2 デート
美々と翼都は無機質な空間に迷い込む、
そこで、翼都は透明な弓を持つ。
この空間はなんなのだろう?それは翼都なら知っていると
美々は思うが…
「ごっちそうさまー」
私と翼都は手を合わせてそう言った。
「美々」
「なに?翼都」
「見てもらいたいものがあるんだ」
「うん」
私はにこりとして頷いた。
話しか、何だろう……。
階段を上がる私と翼都。
部屋に入ると、翼都は立ったまんま、
「前はごめんね」
「え?」
あ、あの変な世界かな。と私が聞いたら翼都は頷いた。
「あの世界は僕が住んでいた星のモンスターなんだ」
「あ、あの人みたいなの……って、あれモンスターなの?」
「そう。ギャンギ人っていう異星人だ」
え?待って、今……。
「今、僕が住んでいた……って言った?」
そう。ともう一度頷く翼都。
「僕はこの地球の生まれじゃないんだ。タイム星って言う星の生まれなんだ」
翼都は……地球人じゃない。
そうか、だからこんなに不思議なんだ。そう、私は妙に納得した。
「びっくりした……よね」
そんな翼都に私は首を横に振った。
「大丈夫よ、翼都。私、君が何処の人だって納得するわ」
そういうと、翼都はわずかに明るい顔になった。
「ありがとう……美々」
「ううん、当然よ」
私がそう言って微笑むと、翼都も同じように笑った。
「ほら、笑っている顔だって、地球人より良いもの。私は貴方を信用するわ」
そう、何処の人だって、翼都には変わりないんだから。
明くる日、
朝ご飯を食べていると、翼都が私に言った。
「今日は休みだよね」
びっくり!翼都は私とデートしたいって言って来たの。
デートだって!デート!
うん!もちろん、OKしたわ!
でも……、
地球で言うデートと翼都のいた星のデートって言う言葉とはちょっと違うみたい。
もう少し、友達と遊びに行く。に近い意味なんだって。
なあーんだ。とがっかりした私に翼都は不思議そうな顔。
まあ、いっか。
「行こう、翼都」
「うん」
今は夏。外は暑く、街へ出ても建物に入らないと大変だ。日焼けしてしまう。
高いビルが並ぶ。
ここ、都会だなー。
そう思っていると、翼都も同じことを考えている様だった。
「ここ、都会だね」
「そうね、ね、どこ行く?」
そうだな……、とにかく喫茶店に入った。
翼都はコーヒーを知らない。そうか、知らないんなら、飲ませてみよう。
と、ちょっとおふざけに、エスプレッソを頼んだ。
エスプレッソが出て来た。
「いい香りだね」
そう言っている翼都。
「ささ、飲んで」
彼、飲んだら苦―いって表情をした。
「どう?美味しい?」
「う、うん……変わった飲み物だね」
「通が飲むものよ」
「ふうーん」
とそのエスプレッソをもう一度飲んだ。
「通にはまだ遠いや」
翼都は苦笑いして言った。
喫茶店を出て、いろんな店に入ってみた。要するにウインドウショッピングだ。
しかしいろんな店に入れば、それそれなりに品物を買ってしまう。
翼都にお箸と湯呑、それとお茶碗を買ってあげた。お湯呑は二つ。色違いで。
夫婦だって訳。へへー。
純和風のそれを見て、感慨深い表情をしている翼都。
「気に入った?」
「ああ」
ニコニコ、キラキラした翼都の笑顔。喜んでいる彼を見ると、私も幸せな気持ちになった。
帰ろう、翼都、家へ。
帰ろう。
翼都は空を見上げる。夜空を、自分のいる星を見ているのか。
彼は神秘的な少年だった。
私はあの世界の事を思い出した。
無機質で、音のない世界。
あそこは、一体なんなのだろう。考えてみても答えは一向に見いだせなかった。
翼都に聞こうか……。
そう考えていたら、翼都が私の前にいきなり現れた。
「え?」
「美々、君も一緒に……」
そう翼都が言うと、目の前が突然反転した。
「あ!」
翼都は私の手を握った。
「翼都……?」
彼の手は冷たくって、まるで死んでいる様な……。
「僕から、離れないで」
「翼都……?」
翼都の声は最後まで聞こえなかった。
その「無機質な世界」にまた連れて行かれたからだ。
翼都……翼都……、
まただ、翼都と呼ぶ声だけが反響する。ここは何処なのだろう。
翼都は私の手を強く握った。
震えている?
翼都はいつもこの世界に連れてこられているのか。震えるという事は、この世界は彼にとって良くない世界なのだろう。
人……が。
いや、違う。
これは、ギャンギ人と言う、モンスターだ。
その一体が翼都に向かって剣で突こうと攻撃してきた。
……翼都!
声の出ないものの、私はそう叫んで翼都に抱き着いた。
翼都はそんな羽根の生えたモンスターに対して目をつむり、弓矢を手にして光を集めた。
矢を放つ翼都。
ギャンギ人は光と共に消滅した。
翼都……殺す……翼都……消滅するのだ……。
そんな声が聞こえた。
風が強い。建物も、何もかもが、吹き飛ぶ。
翼都は、唇を噛んで風をその身に受けていた。
弓を天にかざす。矢に光が集まる。
翼都は叫んだ。
「アクア、フォース!」
その声は反響して私にも聞こえた。
私たちの周りに光の波が起こる。それは、ギャンギ人を一掃した。
反転する世界。
私の意識が途絶えた。
……み……美々!
「え?」
気が付くと、大好きな翼都が目の前にいた。私は草むらに倒れていた。雑草の匂いを嗅いで、少し落ち着いた私は身を起こした。
「良かった……大丈夫?」
「……うん、翼都」
あの世界が何だかは分からない。しかし、それは時が来れば翼都から話してくれるだろう。
そう思い、私はただ頷いた。
辺りはもう夕焼け。真っ赤に世界が染まる。それを私と翼都はただ見つめて
いた。




