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 夜、


 翼都の夢を見た。


 起きて夢だと知ると、私は悲しくなって泣き出した。


 冷たい手、翼都の手。もう一度握りたい。そう思うと、思い出に溺れそうになった。


そうだ、これは振り切るための涙。


 胸が痛い。


恋をしていたの?


 それは私自身にも分からない。

 でも、きっと、大切な人への涙。

 

朝日が昇る。

朝になるんだ。ああ、翼都……。

私は手で顔を覆った。


「学校行きましょう」


朝、朝食を食べながら私は海斗にそう言った。海斗は少し黙っていたが、


「……行かない」

「え?……か、海斗……?」

「なんだよ」

「い、行かないとだめよ」

「なんでだよ!」


そう当たり前のように聞く海斗。私は焦った。


「だって、よ、翼都だって行ってたのよ」

「なんだよ!俺は俺、翼都は翼都だ」


えー!?私は絶句した。


「え、えーっと……」

「いっかねーよ!」

 

ふんぞり返る海斗。


「もー!」


結局、彼は来なかった。私は一人で学校へ行った。


 私は学校への通学で、翼都の事を懐かしく思っていた。


 「……翼都」


 逢いたいよ、翼都……彼の優しさ、彼の寂しさ。全部包んであげたかった。


 翼都の事を思いながら、空を見上げた。


 「翼都君の死についての真相」が、学校の噂で持ちきりになっていた。


 クラスの子が私に聞く。


 「美々、教えてよ」

 「え……、私にも……分からないの」


 正直にそう言った、しかしそれで納得はしないだろうな。と私にもそれは

分かっていたが……。


 女子生徒はぶつぶつ文句を口にしながら去って行った。



 死んだ。



そう言うしかないんだ。しょうがない。と私は少し投げやりになった。私だって、翼都が死ななければどんなに良いか……、そう思うと、悲しくなって泣きたくなった。が、こんなところで泣けないじゃない。私こそ文句言いたい。この現状に。


 だが、そこはもう子供じゃないし、言っても仕方がない。そう思って窓の外の景色を見て、気分を落ち着かせた。


 空には夏の象徴の入道雲が出ていた。蝉の声もツクツクボウシが多くなっていた。


もう、暑い夏も終わる……。

 


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