塔へ
塔の前に立つ私と海斗。
翼都はこのネックレスの中にいる。ぎゅっと円錐型のネックレスを握りしめた。
何処かで、見ていて、翼都。
私は心の中でそう祈った。
「入れねえ」
そんな事を海斗が言った。
「え?」
「入れないんだ、塔に入口がない」
「え?」
何を言っているのだろう。私は海斗の言っている事がその時すぐには分からなかった。
「何処かに……ボタンでもない?」
「うーん……おい、お前も探せよ」
「……うん」
私たちは塔へ入る方法を考えながら、一生懸命探した。
「あー!くそ、見つからん」
海斗はたまらず音を上げ始めた。私も疲れたので探すのを一時中断になった。
持って来た水筒を開けて、お茶を飲む私と海斗。
ゴロゴロそこらじゅうに落ちている石の上に座った私たち。
お茶を飲んだ海斗は、何かを思いついた様子。
「この辺りに俺の昔の仲間が住んでいるんだ。行かないか」
と私たちは塔から離れる事数十分、暗がりの森の中に一つの家を見つけた。
木造りの家で、どこかの別荘みたいだった。
ドアをノックすると、
「おーい、巡。いないかー」
と大声で呼んだ。
反応はすぐにあった。
「誰だ」
巡と呼ばれた人なのだろうか。小さな男が扉を開けた。
「よ」
「おー、海斗か。お、こっちは誰だ?可愛いな。みたところ……」
「あ、こ、こんばんは」
「おや?外惑星人か?」
「こいつは、地球から来た、美々だ」
じーっと私を覗き込む巡。
「おおー、地球人ねー。あ、いいぜ、上がれよ」
そうして私たちは部屋の中へ。
中は、こじんまりとしていて、南国系のデザインをした家だった。
中を見ていると、
な、なんだ?
木造りのテーブルに、食虫化の様な花が活けてあった。
「海斗、これ……」
その花を指でさす私。すると海斗は、
「綺麗だろ―?チラチルの花だ」
き、綺麗なのかな……なんだか花全体がネチョネチョしているけど……。
「これは、食べれるんだ。食ってみるか?」
と、海斗が言う。えー?
「わ、私、今食欲なくて……」
「そうか、じゃあ、俺が。いいだろ?巡」
「ん?食うのか?いいぜ」
すると、海斗はあろうことか口を開けて、その花を放り込んだ。
えー!?
私は絶句。ま、まあ、色々と変なモノも食べる外国もあるとは言うが……、ねっとりしているその花は、食感が良いらしい。
「花びらに弾力があるんだ」そうだ。
私は食べない。無理よ、そんな気持ちの悪いの、絶対無理。
と、決心している私に花を勧める海斗。
えー?
「私は良いから……」
と少々うんざり気味の私に海斗は不思議な奴だ。などと言って笑っていた。
うー、こんなもの食べもんじゃない。と私は言いたい。
もう寝る時間になって来たみたいで。
布団は、本当に日本の物とあまり変わらなかった。
海斗は巡と昔の友達なのか、よく喋っていた。語り明かすつもりなのか、私が寝床に入った後も、なにやら語っていた。
私が眠って何時間か経ったところで、海斗は私を起こした。
「もう、出発しよう」
「え?うん」
ふああ……眠い。
辺りは暗いままだった。あ、そっか、ここには朝も夜もないのね。これが征服された。と言う事なのか。そう私はこの星が可哀想になってきた。
ああ……そうか、だからか。と私は思った。その為にこの星を救いに来ているんだ。
翼都と、海斗と一緒にいたいから、私はここへ来た。
これは、戦争なんだ。
愛する母星を守るため。私はそれで来たが、それは彼らだって一緒なんだ。
私はこのままじゃいけないと思った。
滅ぼそう……侵略者を。そして、私たちの守りべきものを守り通すのだ。
そのためには、自ら身を投じなくてはならない。いいとも、これくらいの痛みで、世界が、宇宙の星々が救えるのならば受けて立とうではないか。
私はそう思った。
巡の家から数分で、ギャンギ人の塔へ行ける。
塔の前に来た私たち。
薄汚れた塔。いまその入り口にいる。
海斗と巡は何かを色々調べている。何を調べているのだろう。私は身を乗り出して見てみるが、何やら機械をいじくっていることぐらいしか分からなかった。
ここの一帯はとても静かだ。少しでも声を出せばギャンギ人に気づかれそうだ。
「海斗」
私は小さい声で彼を呼んだ。
「なんだよ」
「少し休んだら?一日中しているもの」
小さい声での会話、海斗は黙って巡を見た。
すると、巡は首を横に振った。
「ここにいるのは時期にバレる。その後は厳戒な警備が付くだろう。チャンスは今しかない」
そうか、じゃあしょうがないと言う事で、海斗と巡はもう少し続ける事にした。
ピーン。
長らくしていたかいがあり、ドアのロックを外すことが出来た。
「すっごーい!」
私はそう叫んだ。すると、
ザワッ!
しまった!
大声を上げた私の声に塔のセキュリティが反応した。
「おいー、美々」
「ごっめーん」
「よっしゃ!来るか」
私たちは武器を持ち、構えた。
遠くから、複数の矢が飛んできた。それを見た巡が、なにやら術を唱えた。バリアが私たち三人の前に現れて、矢をはじいた。
「よし、塔に入るぜ」
海斗はそう言うと走り出した。
「わ、私も」
と私と海斗は塔へ向かった。
が、巡は術を使っている最中だったから、私たちに着いて来なかった。
それに気が付いた海斗は、
「おい!早くしろ!巡」
「俺にかまうな。行け!」
「巡!」
すると、巡ははにかんだ笑顔を見せた。
「俺はお前たちが塔へ行くまで、バリアを張らなくてはいけない」
よく見ると、彼は凄い汗をかいていた。どうさせてあげたら良かったのだろうか。私は彼を助けずに塔の中へ入った。
ドオーン
ドアが閉まった。こちらからももうどうやって開けたら良いのか分からない。
「巡……」
「行くぞ、美々」
「うん……でもっ!巡が……」
「……行こう、美々」
「海斗」
私は不満に思い海斗を見た。すると、彼は歯を食いしばっていたのに気が付いた。絶句する私を見ないようにして、海斗は先へ進んでいった。
「海斗……」




