シーザー王
薄暗い回廊が続く。塔の中は比較的衛生的で良かった。
海斗が首をかしげた。
「なあ、美々。ここさっき通らなかったか?」
「え?」
そう言われて私は周りを見回す。
「そ、そうかなあ……」
私はあまり景色をよく見ていなかったのだ。
「ダメだ、これではギャンギ人のトラップに引っかかり続けてしまう」
海斗はそう言って頭を掻き毟った。
「うーん」
そうは言っても、どうすればよいのか。そう思っていると、
カッ!
私の胸のペンダントが光った。
翼都だ!
私はすぐに翼都の意思が何かを言っていることが分かった。
「翼都!どうしたらいいの?」
すると、ペンダントは光を放ち、壁の一部分を照らした。
「ひゃあ!」
壁が悲鳴を上げた。
「え?」
唖然とする私と海斗はその声がした方へ歩きよった。そうしたら、壁はキャアキャア叫びだした。
「なんだ?おい、こら!姿見せねえか!」
海斗がそう叫びながら壁を蹴飛ばした。
「蹴んなよー、わ、分かった分かった」
そこから黒い人型が壁から外れた。その者は黒いマントに身を包んでいる、小さい小男だった。小男は震えながら言った。
「お、おいらは、タモツって言うんだ。お前らから扉を隠してたんだ」
「どうして?」
私が聞くと、泣き出しそうな影、タモツが言った。
「当然だろ、王様からの命令だもの」
「王様?」
「シ、シーザー王だよ」
「……俺、聞いたことがある」
名前を聞くと、海斗が腕を組みながら言った。
「ギャンギ人は王政だってさ」
「へえ、王様かあー、かっこいい?」
私がそう聞くと、海斗はびっくりした様子で、
「バッ、馬鹿か!敵だぞ?そんなこと聞くな」
「へえ、シーザー様は大変端正な顔をしています」
「ほっらー、かっこいいってさ」
「ふんっ!」
「タモツさん、私たちをシーザー王に会わせてくれない?」
「おい、馬鹿いうな!美々、そんな事頼むなよ」
そう海斗は私を制しようとしたが、タモツは事もなげに頷いて、
「いいぞ、勝てっこないもん」
「あ、この!」
「まあまあ、いいじゃない。どうせその王とやらに会わなくちゃいけないんだから」
「うーん、そうは言うが……」
「行きましょう、タモツ」
「へえ」
「お、おい、待て!なんかおかしいって」
「大丈夫よー、行きましょう」
海斗はその後もぶつぶつ言っていたが、渋々私たちに着いて来た。




