共謀
早朝5時。
リクは、チェスターに地下深く連れられていた。
「悪意のかけらは非常に取り扱いが危険。それゆえ我らはこれを表に出さないようにして参りました」
チェスターは歩きながら述べる。
「俺は初めてお目にする。だから楽しみだ」
「楽しみ?本当に変わった人間だ。悪意のかけらを聞いて近づこうと普通は思わない」
「デスアモルになりたくないから?」
「それを気にするのは強い人間のみ。ただの凡人であれば触れれば死ぬだけの代物。だから近づきたくないのは死にたくないからですよ」
「ふっ。……と。これか?」
巨大な部屋の中央に黒い物体が一つ。塊?硬い物質が何かあるのだろうか?その周りには黒い霧が漂い中は見えないから確証はない。
「この霧に触れるだけで凡人は命を失うことすらある。それなりに強い生命を持った生き物はデスアモルとして、ですが、中には恐ろしいほど強い。闘争本能とでも言うべきものが備わった人間はこれを完全に取り込むことができる。そのようなデスアモルはまさに一騎当千。我らの兵器、兵士。これでは勝てん!我々は奴らに勝たなければならないにもかかわらず。やはり魔法をろくに使えない人間にはデスアモルには勝てないのです」
「これからこいつを運び出す際、その一騎当千の奴が二人襲いかかってくるのに対した弱音」
「だからこそあなた達を頼りにしている。私は報酬を用意した。それを受け取るための仕事を願っている」
「わかっている。だが、それにしたとしても市長。あなた方の兵は少ない。いや、運転するだけの人間しかいない」
「仕方ない。私たちは市民を守るのが仕事、今離れるわけにはいかない」
「脅威となる敵はどうせ俺たちを追いかけてくる以上、街に脅威が起きないと思うが?」
「現実に起きるかどうかが問題ではない。起きるかも知れないと言う不安を抱えた市民を納得いく安心を与えることが大事なのだよ」
「はっ!どの世界も変わらない。まぁいい承知しましたよ市長。さてそれよりも離さなければならぬことがあるのです。大切な大切な。大統領と確実に会うための」
「確実?言ったはずだ。君たちが確実に届け出たらと言うのが条件だ」
「ええ。理解してます。だから話がある。出発まであと2時間……。いや1時間と30分。それまでに決めたい。実は―――」




