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第5期 第12話 約束の場所

挿絵(By みてみん)


海外フェスティバルから帰国して、一か月。


季節は初夏へと移り変わっていた。


ユウキは、最初に音楽イベントを開催したライブハウスを訪れていた。


入口には、あの日と変わらない看板が掲げられている。


「お久しぶりです。」


オーナーが笑顔で迎える。


「本当に久しぶりですね。」


ユウキも笑顔で握手を交わした。


「ここへ来ると、初心を思い出します。」


オーナーは懐かしそうに店内を見渡す。


「最初にイベントを持ち込んできたときは、ここまで大きくなるとは思わなかったよ。」


二人は顔を見合わせ、静かに笑った。



その日の夕方。


Luminous Fiveの五人もライブハウスへやって来る。


「ただいま。」


アヤネがそう言うと、オーナーは嬉しそうに笑った。


「おかえり。」


その一言だけで、五人の表情が柔らかくなる。


「ここが私たちのスタートでした。」


イノリが静かにステージを見つめる。


小さな客席。


低い天井。


初めてライブをした日の景色は、今も変わらない。



オーナーが提案した。


「せっかくだから、今日は貸し切りにしてある。」


「一曲、演奏していかないか?」


五人は顔を見合わせる。


「もちろんです!」


アヤネが笑顔で答えた。


機材を準備し、誰もいない客席へ向かって演奏を始める。


最初に披露したオリジナル曲。


デビュー当時から歌い続けてきた楽曲。


音がライブハウスいっぱいに響く。


観客はいない。


それでも、五人の表情はとても穏やかだった。


演奏を終えると、オーナーが静かに拍手を送る。


「本当に成長したね。」


その言葉に、五人は少し照れながら頭を下げた。



夜。


ライブハウス近くの公園。


ユウキとイノリは、ベンチへ座って夜風を感じていた。


「今日は、不思議な気持ちでした。」


イノリが静かに話す。


「お客さんがいないライブなのに、すごく楽しかった。」


ユウキは微笑む。


「誰かに聴いてもらうことも大切だけど。」


「音楽が好きだから演奏する。」


「その気持ちを思い出せたんじゃないかな。」


イノリはゆっくり頷いた。


「はい。」


「初心って、大切ですね。」



しばらく沈黙が続く。


夜空には無数の星が輝いていた。


「ユウキさん。」


「ん?」


「これから先、十年後も二十年後も。」


「私たちは音楽を続けていたいです。」


ユウキは星空を見上げながら答える。


「きっと続いているよ。」


「音楽が好きという気持ちは、簡単には消えないから。」


イノリは嬉しそうに笑った。


「そのときも、またこのライブハウスへ帰ってきたいですね。」


「もちろん。」


ユウキも穏やかに笑う。


「ここは、いつでも帰って来られる場所だから。」



帰り際。


五人はライブハウスの前で記念写真を撮った。


最初のライブの日にも撮った場所。


五年後の今日も、同じ場所で笑っている。


景色は変わらない。


変わったのは、自分たちだった。


ライブハウスの灯りが静かに輝く。


その灯りは、夢の始まりを見守り続ける灯台のようだった。


そして、物語はいよいよ最後の一話へ。


ユウキとLuminous Fiveが歩んできた旅は、優しい結末へ向かって静かに歩き始めるのだった。


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