ハロルド その2
ハロルドが使わせたデスアモルに襲われている、レイラとカーティス。二人で相手するにはかなり多い数に思えたが、二人はデスアモルたちの攻勢を跳ね返していた。
カーティスは、自分の武器である短剣で、冷静にそして正確に、急所を狙っていく。一匹一匹に時間をかけることなく、一撃で仕留める。
四方八方から襲いかかる敵をカーティスは、いなし、一撃たりとも攻撃を受けない。
レイラもまた、己の力を見せつけていた。
魔力により生み出された、氷の刃が、デスアモルを襲う。
その氷の刃により、前方より襲いかかってきたデスアモルは息絶える。だが、その後ろからさらに三匹飛びかかってきた。
「はぁ!」
レイラは、巨大な炎を生み出し、飛びかかってきた三匹をまとめて炎に包む。デスアモルの肉片を一切残さぬほどの火力。
レイラはそれほど強力な魔法を使いこなしていた。
「ははは。すごい!すごいぞ!君すらそこまでの力を有しているとは!これはこれは凄い闘争の始まりだ!」
ハロルドは、レイラの戦闘を見ながら嬉しそうであった。そこにレイラは、先程デスアモルたちに浴びせた炎の塊を、ハロルドにぶつける。
―――がしかし、ハロルドは、右手でその炎を掴み、握りつぶした。
「その辺にいるデスアモルを相手にするついでのようなくだらない攻撃はよしたまえ。私が、そいつらよりも弱いと思っているのかい?そんなんじゃあ、私を倒せない。今は、目の前のことに集中することをお勧めするよ」
「くっ!」
レイラは、悔しそうな表情を見せる。だが、ハロルドのいう通り、今は目の前に集中しなければならなかった。何せ数が多すぎるのだ。
今度は後ろから、デスアモルたちが襲いかかる。それをカーティスが斬り殺す。レイラは、カーティスの隙をついて襲いかかる敵に対し、電気を流し、感電死させる。
「本当に数が多いですね……」
「全くです」
二人とも手を止めずに、戦い続ける。
その瞬間―――
大きな衝撃が響き渡った。
「なに!?」
レイラは、思わず声を上げながら、その音の方向へと視線を向ける。
そこには天高く、伸びる光の柱があった。
「素敵だ……。全身が震えてくる。これから始まる闘争が、デスアモルとしての本能を燻る。セバスチャンの奴、きっと大変なことになるだろうなぁ」
ハロルドは、ウキウキした様子で、その光の柱の方へ足を動かす。
「待ちなさい!どこに行くつもり?」
「なに、この世界に招かれた、特別ゲストに挨拶に行くのだよ。挨拶は大切だよ?」
「させない!」
レイラは、ハロルドの足を止めようと試みるが、だが、ハロルドに気を変えていたために生まれた隙を突かれ、デスア
モルに襲われる。
「!」
「レイラ様!」
カーティスが間髪入れずフォローに入る。
「ありがとう」
「いえ、大丈夫でございます。しかしレイラ様、今は奴にかまっている暇がありません」
「その通りだ。何安心した前、私が何かするということはない。ただ挨拶するだけだ。今日は本当に挨拶しに来ただけなのだよ」
ハロルドはそう言って、姿を消した。
(リク……)
レイラは、リクの身を案ずるように、心でリクの名前を叫んだ。




