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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第三章 離島に蠢く怪虫
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古びた小屋

 朝日がしっかりと昇り、活動するにはいい時間となった。

 俺は冬月たち四人を起こし、準備をしていく。


 準備が終わるのを待っている間、先程の少年のことを考えていた。

 彼は一体何者なのだろうか。

 あの口ぶりから推測するに、俺たちが今までに解決した事件のことを知っているような気がする。


 そして、今回の事件の解決策も彼は知っているはずなのだ。

 健介が話していた小屋のことも知っていたことからも推測することができる。

 彼は一体何者なのか……


「そんな難しそうな顔してどうしたんですか?」


 声が聞こえ、顔を上げると冬月が目の前に立っていた。


「あ、あぁ、ちょっと考え事をしてて」


 今は冬月たちに教えないでおこう。

 まだ彼のことをよくわかっていないのだ、変に教えて混乱させてしまうよりも今はこの事件についてしっかり考えることが先決だ。


「早いところ小屋に向かおう。浩太君や島の人たちを救うために」


 そう言って俺は先に診療所を出た。

 続いて冬月たちも外に出てき、健介の案内で山の北側にある正人の小屋を目指した。



 二時間ほど歩き、北山の麓にある正人の小屋を目指していると、ひっそりと隠れるように佇んでいる廃れた小屋を見つけた。

 おそらくこれが正人の小屋なのだろう。

 とても静かな場所で、自分たちのほかに人の気配がないことから、ひとまずは安全であることが伺える。


「通ってわかったと思うが、この辺りは傾斜が激しいから島民もなかなか来ないだろうから安全なはずだ」


 健介の言葉に香織と弓月は少し安堵の表情を浮かべ、弓月が口を開いた。


「そうですか。それならとりあえずは安心ですね」


「それでも油断は禁物だ。冬月も警戒は怠るなよ」


 俺の言葉に冬月は小さく頷く。

 小屋の前まで辿り着き、辺りを見てていると、農作業用の道具が多く置かれており、かつては倉庫として使われていたことがわかる。


 小屋の中にも農作業で使う道具がいくつか立てかけられており、部屋の一角に簡易的な机と、そこに似つかわしくない椅子が置かれていた。

 机の上には乱雑に本が積まれており、机の周りには紙が散乱している。


「なるほど、ここで調べ物をしていたというわけか」


「そうみたいですね。先輩、どうしますか?」


「冬月は弓月たちと一緒に部屋の中を探ってくれ。俺は外回りに何かないか見回ってくる」


「わかりました」


 そういうと俺は小屋からでて、周囲を見ることにした。

 外は相も変わらず静かで、人の気配を全く感じない。

 ひとまずは安全であることに安堵の息を漏らす。

 しかし、あの少年が言っていた神社に俺が求めているものがあるというのも気になる。


「……中の方が落ち着いたら調べてみるか」


 そうつぶやき、一度小屋に戻ることとした。



***



 机の上に積まれた乱雑な本はどれも虫に関する内容のものばかりだ。

 しかし、机の真ん中には古めかしくて異様な存在感を放つぶ厚い本が置かれている。


「な、何なのこの本は……?」


 恐る恐る本を手に取ると、見た目通り古くぶ厚く、表紙は削れてしまっており何が書かれていたか分からない。

 この本を手に持って感じたが、あの黄野町で感じた禍々しい雰囲気に似た何かを感じた。


 ……この本は本当に読んでいいものなのだろうか。


 不安を感じたもののこれを読まなければこの事件を解撤できない気がする。

 私は覚悟を決めて本を開いた。


  本を読み進めていくと、そこには見たことも聞いたこともない生物について詳しく書かれた生物図鑑のようなものであることがわかった。

 また、その生物に関連する魔術についても書かれていた。

 読めば読むほど寒気や怖気を感じ、以前蝙蝠のような化物を見た時と同じくらい気が狂いそうになる。


 また、後からメモされたであろう部分もいくつかあり、読み進めていくのは比較的容易であった。

 そんな中、ある一つの項目に目が留まった。

 そこには「除外」と書かれていた。


『この魔術は対象に取り憑いているものを対象の中から消滅させる』


 魔術……本とかに出てくるあれのこと……?

 他にもいくつかの魔術が書かれていた。


 すべて読み終えた頃には四時間が経過しており、体の震えが止まらなかった。

 このような狂気的な世界にどんどん踏み込んでいく自分や隼先輩に不安を覚えた。

 ただ純粋に恐怖という感情が私の中で蠢いている。


(これ……ホントに大丈夫なの……?)



***



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