<第一章 Slothの種> 第2章 不穏な学園生活 2話
初日から座学。
「入学式を終えて早速だけど授業を開始させてもらうよ。まずは座学、その後は軽い実践の流れだね。君たちがCクラスに振り分けられたのは受験の結果、今どうなのかを知る必要が私にはあるんだ。」
担任のトリーナは細長い銀色の棒を片手に持ちながら黒板に文字を書き始める。
「あぁみんなはもう知ってると思うけど念の為にね、君たちの実績次第で上のクラスへ移動する事が出来る。その逆もあるけどね。」
この学園の生徒相手に必要の無い説明だが、もしかしたら知らないかもしれない生徒に対しての優しさなのだろう。早速黒板を使い、クラスを移動できると言うことを伝える図を書いてまで説明してくれる。努力をして上を目指せと言う応援と、怠けていたら下に落ちるぞと言う釘を刺す為だろうか。
「さて、まずはこの学園について幾つか質問を投げかける。そうだな⋯挙手制でいこうか、積極的な事は大事だからね。ファーボ国立学園の特徴を幾つか上げてもらおうかな。」
座学と言うにはいささか単純すぎる、と言うよりも生徒の緊張を解すための軽い質問に生徒達は恐る恐る手を挙げる。
「ではそこの君。あぁ座ったままで構わないよ。では特徴を一つ。」
「は、はい!えっとこの学園はイーティウム平原に建っているのが特徴です!」
緊張を隠せないではいたがそれでも答えた男子生徒にトリーナは満足気に頷く。
「うんそうだね。じゃどうしてそれが特徴だと思う?」
「え、あ、えーっと…ッ!他の学園は国の中にあって、それから…分かりません。」
「分からないことを認めるのはいい事だよ、自分をあまり責めないように。じゃそこの君。」
質問に答えられなかった生徒のケアをしつつ質問を続け、次は女子生徒に聞く。
「はい!本来であれば学園は安全な場所に建てられます。しかし学園は一歩外に出れば危険があります。そこが特徴だと私は思います!」
「うんうんいいね。概ねその通りだよ。ファーボ国立学園は実践的な勉学に力を入れているからね。常にとは言わないけれど緊張感を持ってもらうために王都の外に建てられたんだ。」
トリーナは女子生徒の回答に満足しつつ補足説明を加える。そうして幾つか学園についての質問をし、遂に本格的な座学が始まる。
「そろそろ皆の緊張は解れたかな??それじゃ次に移ろうか。この世界の魔法について質問しようかな。そうだな…元素魔法は四つあるんだけどそれを正確に答えられる人はいるかい?」
少し強調した質問に一度緩んだ空気が引き締まる。誰もが手を挙げないと思い、トリーナ自身が説明をしようとした所で一人の女子生徒が手を挙げた。
「ではそこの君。まずは元素魔法の種類と特徴は?」
「はい。火、水、地、風の四つです。特徴は火は水に、水は地に弱いといった相性があることです。」
「その通りだね。もう一つ特徴があるんだけどそれもわかるかな?」
「もう一つですか…使い手になれば変化する、でしょうか?」
「その通り!例えば水魔法の使い手は派生魔法として氷魔法、風魔法であれば雷魔法といった風に変わっていくんだ!もし君たちの中で魔法使いを目指す者がいるんだったらぜひ挑戦して欲しい高みの一つだね!」
魔法の事をとても楽しそうに語るトリーナに若干名引いてしまった生徒達が教室にいた。
「では次に相対魔法について-」
「はい!特徴は-」
複数回にわたり基礎的な魔法についてを質問、解説を黒板に書きながら口頭でも説明する。この学園に入学出来ている時点で既知の事ではあるがあくまで基礎であり、トリーナが語る魔法の奥深さに目を輝かせる生徒達。座学を始め一刻ほど経ったことを確認したトリーナは次の授業へ移る。
「それじぁ次は実技に移ろうかな。そうだなぁ訓練場でそれぞれの魔法と動きを見た後、三人一組でダンジョン一Fに潜ろうか!」
-ダンジョン!?
-本当にあるの!?
-いきなり実践!?
生徒達のざわめきを涼しげに受け流しトリーナは軽く答える。
「もちろんあるよ?秘密にしている訳でもないんだけど何故か皆半信半疑なんだよね…。とりあえず訓練場に行こうか!ほらほら皆準備してねー!」
トリーナに急かされた生徒達は驚きを抑えつつ訓練場へ向かう。そんな中ウーゴとエドワードはゆっくりと歩きながらダンジョンについて話す。
「意外と簡単に入れるもんなんだなぁ。ダンジョン…響きだけでワクワクしてくるな!」
「そんな楽しそうにしてるのはエドくらいにしか見えないけどな。」
「いーや!周りを見てみろよ!」
ウーゴはエドワードの言う通りに他の生徒を見てみると、エドワード同様に興奮している者が多くいた。
「みんな元気だなぁ…」
少しの皮肉を込めた。ウーゴが次の言葉を吐こうとした時、トリーナの声が耳に入った。
「さぁ!訓練場に着いたよ!これからは実技の時間だよ!」
彼は渇望する。飢えて仕方がない。




