突撃
レイラたちが市長のいる建物に入った十数分後のことであった。一台のトラックがこちらにやってきた。
「止まれ」
警備員がそのトラックに停止するように求める。
「許可書は?」
「ないよそんなもの」
警備員の問いかけにトラックの運転手の女性は悪びれもなく述べる。
「いくらここに持ってこいと言われたものでも、許可書をとってもらわなければ通すことができない。そして簡単に返すわけにもいかない。一度軽く調べさせてもらう」
「構わないよ。むしろそうしてくれ」
女性はタバコをとりながら火を付ける。
「やめろ。火を消せ。俺はタバコの匂いが嫌いなんだ」
「それがどうした?トラックの席内は、私の領域だ。そこで何をしようが関係ないことだろう?ここでSEXしようが。それはあんたらに関係ない。さっさと調べな」
「……ちっ。おい!早く後ろを開けろ!」
警備員に急かされてその部下であろう人間が3人後ろを開ける。その瞬間3人の顔は肩だから切り離される。
「……は?」
「どうしたおっさん?顔色が良くないぜ?体調悪いなら早退届でも出したらどうだい?ここの公務員はかなり待遇がいいんだろう?」
にやにやと見下すが、警備員にはそんな事を気にする余裕がない。
「デ……。デス。デスアモル……」
「さすが見慣れているだけはある。さすがアルボスの公務員!……だが。私のつれたデスアモルはあんたらが作ったデスアモルのようなひ弱なやつじゃないよ?戦いの本能に取り憑かれ戦わねば生きていけない生物。生ぬるい公務員が戦えるかな?」
しかし警備員は反撃する間も無くデスアモルに葬り去られる。トラックが破壊される。中にいたデスアモルたちが破壊したのだ。
「さぁ。まずはround1。いやあの前哨戦をいれるならround2といったところかな?まぁどっちでもいいさ。とりあえず恐ろしく暴れ回って私たちの卵を返してもらうとしよう。返してもらえないならもっと暴れるまでさ」
トラックの運転手の女性。そしてデスアモルを率いた女性。
そして彼女自身もデスアモルであるアンドリューは2本の短剣を構えながらゆったりと建物へと向かう。
警備員は銃を構え反撃の準備をするがそれをアンドリューは嘲笑うだけであった。
「さて皆さん今から殺しに行くから準備をしておいてください。生命保険加入はOK?まだの人は私が殺しに行く前に済ませておいてください。じゃないと生き残りの家族が困りますよ?加入ができない?それなら家族も連れてきなさい。そして一緒に殺してあげましょう」
アンドリューはニヤリと笑い声高に言う。
そんなアンドリューに無数の銃火器が火を吹く。相手を確実に葬り去るためにだ。デスアモルに何度も襲撃されているだけあって攻撃は容赦がない。
デスアモルたちが倒れていく。がしかしそれよりも先に護衛の人間が殺される方が早い。
一人一人喰われ、切られ、踏み潰されて死んでいく。
「なんだ……なんなんだ!デスアモルはこんなにも強いのか!俺たちだって幾度となく倒してきた―――」
泣き叫ぶその男は鋭利な刃物で斬られ真っ二つに分かれた。
「うるさい。猫を殺してライオンに勝てると思ったのか?馬鹿め。そんなわけはない。あるものか。寄ってたかって弱いものいじめをしていただけに過ぎない貴様らでは私たちは倒せないよ」
アンドリューはそう言いながらもう一度短刀を振るう。それだけで、その場にいた人間は切り刻まれ倒れていった。
「こんなもんじゃない。こんなもので満足するものか。中にいるのだろう。最高に強い奴が!」
「そうね。それじゃあ私が相手ではどうかしら?」
アンドリューの前に立つ女性が一人。
エレノアである。
「あんた強いのか?」
「さぁ。多少は強いと言う自負があるわ」
「後ろにいる男はどうなんだ?」
アンドリューが指差す先にいた男はリクである。
「それなりに強いんじゃない?一応レイラ様が連れてきた男だし。でも今回は私よ。一応女性に手をあげるのは気が引けそうだしね。相手がデスアモルでも」
エレノアが笑みを浮かべて言う。
「いや。俺別に気がひけることはないぞ?相手がクソ野郎なら男女問わず。暴行罪に問われない条件があるなら遠慮なく顔面に拳を叩きつけることができるぞ?」
「……それをはっきり言うあんたどうなの。レディファーストって知っている?」
「男女平等原理主義者の俺にはそんな概念は知らん」
「……ま。まぁいいわ。そう言うわけで相手は私よ。リク。あなたはその周りにいる奴らを倒しなさい。言っておくけど前の奴らよりは強いわよ?」
「了解した。全力で潰すよ」
「はっ!まぁいい。ならばあんたを倒してからそこの男を倒すとしよう!」
アンドリューは目にも止まらぬ速さでエレノアの懐に入り、短刀を突き立てる。
「がっ!」
しかしその刃は届くことがなかった。その前にアンドリューの腹に何か硬いものを叩きつけられたからだ。
エレノアはいつの間にか武器を構えていた。その武器は槍。2mを少し超える程度の槍であった。
アンドリューが叩きつけられたのは槍の太刀打ちと呼ばれる部分であった。
「そんなわかりやすく突っ込んだりするからそうなるのよ?」
エレノアは不敵に笑う。




