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<第一章 Slothの種> 第2章 不穏な学園生活 1話

評価やブックマーク等ありがとうございます!

色々と見やすく、楽しんで貰えるように精進しております!



 「荷物は…とりあえず机の横でいいか。」


 屋敷から出発し二刻でファーボ国立学園に着いたウーゴは、相部屋制の寮に行き入学式を待っている。時間が来るまでに相部屋相手と交流を深めるつもりだったがまだ来ていないらしい。


 「話には聞いていたがまさか本当の事だったとはなぁ。実践的な授業を重視しているとはいえ…」


 ウーゴは学園の立地に呆れと驚愕を覚えていた。時間を潰す為、窓から外を眺める。澄み渡った青い空に遠くには鮮やかな緑色の平原が目に映る。そしてこの学園名物であるダンジョンはどこにあるのか探そうとしたが、慌ただしい音で邪魔をされた。入ってきたのは高身長で体格の良い男だった。


 「失礼する!あぁもう先客がいたのか…」


 「あー、初めまして。私はウーゴ=ディリジェントと申します。貴方が相部屋相手でしょうか?」


 勢いよくドアを開けウーゴを見た途端、落胆の声を上げた人物に対して少し引いてしまうが会話を試みる。


 「あぁその通りだ!っと先に誤解を解かせてくれないか?君を見て落ち込んだのではない!一番乗りでなかったことに対して落ち込んだんだ!」


 声量の大きさに飲み込まれそうになるウーゴだが、なんとか堪え会話を続けようとする。


 「そうだったのですね。あの…名前をうかがっても?」


 「おっとこれは失礼、自己紹介がまだだったか!俺はエドワード・ティグリス。エドって呼んでくれ!あと敬語はやめてくれねぇか?なんかムズムズしちまうんだよ!」


 「…あぁわかったよエド。俺の事はウーゴでいい。」


 人懐っこい表情だからか馴れ馴れしさを感じさせないエドワードにウーゴは小さく微笑みながら手を差し出した。ウーゴの手を力強く握ったエドワードとその握力に思わず顔を顰めてしまうウーゴの二人。これが暫くの間、この寮で暮らす相手との出会いであった。


 「入学式まで時間があるんだ、少し話さねぇか?」


 「あぁ問題ないさ。さっきの握手で思ったんだが、エドは力強いんだな。軍人にでもなりたいのか?」


 「特に決めてはいないが強くなりたい、と常に思っているぞ!この学園を選んだのも強くなる為だからな!」


 「例のダンジョンか…ダンジョンの上に学園を建てるだなんてよく考え付いたものだよな。エドはそいつが目当てと…物好きなんだな。」


 「おいおい!ここに入学するやつはそれ目的だろう?ウーゴは違うのか?」


 「俺は…無事卒業できさえすればいいと思ってるんだ。っとそろそろ時間じゃあないか?」


 自然と笑みがこぼれるウーゴと会話をしていたエドワード。彼はウーゴと仲良くなりたいと思い、会話を続けようとしたが時間が来てしまう。式場である講堂へ向かう為、二人は軽く準備を整え寮をでる。

 講堂には既にたくさんの生徒が座っていた。ウーゴはエドにクラスを聞き、同じであることを確認してからCクラスの席に着く。壇上に学園長が昇り祝いの言葉や校風などを長々と話しており、すでに飽きてしまったエドワードがウーゴに小さく話しかける。


 「なぁウーゴ。お前さんはしたい事とかないのか?」


 「特にないなぁ。エドは偉く向上心が高く見えるがどうなんだ?」


 「俺か?俺はそうだな…強くなりたいそれだけなんだ。」


 「なんで辛そうにしてるんだ?いいことじゃあないか。」


 「あーなんて言えばいいのか…どれだけ鍛錬し強くなってもこう、なんか満たされない?みたいな感じが酷いのさ。」


 「満たされないねぇ。そいつは確かに辛いかもな。っともう移動か??」


 二人が会話をしている間に学園長の話は終わり、入学式が終わる。その場ですぐ解散ということにはならず、Cクラスの担任が教室に来るよう生徒に声をかけた。

 二人は会話に夢中で担任の声が聞こえなかったため、ほかの生徒の後ろを辿ることで目的地へ行く事を決める。

一、二年生が使う棟は講堂を出て左側にあり、ウーゴは少しの緊張と大きな面倒くささを持ちながら教室に入る。どの席に着くか迷っているウーゴを見たエドワードが助け船を出してくれた。


「なぁなぁあそこ!窓際の列で真ん中の席、空いてるぞ!あそこがいいんじゃないか?」


「良くいい席を見つけられたなぁ。」


 二人は気分良さげに席へ着く。ウーゴは視線をぐるっと回しクラスメイトを見た時に思ってしまう。


(皆が輝いて見える…はぁ勝手に羨むとかまるで俺の性格が悪いみたいじゃあないか!)


 ウーゴは卑しい自分から意識をそらそうと視線を窓に移し、ある場所を凝視する。


 「なあエド。講堂に入る前にある階段、その一番下の床なんだか変じゃないか?そこだけ浮いている気がするんだが…」


 「ん?あぁ本当だな。そこだけ少し不自然な綺麗さがある。もしかしてダンジョンの入り口だったりするんじゃないか!?」


 「ありえなくはないが…入り口の上に階段を作る意味がないと思うんだが。どこかに隔離部屋があって授業の時だけ使うってほうが安全じゃあないか?」


 「そういわれればそうなんだがよぉ…学園(ここ)の下にダンジョンがあるってだけで安全なんてあってもないようなものだろう?」


 「そいつは確かに違いないな。」


 ウーゴはエドワードの言葉があまりにも正論過ぎて思わず苦笑いをしてしまう。そうして教室に入ってから少し経ちついに担任がやってきた。


 「まずは初めましてだね、Cクラスの諸君。私はミーゲ=トリーナだ。二年間の間よろしく頼むよ。」


 ミーゲは右に着けている片眼鏡をくいっと上げ、爽やかな顔で軽い自己紹介をし始める。いよいよウーゴの学園生活が本格的に始まるのだった。

強さに飢えているエドワード=ティグリス。良き隣人である。

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