タイム星へ
「いいか、美々」
海斗が言う。私は海斗にもらった服を着ている。海斗たちタイラ星の戦闘服だと言う。
私は静かに頷いた。
「へ、ギャンギ人にやっと仕返しできる」
海斗が言うと私も翼都の仇討が出来る、と思った。
ギャンギ人の住む星はテーキラス星と言う。そこに行く前に、翼都たちの星、タイム星に行くことになった。
「……じゃあ、行くぞ」
そう言う掛け声に私は頷いた。
海斗の手を握ると、私の前は虹色に輝いた。
しかし、それは初めの数秒だった。
暗い森の中にいる私と海斗。急に変わった景色に私は戸惑った。それを知ってか、海斗が、ここはタイラ星だと言った。
「ここが……」
なんか薄気味悪い気が漂っていた。
「タイラ星は今、暗闇に閉ざされているんだ。ギャンギ人の差し金でな」
海斗はそう吐き捨てるように言った。そりゃあ気に食わないだろう。彼はいろいろ失って来たのだろうし、私もギャンギ人に翼都を殺されたから、殺気立っているんだ。
海斗の行く後を付いて行く私。足元がぬかるんでいて歩きにくい。その上大きな石がゴロゴロしていて危ないので、ゆっくり歩くしかない。
そんな私に海斗は気を使って、
「ちゃんとついて来いよ」
と言いながら、私の所まで戻ってきて手を引いた。
「こ、ここ、大変な道ね」
「ああ……そうか、お前浮いていないんだったな」
と、奇妙な事を言った。
「え?浮いているって?」
「俺たちタイラ星の人間はいつも少し浮いているんだ」
「え!?」
「地球人は……浮いてないもんな」
「そ、そりゃあ……」
「そうか、じゃあもっとゆっくり歩くよ」
ありがとう、と私が言うと、本当にゆっくり進んでくれた。
そうか、彼らタイラ星人は私たちと少し違うのね。と思いながら着いて行くと、薄く雲が架かった高い塔が見えてきた。
「あ、あそこに行くの?」
「よく分かったな。そうだ、あれがギャンギ人のいる三日月塔だ」
「……三日月塔」
数分でその塔の入り口まで来た。
「……と、ここまでは簡単に入れる」
と海斗は舌なめずりして言った。
「ここからは、心していかなくちゃならん」
「ここからは……敵がいるの?」
「そうそう」
そんな軽く言っている海斗だが、私はビビりまくりで、正直恐怖で足が震えていたりする。そんな私に気が付いた海斗は、
「美々。足元、悪いのか?」
「そ、そうじゃないわ。怖いの。こ・わ・い!」
そう言うと、海斗は「ああ……」と頷いた。私のへっぴり腰に気が付くと、
「俺がおぶってやろうか?」
そんな事をにやっとした顔で言って来た。私はそんな海斗に舌を出して、いーっとした。すると海斗は笑い出した。
と、
ガサッ!
そんな草を分ける音がした。
私と海斗はそんな事を言ってる場合じゃないと思い、すぐに身構えた。
「さあ、来なすったか」
「ギャ、ギャンギ人?」
そうだ。ギャンギ人が現れた。
1体、2体、3……いっぱいだ!
海斗は持っていた剣でギャンギ人に切りかかった。
私も!
と思い、杖を手に握った。
その杖をクルッと一回転させると、
サア――――。
風が集まって行く。
風をまとった杖は、光を乗せてギャンギ人に襲いかかった。二体の一体のギャンギ人は光の風に当たり消滅した。
海斗はその間にこの場にいるギャンギ人を総て倒していた。
「ざっと、こんなもんよ」
「海斗、すごいわ」
私は思わず感嘆の声を上げた。
「ふっふっ」
海斗は得意気に不気味に笑う。
―美々……。
何処からか聞こえる、その声は、
「翼都!」
―美々、来たんだね、タイム星に。
ちょっと面白くなさそうな海斗を尻目に私は翼都と話した。
「貴方に逢いたい。逢いたいの」
―……僕は君とは逢えない。
ああ、やっぱり……。貴方に逢えるなら私は何処へだって行けるのに……。
そう思っていると、その心の声が聞こえたのか、
―ごめん、美々。でも僕は……。
「翼都……どこにいるの?」
―僕は……そのネックレスの中にいるよ。
「えっ!?」
私はびっくりして胸に架けているネックレスを見つめた。骨の入っているロ
ケットタイプのネックレスだ。
私はネックレスを手に取った。
ここに……翼都がいるの?
私は少しでも近くにいられるのならと思い、彼の一部を入れたのだけど……。
翼都が……ここにいる……。私は彼がいるんだと思い、ネックレスを抱きしめた。
「美々、行くぞ」
海斗が少々苛立ちながら私に言った。私は彼の声にびっくりして、
「な、なに?海斗」
「行くぞ、美々。塔に殴り込みだ」
「う、うん」
そうだ、タイラ星の窮地を救わなければ。そう思い、私は杖を握り直した。




