たたかい 1
小森が再び決意を固めたのと同時刻。
「あーらまあ、口ほどにも及びませんのねえ!!」
高笑いをする【火】。
その後ろには大量の子供たち。
その中には彼女の主も含まれている。
「ねえ、あぶないよ!!」
「下がってなさい、これは私の戦いですわ。アイナもみんなのことを頼みますわよ。これは貴方にしか頼めませんわ」
「わ、わかった......でも、むりしないでぜったい帰ってくること!!」
「それは命令ですの?」
「ぜったいっていうのがそれならめいれい!!」
少女は命令した。
戦華乙女にとって命令という言葉は強いもの。
その言葉とともに少女の手の甲にあった花の印が光って一片消えた。
「花印によって命じられたのなら私は必ずやらなければならないですわね」
「貴方にとってその主が大事なのがよく伝わった。でも、私だって負けるわけにはいかないの」
「あら。奇遇ですわね。私もですわ」
彼女たちは互いに華器を構える。
【火】の前にいるのは【水】である。
【火】にとっては弱点だ。
「弱点なんて私にとってただのハンデですわ。それに、花印で命じられたものに引き下がれるわけがないですわ」
「あんな幼い子にその意味なんて分からないでしょうに、自分が強くなるためなら惜しまないのね」
「そうですわね、それもありますわ。願いがありますもの。でも、今はそれだけじゃないんですのよ。私が守りたい存在ができましたもの。絶対に指一本触れさせませんわ」
花印。それは契約者と戦華乙女をつなぐもの。
それは命令という言葉をもって発動する。
花印は五つ。それを一つ消費することに力が沸く。
しかし、その力にも代償はある。
その命令を達成できなければその時点で終わってしまう。
「守りたいもの、ねえ。私の大切な人もそう言って消えていった。あなたは守りたいもののために自分をかけれるの?」
「かけれますわ。今現在かけてますもの。私の退場はすでにかかってましてよ?それに、あの子たちを守れなければ私はどの道私ではありませんわ」
「そうだったね。じゃあ私もかけましょう。主!」
【水】がそう言うとのっそりと、男が出てくる。
「こーいう時だけちゃっかりおじさんを利用しようとしちゃってさ……それで、何を命令すればいいのかな?」
「あなたが私に思うことにして。そうしないと上手に発動しないから」
「分かったよ。なら……最後まで自分を貫いて俺の元に戻ってきな。これは命令だよ」
「……はあ、あなたこそこういう時だけちゃんとするんだから。ちょっとだけあの人に似てたわ」
これで、【火】と【水】は同じ土俵に立った。
自分の願いを叶えるためにはこの戦いを勝ち抜かなければならない。
この場から虹花戦争が本当の意味で始まりを迎えたのだった。
終わる時に誰が笑っているのかはまだ誰にも分からないものである――




