再戦 その2
「そこそこ時間をかけてくれてありがとう。もっと早く倒されたらどうしようかとも思ったけど本当によかったよ」
そこにいたのは全長2mをこえる水の爬虫類であった。今までとは比べ物にならないほどの大きさであった。
(……こいつを作るための時間稼ぎをされていたと言うことね)
舌打ちしたい気持ちが湧き上がるが、仕方がない。エレノアはまだスィー・ウィース・パーケム、パラー・ベッルム(汝平和を欲さば、戦への備えをせよ)を使用したままだ。この力を使い相手の巨大な水の爬虫類を倒す。
「スィー・ウィース・パーケム、パラー・ベッルム(汝平和を欲さば、戦への備えをせよ)」
「アド・ノケンヅム・ポテンテス・スムス(我々は危害を加える力を持っている)」
二人のアウレア・アニムスがぶつかる。
「押し切れ!」
「ぐうう!」
単純明快。力勝負。どちらの力が優っているかのみが勝負を決するもの。
勝者はエレノアであった。
巨大な水の爬虫理がただの水へと還り、アンドリューを守るものがいなくなる。その隙を見逃すことなくエレノアは追撃を迎える。
「……あ〜あ。ちくしょう。やっぱこうなるか。わかってたさ。ああわかっていたさ。だからこれを用意してたんだ」
エレノアの体がぶれる。右足を掴まれたせいだ。
一体誰に?それはアンドリューの水の爬虫類によってだ。
「先ほどのやつに比べると力が弱い。しかし2番目には強いぐらいのやつを同じ大きさで生み出し、土の中へ隠れさせておいた。あんたは、あのでかいやつを倒したことでいい気になって、そのまま私に攻撃を加えにくるからね。それも馬鹿みたいに直進して。それ以外に選択肢なんか見当たらないと思って。ならその軌道上を邪魔してやれば良い。すごくシンプルさ」
アンドリューは、バランスを崩したエレノアに己のダガーでの攻撃を開始する。
エレノアはそれ防ぐべくスィー・ウィース・パーケム、パラー・ベッルム(汝平和を欲さば、戦への備えをせよ)を使う。だが、同時にアンドリューも再び水の爬虫類を生み出し盾にする。
その隙にアンドリューは回り込み、エレノアを刻み込む。
「あぁ!」
「いい声だ!あぁやっとムカつくあんたから良い声が聞こえた!嬉しいね!楽しいね!」
「……」
エレノアは何も言わず、風の魔法を行使し、天高くロケットのように発射され、その場を離脱する。
「そしてさらに嬉しいことにあんたの体力がだいぶ削がれた。あんな馬鹿強いアウレア・アニムスをずっと行使し続けたんだ。私の子供を一撃で葬るほどの力をずっと!すごい息上がってんじゃないかい?」
アンドリューの指摘通りであった。エレノアは、肩で息をしていた。アンドリューも息は上がっている。だがエレノアほどではなかった。
「あんたは長い距離をずっとペースを落とすことなく走っていたようなものだ。私は、チョロチョロとペースを落としていた。まだ走り続けなけらばならないからな」
エレノアは複数箇所から少量ながらも出血している。それがさらに体力を削っていた。なんとか息を整えようとするが、どうやら相手はそれを許してくれないようだ。
「ほらほらほらほらほらほらほらほら!」
アンドリューの猛攻。エレノアの対応に遅れが出てきている。
「アド・ノケンヅム・ポテンテス・スムス(我々は危害を加える力を持っている)」
再び水の爬虫類は、姿を現す。エレノアはそれを魔法によって対応を試みる。アウレア・アニムスを使うのは避けた。それでは体力回復ができないからだ。
だが、それでは完璧に対応することができない。アンドリュー自身の攻撃も相まって、エレノアは、攻撃を受けてしまう。
「……」
「どうしたどうした!黙りこくりやがって。もうおしまいかい?それで終わりかい?」




