますのでよろしくお願いします。




