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かつて花だった乙女たちは願いのために華麗に舞う  作者: 紫雲 橙
虹花戦争

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たたかい 2

 【火】と【水】が戦っている。

 彼女たちの主はただ安全なところで見守っているだけだ。

 しかし、【火】の主であるアイナはとても心配そうにしている。

 その様子を見かねてか、近くにいた【水】の主が声をかける。


「随分と汗をかいているけれど大丈夫かい?あ、急に話しかけて悪いね。おじさんの名前はね山田蒼梧(やまだそうご)っていうんだ」

「やまださん……」


 アイナは名前を反芻する。そうしないと覚えられないからだ。

 彼女の頭の中のメモリはそんなに多くはない。

 覚えられるものにも限度があった。

 嫌なことは忘れているため、幸いなことに実験所にいた時のことはあまり覚えてはいない。


「あたしはアイナ……ねえ、やまださん、なんで【火】ちゃんは戦ってるの?なんで傷ついても平気みたいに戦ってるの?【火】ちゃんがいないとあたしたち……」


 アイナが小刻みに震える。

 それを見て山田はしゃがんで少女の手を握った。

 

「大丈夫だ。君はただ信じて待っていればいい。戻って来いと命令をしたんだろう?戦華乙女にとってはそれが特に重要だからね」

「そう、なのかな?」

「きっとそうさ」

「でも、やまださんはいいの?じぶんのとこの子が負けちゃうかもしれないんだよ?」 


 山田はそれに対してにっこり笑って答える。


「おじさんだって、あの子が負けるというのは考えていないよ。だから、もしかしたらうちのが勝ってしまうかもしれない。その時は謝るよ」

「やまださんも負けてほしくないんだね……あやまられても許してあげられないかもだけど……でも、あたしの【火】ちゃんが勝つからね」

「君も負けず嫌いだねえ。じゃあ二人で応援していようか。あの二人の結末を」


 アイナと山田は静かに見る。

 いつ終わるのか分からないその戦いを。

 どちらが勝っても恨みっこなしだと。

 

 ただ静かに、自分の契約したものの勝利を祈ったのだった。

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