不可思議
「……あの先輩、いつまでそんな難しい顔してるんですか?」
「えっ、あっ、どうかしたか?」
「はぁ、もう二時ですよ」
冬月は大きくため息をつくと、時計を指さした。
そうか、戻ってきてからずっと考え込んでいたのか。
絵里や立花の様子に対して違和感を覚え、そのことについてずっと考えていたのだ。
「先輩、今回の事件大丈夫なんですか?」
「何がだ?」
「だって……隼先輩の知り合いが関わってるんですよね? もしかしたらつらいのじゃないかと思いまして……」
冬月の言っていることは間違っていない。
明日香や絵里が関わっている以上、どうしても私情が混ざってしまう。
かといって捜査から降りてしまうのは無責任すぎる。
どのような結果になろうとも、この事件は俺が解決する必要がある。
「……大丈夫だ。心配するな」
そう言ったが、冬月の表情には不安の色が見える。
実際、俺自身不安でいっぱいだ。
友人の妹が被害者、あるいは被害者である可能性があるというのだから。
「……友人の妹……そうかそうだ!」
「え、急にどうしたんですか?」
「あいつだ、光に聞けば絵里ちゃんのことが何かわかるかもしれない」
そう言って机に置いてたスマートフォンを手に取り、光に電話をかける。
『もしもし隼か。急にどうかしたか?』
「あぁ、悪いな。少し聞きたいことがあってな、今日時間作れるか?」
『そうだな、今日の仕事が終われば大丈夫かな。多分七時くらいだ』
「そうか、なら七時に青が丘駅で頼む」
そう言って、電話を切る。
「先輩、どういうつもりなんですか?」
冬月が不思議そうに俺のことを見る。
「絵里ちゃんについて光から話を聞くんだよ。絵里ちゃんの様子は明らかにおかしかったからさ」
「……そうですか」
そう言うと、冬月は納得したようで、再びパソコンに向き直した。
「それに、学校に話を聞きに行ったときの反応が気がかりでな」
「そのことでずうと引っかかっていたのですけど、立花このはって子がいましたけど何で無表情のままっだったのか気になってたんですよ」
「あぁ、そのことについては俺も気になってたんだ」
立花に関しては気がかりな点が多すぎる。
あまりの怪しさから犯人である可能性も高いと思っている。
恐らく冬月も同じようなことを気にしているのだろう。
そのようなことを考えていると、突然誰かに声をかけられる。
「山川君、頼まれていた資料まとめておいたわよ」
振り向くと司書の桂木がファイルを持って立っていた。
「あぁ、悪いな桂木」
「別に構わないわ。それと解剖の結果も一緒に入れてあるから」
「結果がわかってたんだな。助かるよ」
俺はそう言ってファイルを受け取った。
「それじゃ頑張ってね」
そう言って桂木は部屋を出ていった。
このやり取りを不思議そうに見ていた冬月が声をかけてくる。
「あの、それは?」
「あぁ、飯田が殺された時のことを調べてもらってたんだよ」
そのように答え、資料を開く。
事件の前日、飯田は米村と立花を部屋に招いていたらしい。
二人の指紋が部屋に残っていたことからそのようなことが推測されたみたいだ。
そして、犯行に使用された凶器は刃物であるのは間違いないようだが、その刃物が特定できないとのこと。
また、傷口におかしな反応があったとのことだ。
おかしな反応というのも金属や毒物とは違うが、何の成分かがわからないらしい。
奇妙なことに謎は深まるばかりだ。
こんな不可思議な事件の被害者をこれ以上出すわけにはいかない。
この度は投稿がかなり遅れてしまい申し訳ございません。
年明け以降就職活動が本格的に始まったり、期末試験が迫ったりと忙しい毎日でした。
これからもこのようなことが起きてしまう可能性がありますが、どうか気長に待っていただけると幸いです。
次回は一週間以内に投稿いたします。




