再戦
ウァリエタースの首都アマデウスの近くにある軍事基地までおよそ150キロ。車の性能からおよそ時速60キロだせる。また屋敷からアルボスと比べ道路の整備もかなり進んでいる。3時間ほどで到着するであろう。
「出発します」
運転手はそう言ってアクセルを踏む。相変わらず座り心地は最悪であった。
出る車は一台のみ。アルボスの軍事力を頼ることができず、頼れるのは、リク、レイラ、クレア、エレノアの四名の戦力のみ。であるなら一台で行くしかない。
「さて準備はいい?」
「というと?」
「もう来てる」
―――直後凄まじい爆発音が轟く。
「くっ」
クレアが直後悪意のかけらが入った箱が破壊されぬよう防御を貼る。そして四人はその爆発に巻き込まれないよう飛び降りる。
(……運転手は、ダメか)
チラリと確認すると運転席で、頭から大量の血を出しながらぐったりと倒れていた。車は運転手がぎりぎり回避したおかげか、まだ生きているようだ。
車に最も近い位置にいたリクは、すぐに悪意のかけらの方へ近づく。
「さぁ。始めようかルーキー?」
そのさらに奥の方から声が聞こえる。リクをルーキーと呼ぶのは間違いなく以前腹を貫いてきたハリーである。
「リクさん。奪われるようお願いします。私とレイラ様はこの三十匹のデスアモルを相手しないといけないようです。エレノアももう一人と……」
「わかっている」
リクはウォルンタースを構える。
エレノアは目の前に立つアンドリューを睨んでいた。
「よう。昨日ぶりか?今日は、今度こそは、あんたを殺すが覚悟はいいかい」
「その覚悟はあなたがしておくべきよ。私ではない」
「はっ!私の力に対処できなかったお前がよく言う!アド・ノケンヅム・ポテンテス・スムス」
水の爬虫類が再び姿を現す。その数およそ10。
「対処ができない?それはあの時あの場所の話。ここなら対応できるわ。リク。彼は一切考えていない。いや考えた上で無視をしているのかも。どっちにしろ、彼は周りの被害を考えずにアウレア・アニムスを使った。でもここならそんなことを気にする必要はない」
「さっきからぐだぐだうるさい。アド・ノケンヅム・ポテンテス・スムス」
水の爬虫類がエレノアに襲いかかる。だがエレノアは動かなかった。
「スィー・ウィース・パーケム、パラー・ベッルム」
風がエレノア呼び声に応えるかのように集まる。そしてその集まりが鎧の武者の姿に具現化されていく。
「いくわよ」
エレノアは槍を一振り。それ行動をまねるように具現化された武者もエレノアより遥かに大きい槍を振るう。それだけで恐ろしい風圧を伴い、水の爬虫類が破壊されていく。前回とは比べ物にならないほどの威力。
アンドリューの顔も驚きが浮かび上がる。
「どうしたの?そんなに驚いて?あなたにできることが私にはできない。そのように考えていたのかしら?自分は遥か優位に立っている。相手は劣っている。そう考えていたのでしょう。なんとも浅ましい考え。それじゃあ足元を救われるわ」
「やかましい!それがどうした。たかが数匹倒した如きで!何も変わらない。何一つ。それで私に勝ったつもりか!」
水の爬虫類達がさらに数が増える。その爬虫類はエレノアの周りを囲み、一斉に襲い掛かる。それをエレノアは、風の魔法を行使し、己の跳躍距離を数十倍に伸ばし、難なく回避する。それと同時にエレノアのましたに集まった水の爬虫類達を風の武者が破壊する。
そしてエレノアは、着地すると、アンドリューに接近する。
「クソが!」
ダガー2本使い、エレノアの攻撃を防ぐ。しかし力は、どうやらエレノアの方が上のようだ。
「!」
地面の下から何か来ると察知したエレノアは後ろに下がる。その次に先ほどエレノアがいた場所に土でできた針があった。
アンドリューは買わされることを読んでいた。そのできた時間にアンドリューは水の爬虫類達を四匹生み出す。
一方、エレノアはすぐに反撃の攻撃を開始する。エレノアの背後にいる武者は、アンドリューに対して巨大な槍を振るう。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
交わすことは容易であったが、威力が大きく、体が吹き飛ばされる。
「……クソ。クソ。痛い。中途半端な回避になってしまったからな……。だが、中途半端な行動にしたがゆえに、その間にさらに私の子供は二十匹作れた」
「!」
「一グループは、何も考えず、考える頭がないかのように真っ直ぐ。もう一方のグループはほんの少し頭が使えるような背後に回り込む行動を。さらにもう一方はなるべく相手を足止めするように何か物を投げる。最後のグループは天高くからその高さのエネルギーを利用して相手に攻撃を加えよ」
水の爬虫類はその指示に従った行動に出る。
エレノアは一度深呼吸をする。そして、まず前方にいる敵を一振りで葬る。ここまで、エレノアは水の爬虫類個々は、かなり弱い。一撃で容易に倒すことができる。そのため特に気にすることなく一撃だけ加えるとすぐに、その勢い。遠心力を利用し、背後にいる水の爬虫類に攻撃する。それだけで十分。
エレノアは、スィー・ウィース・パーケム、パラー・ベッルムを出したままだ。たとえ攻撃が外れようともなんらその威力からくる風圧だけで十分倒せるからだ。
最後に懸念しなければならない頭上からくる水の爬虫類。これの対処は簡単であった。既に地には敵がいない。ならば背後に下がり落下してくる地点から逃げれば良い。それだけで敵はエレノアが攻撃を加えやすい場所にわざわざきてくると言う状況になる。
そこに攻撃を加える。それだけでその場にいた敵は全滅であった。
だが、アンドリューはそんなことは当然理解していたようだ。まるで驚いた様子もなく、ニヤリと笑っていた。




