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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第三章 離島に蠢く怪虫
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謎の少年

 その後、また奴らが来ないとも限らないと考え、俺と冬月が交代で見張りをすることにした。

 深夜の三時になったころ、俺は冬月と見張りを交代するために外に出た。


「あ、先輩、もういいのですか?」


「あぁ、四時間は休めたし問題ない」


 そう言うと冬月の隣に座った。

念のために木刀も脇に置き、緊急の事態にも備えておく。


「あの、私思ったのですが、本土の人がこの島に移住したのは真実を知ってしまったからだと思うんですよ」


「……俺もそうだと思ってる。恐らく観光しに来て、轟破に唆された結果あの生物の餌食になった。寄生、あるいは洗脳でもしてこの島に来るよう促した。そうすれば知られたことが外部に漏れることがなくなるといったところじゃないか」


「さすがです。警察学校時代の教官より頼れますね」


 俺は鼻で小さく笑い「まさか」とだけ呟いた。


「冬月、お前も休んで来い。今のうちにしっかり休んでおかないと後に響くぞ」


「わかりました。それじゃあ隼先輩後はお願いします」


 そう言って部屋の奥へと向かっていった。

 冬月もだが、弓月や香織ちゃんは大丈夫だろうか。

 三人とも精神的にかなり参っているはずだ。

 俺だってかなりきついのに一般人でこんなことに関わっていない弓月や香織が辛くないはずがない。

 ましてや香織に関しては父親が轟破に殺されたと聞いたのだ、狂ってしまってもおかしくない状況だろう。


 明日、香織を連れていくのは大丈夫だろうか……


 ここで隠れていても見つかってしまった時、誰も対処することができない。

 弓月も一緒にといってもやはり不安だ。

 もはやこの島に安全な所は存在していない。

 ……連れていくのが一番安全なのだろうか。


 色々と考えていると気がつけば朝日が見えてきだした。


「もうこんな時間か……あれは?」


 窓の外を見ていると白髪の小柄で顔立ちがきれいな少年が家の外に立っていた。

 あの子は一体何だ?


 不審には思ったが何故か轟破たちに関係しないような気がした。

 俺はゆっくりと扉を開けて少年の元へと向かっていった。

 少年は俺のことを見るとニヤリと不敵な笑みを浮かべて話しかけてきた。


「どうやら君たちはこの島の闇を知ったみたいだね。君たちの様子はずっと見せてもらってたよ。いや、あの時からずっと見させてもらってるよ」


「どういうことだ。それに君は一体……」


「今はまだ知るときじゃないよ。それよりも君たちは今起きていることについて考えるべきなんじゃないか?」


 俺たちの動向を同行しているというのか?

 それにあの時というのはいつの時を言っているのだ?


「……含みのある言い方だな。君はあの生物について何か知っているというのか?」


 少年は不気味な笑みを浮かべると、北の方に見えている山を指さした。


「君たちはもう話を聞いているはずだよ。どこに行くべきなのか、次に何をするべきなのか」


 北の山といえばさっき健介が言っていた正人の小屋がある場所だ。

 そこを示して、そこで情報を手に入れることが必要なことを暗示しているのだろう。

 少年は俺の腰に下げていた木刀を見ると口を開いた。


「もう一つ忠告させてもらうよ。君が持ってるそれだと少々心許ないね。君も普段通りのパフォーマンスを発揮できないはずだ」


「……何が言いたいというんだ」


 怪訝な顔で俺は少年に問いかける。

 少年は不気味に笑みを浮かべると俺の目の前まで歩いて呟いた。


「君たちが訪れた神社のどこかに君が求めているものはあるよ。君たちがどんなことをするのか楽しみにしてるよ」


 俺の横を通り過ぎながら呟いた。


「おい、どういうことだ!」


 声を上げ、振り返るとそこには誰もいなかった。

 あの少年は一体何者なのだ?

 あの時から見させてもらってると言ってたいがどういうことなんだ。


 そして、神社に俺が求めているものがあると言っていた。

 木刀を見ていたことから恐らくは日本刀があるというのだろうか?

 ……確認してみる価値はあるな。


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